第86話 『大迷宮』17階層、モス地雷
三個目の宝箱をいただき、また階段を300段下りて17階層に到着。
予想通り、この階層にいたのはダンジョン大ムカデの変異種とかいうムカデだった。
「ダークンさん、すごい魔法を作ったのでいきますよ」
『それじゃあ、すごいのを見せてくれ』
「アズランもちゃんと見ててね」
「はい」
トルシェが右手を出し、手のひらの上に青白く光る火の玉を4個作り出して、その火の玉がムカデに向かって飛んでいって命中した。命中したところから一度火花が散って、それでおしまいだった。
『トルシェ? いまのでおしまいか?』
「おしまいと言えばおしまいですが、これからと言えばこれからです。いまのムカデをよく見ていてください」
よく見ても何か変わったところがあるのか分からない。
「あれ? なかなか他のムカデが近づいてきませんね。しかたないので、これを他のムカデと思ってください」
そう言ったトルシェは、通路に転がっていた小石を拾って、さっきのムカデに軽くトスした。
ドッガーーーン!
ものすごい音がして、ムカデが爆発してしまった。ムカデだったものの破片がそこら中に飛び散っている。俺にもいくらかかかってしまった。
アズランはうまくよけたようだが、トルシェを
『ようするに、
「地雷?」
『近づいたり、当たったりすると爆発する魔法を閉じ込めたものだ』
「ほう地雷ですか。覚えました。それじゃあ、モンスター地雷と名付けましょう」
『それだと、なんだかでっかい地雷のような感じがするから、モンスターを略して、モス地雷なんてどうだ?』
「モン地雷じゃなくてモス地雷のほうが確かにカッコいいですね! それじゃあ、モス地雷にします」
『だけど、ここで使うのだとあまり意味がないから、この前の黒いムチにしてくれないか? それで炭を作ってくれ。「収納キューブ」がある今ならいくらでも拾って歩けるから』
「分かりました。モス地雷だと確かに飛び散っちゃってそのあと役に立ちませんからね」
そこから先は、トルシェが目に付くムカデを黒いムチで炭に変えたものを、俺とアズランが『収納キューブ』に拾って歩いて行った。もちろん行き先は分かっていないので、ただ何となく道なりに進んでいる。
ずいぶんと炭も拾った気がする。そして、さらに道なりに進んで行ったところ、
『前方、おそらくムカデの大群です』
アズランがムカデの大群に気づいたようだ。18階層へ下りる階段があるかもしれない。
『大群だそうだが、トルシェ、黒いムチでまだいけるか?』
『全然大丈夫ですが、面倒ではありますね』
『一度に、何本も出せればいいんだがな』
『あれは意外と面倒な魔法なので、2本ならいけると思いますが3本はどうかな? 試してみましょう』
前に進みながらトルシェが黒いムチを2本出してムカデを炭に変えていく。そして、前方に見えて来たのはムカデの大群。そいつらが一部団子になりながらもこっちに気づいて近寄り始めた。
『いきます! まず3本』
トルシェの右手から3本の黒いムチが伸びた。ムカデの
『次は4本』
一瞬もたついたようだが、4本の黒いムチがムカデを襲い四匹のムカデが炭になった。炭になったムカデは後続のムカデによって粉々に砕かれている。
こら!
『ダークンさん、行けそうです。こつはつかめました』
トルシェの突き出した両手の手のひらから何本もの黒いムチが伸びて行った。数えると左右5本ずつ、合計10本の黒いムチがムカデを襲った。
音がするわけではないが、シューという感じでムカデが炭になっていく。黒いムチはそのまま次の10匹を襲い、炭に変え順次後ろの方のムカデを炭にしていった。炭にするスピードの方がムカデの押し寄せる速さに
『ダークンさん、水袋を渡していただけますか?』
『おう』
すぐに『キューブ』からリュックを取り出し、中の水袋の蓋を取ってトルシェに渡してやった。
ゴクッ、ゴクッ、ウグ、プファー。
おっさんみたいな飲みっぷりで左手で持った水袋から『暗黒の聖水』をあおったトルシェが、俺に水袋を返し、右手一本、5本出していた黒いムチだったが、また両手で合計10本の黒いムチを使い始めムカデを炭に変えていった。
トルシェが少しずつ前に進みながらムカデを炭に変えていく。俺とアズランはトルシェの少し前を歩いて手前から小さく砕けていない炭を回収していく。ムカデには少しは知能があったようでもはや俺たちの方に向かって来るものはいない。
……
「フー」
『トルシェ、ご苦労さん』「ご苦労さま」
目に付く限りのムカデを炭に変えつくした。階段前には四個目の宝箱があったのでトルシェが収納した。
[あとがき]
商品には手を出すな!/ ダウンタウン・ブキウギ・バンド
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