第43話 下の階層探索
トルシェの
『おっと、トルシェ、すぐ先の床の辺りがなんだかおかしいぞ。罠の可能性が有るから気をつけろよ』
『どこです? わたしには違いがわかりません、あれ、少しだけ浮き上がってるのかな?』
『ああ、そこだ。落とし穴にしては小さいから、何かのスイッチなのかもしれない。踏んづけると、壁から槍とか矢が飛んでくるとか。試してみるから、トルシェは下がっててくれ』
『はい。気を付けてくださいよ』
『この鎧が有れば、たいていの物は防げるだろ。それじゃあ踏んでみるぞ』
通路の床の真ん中あたりで、幾分浮き上がった感じのする個所に右足を乗せ、ゆっくり体重をかけていった。
カチッ。
やはり、そうくるよな。さて次は何が起きるのか?
身構えてはいたが、槍が突き出されるわけでも、矢が飛んでくるわけでもなかった。そのかわり、通路のかなり奥の方から、何か重いものがこすれるような音が響いてきた。
『ダークンさん、向こうの方からお腹に響くような音が聞こえて来たんですが
『今のところは何ともないが、何かが奥の方で起こったのは確かだ。確かめに行ってみよう』
『ほんとうに確かめに行くんですか?』
『それはそうだろう。放っておいたら、何かの拍子に足をすくわれることもあるからな。俺の
『かなり、
『あたり、
『はい』
ここからは、トルシェも進むのに
その黒さがまた不気味で、立体感がまるでなく、三次元の世界の中に黒のマジックインクで二次元の線を引いたように伸びたムチが、ムカデを炭に変えていった。
『トルシェ、おまえの「光のムチ」黒くできるんだ』
『「闇の眷属」に「光」はないな、と思って、黒くしてみました。名付けて「
『トルシェの才能を素直にすごいと認めよう』
『エヘヘ。ダークンさん、ありがとうございます』
そんな感じで通路を進んで行くと通路が右に折れていた。
かすかにだが、通路の先の方から、低い音が聞こえる。何かが近づいて来ているようだ。
『向こうに何かいる、俺が先行する』
『はい』
俺が先に立ち、いつもの戦闘態勢、両手にエクスキューショナーとリフレクターを構え、腰を大きく下げ、這うような姿勢で先に進んだ。トルシェも俺のマネをして大きく腰を下げ、俺についてきている。
『トルシェ、すぐそこ、また罠だ。気をつけろ』
『これなら、わたしにもわかります。落とし穴みたいですね』
『ここは放っといて行こう、見えた。デカいぞ、人型だ』
『わたしにも見えました。デカいですね。あののっそりした感じは、ほんとにゴーレムかもしれません。初めて見ました』
『攻撃できるまで近づいたら、なるべくデカい魔法をヤツに
『はい、任せてください。特別でっかい「ファイア・ボール」をお見舞いします』
『よし、それじゃあ、いくぞ』
『はい』
50メートルほどまで
ゴーレムといえば、なんとなく石で出来たようなロボットを想像していたのだが、こいつはやっかいそうだ。
『いきます』
そんなことを考えていたら、後ろに続くトルシェから声が上がり、巨大で真っ白の火の玉が俺の脇を通り過ぎていった。それに合わせて俺も一気にゴーレムに間合いを詰めようと駆け始めたのだが、
ドッガーーン! ものすごい音と、
その爆風で俺の体が浮き上がってしまい後ろに吹き飛ばされてしまった。もちろんトルシェも同様で、かなり吹き飛ばされたようだが振り向くとすぐに手をついて起き上がったので命には別状なかったようだ。
『トルシェ、立てるか?』
『頭はくらくらしますが、大丈夫です』
俺も、体にダメージはなかったようで、すぐに起き上がり、今の一撃をもろに受けたはずのゴーレムを見ると、爆発の衝撃で通路は大きく削られ広くなっているのだが、ゴーレムそれ自体は何事もなかったように歩みを止めることもなくこっちに向かってきている。
『今のでもなんともなかったようですね』
『だな』
いまのが効いていない。こいつは強敵だ。
そうだ! ゴーレムは額に何とかいう文字が書いてあって、その最初の1文字を消してしまえばかりそめの命を失って停止すると聞いたことがある。このゴーレムの額に何か書いてないか? どうだ?
あった! 何か書いてある。やったぜ。
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