第42話 新たな探索、一層下へ
トルシェも序列一位の俺の
『そろそろ行きましょうか』
『トルシェ、忘れていることがあるだろう、俺も今まで忘れていたんだがな』
ご神体さまに向かい起立。
これで、トルシェも察したようで、そろって起立し、
二礼、
西洋風全身鎧を着た
『探索、再開だ』
『はい』
ちなみに『暗黒の聖水』が一杯に入った水袋は3個ほど俺がリュックの中に入れて持ってやっている。
『しかし、このブラック・スライム、飽きもせず湧いてますよね。これを何かに利用できればいいんですがね』
『こいつら、
『金バケツって金物でできたバケツってことですよね。雑貨屋に売っているのは木製のバケツしかありませんから、
『なんだか、スライムってテイムすればカワイイかと思ってな』
『テイム?』
『そう、テイム。知らないのか? まあいいや、要は子分にするってことだな』
『それじゃあ、わたしはダークンさんにテイムされちゃったんですか?』
『おまえは俺にテイムされたわけじゃないが、結果は同じだからテイムされたと思っていても間違いじゃないな』
『ちょっとそれはイヤなような』
『冗談だよ。おまえと俺は、この指輪と、おまえのその指輪で
『「魂でつながっている!」いい言葉です。グフフフ』
『分かっただろ。こんど街に行ったら、
そう言いながらも、いつものように、スライムを
『闇の神殿』からそんなに歩くこともなく階段の下り口にたどり着いた。
上からのぞいた階段は、やはり黒い
トルシェと並んで、おそらく300段ある階段を下りていく。最初、1、2、3、と数えながら下りていたのだが、トルシェに話しかけられたりしているうちに、すぐに数が分からなくなった。
約300段を下りきったそこは、上の層と変わることはない黒い石で組まれたような通路のある階層だった。通路は一本道で階段を下りたところから左に折れてそれがまっすぐずっと続いている。そしてその通路には、てかてか黒光りした長さが2メートル、太さが太いところで20センチは有りそうなムカデがそこら中でうごめいていた。
普通のムカデと違うのは、ちゃんと目があることで、30センチほどの
頭には左右に大きく張り出した
『むかしはこういったムシは全然ダメだったんですが、今は何でもないです。不思議なものです』
トルシェは落ち着いたものだ。それに比べ文明スケルトンの俺はどうもムシは
ここは
『トルシェ、頼んだ』
『はい。それじゃやっちゃいます』
突き出した右手から、今度は真っ白に輝くムチのような物が現れた。そのムチがくねりながら通路の壁に取りついていたムカデを打ち
ジュー。
熱く熱した鉄板の上にバターを乗せた時のような音をたてて、ムカデが丸くなって床に落ち、そこで、部品がバラバラになってしまった。つやのあったムカデだったが安物の炭にでもなったように光沢はなくなっていた。
『今のはなんだ?』
『見たまんまの「光のムチ」、ライト・ウィップです』
『名前のまんまだな。で?』
『はい。「光のムチ」が当たった
また、凶悪なのを。ドライヤー魔法の
『えへへ、ダークンさんの教えてくれた火の玉操作を続けていたら、たいていの魔法は思っただけでできるような気がして、やって見たらできちゃいました』
できちゃいました、ねえ。やっぱりこいつは魔法の天才だった。いつかは花開くべき才能の
『それなら、どんどんムカデをやってくれ』
『はい』
通路にはムカデの炭がそこら中に散らばって散々なことになったのだが、どうせ2、30分もしたらダンジョンに飲み込まれてなくなるのだろうから邪魔にはならないだろう。
この炭がなにか役に立つものなら拾ってもいいが、いまのところ何の役にも立ちそうもない。一つだけ記念にとリュックの中に入れておいただけで後は放っておいた。
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