第37話 テルミナ、武器屋
『ダークンさん、ここまでくればもう道に迷いません』
俺たちは、上りと下りの階段をつなぐダンジョン内の
俺たち二人と同じ方向に進む冒険者たちは、大きく膨らんだリュックを背負っている者が多い。
冒険者たちの
そんな中での、ゴツい全身鎧で
5層から4層、3層と何事もなく上り、幹線の洞窟を行き来する冒険者の数はだいぶ多くなって来た。
前方から俺たちとすれ違う冒険者は
そして、とうとう1層のダンジョンの出入り口のある大広間にやって来た。大勢の冒険者たちがいる。そして大広間の正面にはかなりおおきな楕円形の黒い渦が見える。
『あの黒い渦が「大迷宮」への出入り口です』
確かに、多くの冒険者たちがその渦の中から現れ、また、同じように吸い込まれていく。
『俺たちも、行くか』
『はい』
渦を抜けると、そこはテルミナであった。なんちゃって。
『大迷宮』の外はちょうど朝方だったようだが、それでも周囲のあまりの明るさに目が
後から渦から出てきた連中がそんなところに立ち止まって
俺たち二人は第三者的にはそうとうな危険人物に映るのだろう。
『わたしたちには換金する荷物は有りませんから、そこのゲートの脇から出られます。一度出てしまうと、冒険者カードがないと入れませんが、カードは冒険者ギルドで登録すれば簡単に手に入りますから問題ないでしょう』
ダンジョンに入る冒険者の冒険者カードをチェックしている職員の後ろを抜けて街の中に入った。確かにここは日本じゃない。とはいえ、ハウス〇ンボスっぽいテーマパークの可能性も、あるわけないか。
通りの両側に並ぶ建物は、黒い太目の柱で壁は
朝方のためか、明るい日中はいつもなのかはわからないが、
『トルシェ、俺に
『すみません。ダンジョンの中にいるときは全然おなかが空いていなかったのに、外に出たとたんにおなかが空いてきたみたいで』
「〇$◇∞!△▼#&&~※」
やはり何を言っているのかさっぱりわからなかった。そりゃあそうだ。
トルシェはお金を払ってホットドッグのように長細いパンの真ん中に肉やら野菜を挟んだものを受け取って歩きながら食べ始めた。
『モグ、モグ。ダークンさん、どこか行ってみたいところは有りますか?』
『まず、武器屋だな。この剣の
『わかりました。武器屋はたくさんありますが、わたしのお勧めのお店に行ってみましょう』
テルミナの街を見物しながら、トルシェに連れられ通りを歩いている。
季節が今は春か夏なのかはわからないが、多くの建物の軒先には、赤や黄色の花が咲き乱れたバスケット風の鉢が吊り下げられ通りを
どこか春の西洋の
まだ営業時間前だったようで、入り口が閉じている。どうしたものかと思っていたら、ガラガラと、入り口の戸が開いて中から、15、6歳の娘が
これを見て、トルシェがその娘に話しかけた。話し終えたところで、
『今出て来たのは、この店の主人の娘さんです。わたしを見ても分からなかったみたいなので、説明はしませんでした。もう中に入ってもいいようなので、入ってみましょう』
『俺も、言葉が分かればいいんだがな』
『値は張るようですが、そういった魔道具も売っているらしいです』
『売ってるものなら、ぜひ欲しいな』
『大金を稼ぐ理由ができましたね』
俺の
娘さん、トルシェに続いて入った店の中には、鎧を着たマネキンが何体も飾ってあった。壁には見た目の立派な剣や、
俺ではどんなものを買っていいのかわからないので、
『トルシェ、おまえに任すから、選んでくれるか』
そういってまず、エクスキューショナーを渡して、鞘を選んでもらうことにした。
『これなんかどうです?』
トルシェの選んでくれた鞘は、木でできた
その鞘にエクスキューショナーを入れてみるとしっくりくる。なかなかいい品だ。
『これでいい。それじゃあ、次は「スティンガー」の鞘を
トルシェが持ってきたダガー用の鞘は、材質は分からないが、表は黒に近い濃い緑で、全く目立たない鞘だ。これは、アサシン用の装備か何かの色じゃないか? 俺の『スティンガー』ぴったりだ。
その後トルシェは、布製の
まさか店の中で今着ている鎧を脱いで着るわけにもいかないので、鎧下はトルシェに持ってもらうことにした。
剣帯は、鎧の腰部分についている金具に通し、そこに鞘にいれた剣を差した。こん棒の方は剣帯の脇の小さなベルトで持ち手を
『トルシェ、ありがとうな』
『どういたしまして。それじゃあ、冒険者ギルドで冒険者カードを作りましょう。おそらくわたしも死んだことにされているのでしょうし、見た目がだいぶ変わっていますから、新しく登録し直します』
[あとがき]
作者「
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