126話 おっさんボコボコにされ【完敗】する。

ボスとの距離僅か数十m


登場時と同時に霧散した強烈な殺気が無い筈なのに背筋が凍るような冷たさを感じる


踏ん反り返ったままの姿勢で動かないボスと直人は数十m離れてるとはいえ、既に互いに間合いの中である



(見た目に惑わされるな!

     コイツはボスなんだ!!

       しゅ、集中しろ!俺!)


正眼に構えてはいるが、動揺するあまり、剣先がブレブレで全然集中出来てない直人



(未熟なり)


そんな心の葛藤を見透かしたように何処からか渋い声音でそう聞こえた


「えっ?」



ほんの一瞬ではあるが、その声に戦闘中にも関わらず気を抜いてしまう直人


フッ、、


ボスの姿が消え


ドガアアアァァァァン!!


地面を削り、音を置き去りにしながら後方数百メートルまで飛ばされた直人


《マスター!!起きて下さい!》


「かはっ!うぐっ、、なにが、、?」


何が起きたのか理解が追いつかない

恐らくボスにより飛ばされた際に離してしまった【斬魔刀】

仰向けで倒れたまま

なんとか頭を持ち上げようとすると、

リズからの警告


《来ます!迎撃して下さい!》


「ちょっ!くっ、

   いつやられたのか分からな、い」


状況がイマイチ飲み込めてない中、腕力だけで体を起こし飛ばされた方向を見ながら再度【斬魔刀】を掴もうとしたら


右の脇腹から衝撃を受けた。


ドゴォォォォォンン!!


直人「うがぁぁぁ!?」


高速に飛ばされながらも2回目の攻撃にも反応出来ない状況に混乱する直人


「ステータス勝ってるだよな!?

    ボスの攻撃全然分からんぞ!?」


またも数十m飛ばされるが、今度は地面を踏ん張り倒れないようにしながら声を荒げる


《マスター!落ち着いて下さい!

   ダメージ自体は軽微です!!

   しかしボスの素早さがマスターの

   ステータスを上回ってますので

   後手に回っています!

   守りに集中し、反撃の機会を

   (おかしい、私も捉えららない》》


今まではなるべく直人の好きなようにさせていたが今回はボスがデータ以上に強過ぎる為、出し惜しみなく助言をするリズだったが、己の探知能力でさえ捉えきれないボスに焦りを感じながら疑問を抱く。



数十m飛ばされた先で急ぎ態勢を整えると攻撃を受けた場所を確認する直人


(衝撃の割にあんまり痛くない?

   なら相打ち覚悟でカウンターを、)


と考えた所で背後から殺気を感じ、顕現させた【斬魔刀】を盾にしながら振り向く直人


ドゴォォン!!


「があっ!?(下からだと!!?)」


上空に飛ばされる直人、殺気は確かに背後から察知した筈だが、飛ばされる瞬間、僅かに捉えたボスは直人に向かって左拳?を下から突き上げてる姿だった。


3度目の攻撃にダメージが少ないのを理解したので、地上から発せられる殺気に、上空30mから見下ろす直人しかし


(いない!?なんで!?殺気は確かに

   下から発生してる、、)


ズドッ!!


下を向いた直人の背後から4度目の衝撃


一瞬で受け身も取れないまま地面に激突


ドガァァァ!!


(うぐぅ、、クソ、、)


体のダメージはそこまででも無いのだが

ここまで一方的に打ちのめされた経験が無い為

怒りが込み上げてくる


両手に力を込めると地面にメリ込んだ体を勢いよく空中まで飛び上がると回転しながら着地し、

【斬魔刀】を構え直す


「早いだけのウサ公が!なっ!?」


目の前に現れるウサギのボス


驚きつつも勝機と【斬魔刀】を振り下ろそうとした時、背後で強い殺気を感じる

ボスが目の前にいるにも関わらず

殺気に引かれ背後に向かって振り抜いた



当然空振りする



「殺気のフェイント!?」


一方的だった攻撃の正体を理解した直人だったが、次々と襲いかかる殺気に身体が反応してしまう


先程と違いボスは直人の前で静かに仁王立ちしてるだけであった。


数度目の殺気による攻撃を空振りに終わらせると

右から来る殺気を無視し目の前のボスに向かって切り掛かった


(殺った!)


ボスを斜めに両断したが、

それは残像であった。


《マスター!?その攻撃はダメです》


リズの叫ぶような忠告も虚しく


両断したら喜んだ表情のまま、先程無視した殺気の軌道から直人に攻撃が当たる


トンッ、、、


右の脇腹に軽い何かが当たった瞬間


体の中心に電流が走ったかのような衝撃を受けた


「あがっ!?」


リズ《そんなっ!?マスター!?》


【斬魔刀】を振り抜いた姿勢のまま驚愕に見開いた目は、体をビクンッと痙攣させた後白目となり

崩れ落ちた。

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