大盾使いの少女のパーティーはロックトータスの甲羅を入手する

  ロックトータス。レムナント岩場に主に出現する巨大な亀のような魔物である。体長が4、5m程ある巨大な魔物で、その甲羅は岩石のように硬いことからロックトータスという名が付いたと言われている。


  そんなロックトータスの甲羅の入手を依頼されたティファは、レムナント岩場で、ちょうど依頼された数三体を見つけた。ロックトータスはまだティファの存在に気づいておらず、流石は魔物というべきなのか、岩や石をボリボリと食べていた。そんなロックトータスに若干引きつつも、ティファは気を引き締めて作戦を開始する。


「それじゃあ早速いくよ!まずはいつもの……『挑発』!!」


ティファの『挑発』が発動され、ロックトータスはティファの存在に気づいて、ロックトータス3体は噛みつきや体当たりなどの攻撃を仕掛ける。ティファはその攻撃を平然と受け止める。もちろんダメージは全くの0だ。


「おぉ……!?本当にロックトータス3体の攻撃を受けてるのに傷一つついてない!?これが噂のティファの∞の防御力ですか!?」


「驚くのも無理ないけど、今回の作戦の要は貴方なんだから頼むわよ」


「おっと!そうでした!では!アヤ・サクライ!行ってまいります!!」


ティファがロックトータス3体の攻撃を受け止めている場から、少し離れた後方の地点でアヤとリッカがそんな言葉を交わし、アヤが全力疾走でロックトータスの背後に回り込むと


「では!まずは1体目!!」


アヤはロックトータスの甲羅をまるっと一つ無理矢理剥ぎ取った。

  魔物の素材の入手はドロップの底確率な方法よりも、HPを残した状態で素材を解体するという方法で素材を入手する事が出来る。

  しかし、この方法はかなり難しい。まずは解体する魔物を取り抑えなければいけない上、解体する際にダメージを与えてしまい、素材を入手する前にHPを0にしてしまう可能性が高い。

  だが、魔物をHPを削らずにその場に留める事が出来るティファがいる。おまけに、ロックトータスの甲羅は、ロックトータスの本体ではないので、甲羅を剥ぎ取ってもロックトータスにダメージはない。まぁ、それでもロックトータスの甲羅は岩石のように硬いので、剥ぎ取るのは難しいのだが、そこは攻撃力999999のアヤがいるので問題ないという訳である。


「では!続いて!2体目と3体目も!!」


ロックトータスが未だにティファに夢中に攻撃を仕掛けている内に、アヤは他2体のロックトータスの甲羅を剥ぎ取る。甲羅が取られたロックトータスを見て、ティファは何とも言えない表情になる。


「亀って、やっぱり甲羅がないと亀って感じがしないね……」


「確かにそうですね……」


ティファの呟きに同意するように、アヤも苦笑を浮かべてそう返す。


「そんな事いいから!ティファはともかく!アヤは早く離れなさい!!今から魔法をぶちかますから!!」


リッカの声を聞いて、アヤは黙って頷いてロックトータスから離れる。ティファはロックトータスが逃げないように『挑発』を使ってこちらに集中させる。そして、ロックトータスの弱点である風属性の上級魔法をくらい、ロックトータス3体は3体共アッサリ魔石に変わった。




「さて……ロックトータスの甲羅3つは問題なく手に入ったけれど……これ……どうやって運ぶの……?」


ロックトータスの体長のほとんどしめていた甲羅である。その甲羅がまるっと3つもあるので、持ち運ぶのは困難である。一応、「マジックバック」という魔石や魔物の素材などのアイテムを、一つのカバンに収納出来る魔道具はあるのだが、それでも限界容量はある。ティファ達が持ってる「マジックバック」では、甲羅一つも入れられるか怪しい。


「大丈夫です!お任せください!これも修行です!!」


アヤはそう言うと、ロックトータスの甲羅を椅子を運ぶかのように簡単に持ち上げ重ね合わせ、その重ね合わせた甲羅を背中に背負い込むように持ち上げる。


「さぁ!早速コックルさんの店に戻りましょう!」


アヤはそう言って甲羅を持ち上げたまま普通に歩き出す。ティファとリッカはそれを見て引きつった笑みを浮かべる。


「……リッカ。ロックトータスの甲羅って実は軽いのかな?」


「前に読んだ魔物図鑑によると、ロックトータス本体の体重はそんなに重たくなく、その体重のほとんどは甲羅の重さらしいわよ。ちなみに、ロックトータスの体重は甲羅を含めて500kgだそうよ」


そんな重たい甲羅を3つ軽々持ち上げ、普通のスピードで歩くアヤを見て、やっぱり規格外だなぁと改めて思い知らされたティファとリッカであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る