16日目 『絶海の探偵』感想

 彼曰く、お前を絶対に見つけてみせる。


 ***


 コナン映画の中でも一番特異な内容だと思ってます。なぜなら絡んでいる現実が多すぎるから。フィクションなのにこんなにノンフィクションの要素をつけてどうするのかしら、と思う一方で「現実は小説よりも奇なり」って言葉を思い出す。脚色というのはギリギリを攻めることに楽しさがある。つまり脚本の見せ場でもありそうですね。難しい内容をどうわかりやすく映画に落とし込むか、ましてやあの、みんなの名探偵コナンです。子供も楽しめてこそですよ。

 といいつつ、私この映画の印象あまり強くないんです。内容難しすぎて理解しようとする前に、観るのを諦めてしまったのかもしれん。公開当時は高校生くらいか、ありえることですね。

 まだ映画について興味を持っていない、オタク街道をひた走ろうと片足を突っ込み始めていたころです。アニメの作画だとか、映画の演出云々よりも、声優とか俳優のわかりやすいものに対して目を向けていました。それがこんな人間に育つとは……。まさかですよ、この未来は。



 早朝、京都府舞鶴湾で海上保安官・倉田が不審船を発見する。

 同日、舞鶴港に停泊する海上自衛隊のイージス艦「ほたか」の航海体験に参加していたコナン達。不審船騒ぎにより厳重になった検問で入船時に携帯電話を取り上げられてしまう。順調に航海は進むが、CICの戦闘訓練終了間際、イージスのレーダが未確認の潜航物体を発見する。航海長たちの機転で乗客たちは訓練の一環だと思い込むが、コナンはこの騒動に疑問を抱く。

 その後の甲板見学で、コナンは雨宮勇気という子供とその父親を見かけ、勇気が訓練時に一人でいたことから2人の関係を怪しむ。一方、甲板で出会った一等海佐の女性自衛官・藤井が身分を偽りイージス艦に乗っていることを知り、コナンは灰原に写真を送って調査を依頼する。調査を開始しようとするコナンと何も知らない蘭はトイレに向かう途中で迷子になり、その先の一室で人の左腕が発見された現場に遭遇する。蘭の提案で小五郎は捜査に参加、コナンも腕時計の通信で大阪の平次に協力を依頼する。その直後、通信が巡回中の海自にバレかけるも、間一髪で回避。その際、海自の無線機を通じて不審な電波を調査していた海自が探すスパイXの存在を知る。

 舞鶴港に向かう途中、平次は若狭湾の造船所で左腕のない笹浦自衛官の水死体を発見する。同じころ、小五郎の要請を受けた目暮警部たちはイージス艦での捜査に参加するが、海自側は何かを隠している様子だった。その後、甲板でマイクロSDカードの抜かれた笹浦の携帯電話が見つかる。その場に居合わせたコナンは、藤井の不審な行動を追った先で、カードを持っているのが藤井だと知る。彼女を出し抜き、パソコンに映されたデータの一部をコピーすることに成功したコナンは、灰原にデータを送信し解析を依頼する。そして、コナンの罠に気付いて戻ってきた藤井と、電波を感知して艦長室を訪れた小五郎たちが居合わせ、彼女をかばおうとする海自たちの言動を小五郎たちは怪しむ。ついに藤井は自分が情報保全隊であると明かす。自衛隊は某国のスパイXがイージス艦の機密情報を流出させるために「ほたか」に乗船していると考えていた。情報の入ったカードを持っていたのは藤井だったが、そのことを言わないことにコナンは疑問を抱く。

 そのころ阿笠博士と合流した平次から笹浦の遺体の赤い付着物が船体に使用されるTBTであること、笹浦の遺体を若狭湾から運んだと思われる海流が存在しないことを伝えられる。さらに、灰原に送ったデータがイージス艦の情報であり、一度クラウドサービスに保存されたことも判明する。そして小五郎たちの会話の盗聴で、笹浦がデータを流したことがわかる。

 対空対潜戦闘訓練時、CICに艦長がいたことから艦長室が無人だったと推理したコナンは、勇気の父がXだと気づき、彼を追い詰めるが、勇気に「お父さんが殺されちゃう」と言われたためにいったん追うのをやめ、海自のX捜索に協力する。一方、勇気を取り戻したXは2人でいるところを蘭に目撃され、さらに蘭に助けを求めた勇気により自分がスパイであることが露呈する。勇気を助けるために乱戦に持ち込んだ蘭だったが、Xによって海に突き落とされてしまう。そのころ、平次と和葉はXの協力者・竹川を追って関西国際空港を訪れていた。拳銃を突きつけられるも大阪府警の協力もあり確保に成功する。

 イージス艦では逃げ出したXが警察に発見され、脱出を図っていた。甲板に出たコナンは藤井の協力でサッカーボールを使って脱出を阻止。その後笹浦殺害の犯人が倉田であることを突き止め、コナンは推理を披露する。業務上過失だったものの、罪を認めた倉田は逮捕され、事件は無事解決と思われたが、園子たちの訴えとXへの尋問により蘭が海に流されてしまったことを知る。救出のためヘリを出動させるも、なかなか見つからない蘭。海での遭難時、海水温の低下によりタイムリミットがあとわずかであることを知っており、半ばあきらめていた海自に対し、コナンは蘭が電波時計をつけていたことを思い出し、イージス艦の電波探知装置で捜索することを懇願する。しばらく反応のない探知機に絶望していたが、微弱な電波を感知することに成功。急行したヘリが照らした先、小五郎が新調した名刺に反射する光の中に蘭を発見し、救出に成功した。



 いやー、この話本当にありそうで怖い。いつものコナンっぽくない、理屈と子供だましのようなトリックのない、リアルな海上タワーバトルみたいな緊張感。気軽に観れるものではないです。コナンの見過ぎで感覚がマヒしているのかもしれませんが、スパイが父親に成りすましているとか、情報がいつの間にか抜き取られているとか、本来はめったにあってならないことですからね。フィクションだからよく起こるだけで、現実だったらこんなに平和じゃないでしょうとも。

 近頃、私の知らない北欧のあたりでは戦闘が繰り広げられているそうですが、めったに起こらなかったことだから、市民の皆さんも混乱していることでしょう。大事ないことを祈るばかりです。

 ちなみに私、戦艦とかについてはからっきし知識ゼロ。戦争だって知りません。知っているのは戦艦「大和」の設計が二度と出来ないロストテクノロジーだってことくらい。必要になっては困りますが、必要な時に困る事実。私たちもいつまでもこの平和が続くとは限りません。一般人は一般人なりの戦い方を身につけなければいくべき、なんでしょう。もちろん対人である必要はないでしょうが、何かしらの戦い抜き、生き抜く力と知恵は持っていて損はないでしょうからね。

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