23日目 おおわらわ
彼曰く、ここからが正念場だ。
***
作品制作にかかわる大事な人が出社できなくなった。
のおおおおおおおおおおお!!!!!!!
どうすればいいの!どうしたらいいの!あの人がいないともう、クオリティも何もなくなってしまうんだけど!
キャラが!画面が!クオリティが!どうしようもなくなってしまう!
やばいやばいやばい!すべての計画がおじゃんになってしまう!
班の人間全員がてんやわんや。立つ必要もないのにあっち行ったりこっち行ったりしてせわしない。過度なストレスのせいか、私なんかは必要以上のおやつを食べてしまう。食べまくっている、カロリーーーーー!
「待って待って、落ち着いてみんな」
わらわらと、アリが巣穴から一気に出てきた状態になっている部屋の中に、凛と響く静かな声。
ふと見ると、左手を緩く体の前に出した女性が一人。
「プロデューサー……!」
「そこまで深刻に捉えないでも大丈夫。死んだわけじゃない。出社は出来なくても仕事はできるから。素材を持っていくとか、データをメールしたりとか、手段探せば確認もしてもらえるはず」
獲物を冷静に狙うクロヒョウのように。理知的な眼鏡の奥をほのかに光らせる。
一人の冷静な軍師のおかげで、色めきだった兵士たちの士気が立ち直った。
「終わったわけじゃない。勝手に諦めて、勝手に終わらせちゃダメ」
ぽんぽんと、いろんなところで起きたり起きなかったりしていた火種が、一気に一つにまとまって、大きな炎に収束していく。
「ここからが正念場だよ、みんな」
軍師の一声で、大きく燃え上がった。
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