20日目 コーンブレッド
彼曰く、たまにはこれもよきかな。
***
久しぶりの休日スタバ。実家に帰ったときも行きはしたけど、私の慣れ親しんだスタバではなかった。あそこは完全に、リラックスするためのカフェスペースだったから。
私の求める環境は、人がいっぱいで、狭苦しくて、店員さんの声が元気に聞こえてくる。それくらいのせわしなさのあるスタバだった。
そのスタバは、今日もしっかり混んでいた。
久しぶりすぎて、店に向かう時間が遅すぎたのかもしれない。東京の朝が早いことを改めて感じながら、どこ行こうかなと街路に出た。何となく右に行く。
ふと思いついて、出てきたビルに戻った。スタバのある2階ではなく、1階の別のカフェに向かう。パン屋としても人気のあるお店『THE CITY BAKERY』。スタバよりも席数は若干少ないながら、作業スペースとしての環境は万全。私好みのしつらえだ。
最近は行っていなかったけれど、今日はここに決めた。
前回も食べたけれど、ここのパンで好きなのはコーンブレッド。コーンの甘味がしっかり感じられるしっとり生地で、少しべたつくおやつ感が強いことが気に入っている。これをコーヒーで流し込むのが最高なのだ。
ちびちびと食べながら、持ってきた小説を読む。『かがみの孤城』不登校中学生の少年たちが鏡の中にある城に集められて、1年以内に願いをかなえる部屋とそこにつながる鍵を見つけるように狼面にドレスを着た少女に命じられるところから物語は始まる。様々に理由を持った不登校の子供たち。彼らの抱えた事情や気持ちが、何となく互いに察していながらも、驚きを持って明らかになっていく。文庫の上下巻で、昨日上巻を読み終えた。今は下巻だ。
人波を視界の端に映しながら、文を追っていく。アイスカフェラテの氷が、小さな音を立てて落ちる。口が寂しくなったらコーブレッドをハミハミする。
いい休日だなぁ。
読み終えて、外の景色にオレンジが混じるころ、しみじみと思った。
これくらいの休日が過ごせていれば、それでいい。
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