7日目 寝られない症候群

彼曰く、もはや寝ないための時間、かもしれない。


 ***


TikTokを開いていると、気づかないうちに夜中の2時になってしまったりしている。

夜の過ごし方としてはいたって普通な不健康な過ごし方。

眼精疲労のひどい私としては早いところ目の休養のために睡眠に移行するべきだけど、世の中の一般人と同様、布団に入った途端に携帯を開いてしまう症候群を発症しているのでなかなかやめられない。

依存症と呼んで差支えないと思うけれど、私自身は強く否定する。


「スマホを開いて、コンテンツを見ているのだから、これは私にとって吸収の時間だ」


余分な光も吸収している時点で、間違いなく健康被害になっているという意見は無視しておきます。


TikTokをやめられない原因の一つに、動画と音楽がマッチしている、というのがある。

爽快感や疾走感のある音楽に、観客がどよめくようなスーパープレイ。

しかも総集編ともなれば観ないではいられない。

全人類が諸手を上げて歓声で喉をつぶすようなシュートシーンは、スポーツをめったに見ない私でも興奮を隠せなくなる。

ルールなんてわからないし、どちらを応援しているとかもない。

スポーツファンとしては素人かもしれない。

でもそんなことは関係ないでしょう?

誰が勝とうと、何が敗因になろうと、そこに胸の熱くなる駆け引きややり取りがあって、越えられそうもない壁を乗り越える瞬間を見せてくれるなら、どんなスポーツでも構わない。

そもそもスポーツをしていない私からすれば、すべての競技が未知に満ちている。

自分には実現できないプレイを見せてくれるだけで見応えがある。

もはや麻薬みたいなもので、延々と見てしまう。


まさに病気。

囚われのベッドタイム。

私にとっての至福の時間。

こうなってしまうといつまでも寝られない。

考えてみれば「早く寝なよ、携帯なんて見てないで」と母がよく言っていたのは、こうなることがわかっていたからかもしれない。

だってあの人たちが一番携帯を見て、全然寝ない人たちだったから。

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