8日目 『薫る花は凛と咲く』
彼曰く、実家がスイーツ店の不良っていいよね。
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『薫る花は凛と咲く』三香見サカ
マガポケで最近読み始めた学園ラブコメ。
地元ではバカ校で有名な男子校に通う凛太郎。
隣接するお嬢様高校の生徒達にもすれ違うだけで怖がられ、避けられる始末。
正反対の二つの高校の生徒たちは互いに互いをいがみ合っていた。
強面ですれ違う人みんなに怖がられる凛太郎は、同じ底辺校のクラスメイトにもどこか距離を保っていた。
そんな彼の実家はケーキ屋さん。
たぶん友人に実家のことを知られたくない恥ずかしさもあるのかもしれない。
一番は自分の顔の印象を自覚していることだと思うけど。
何とも心優しい人間で好感。
ある日、母からの呼び出しで友人とは遊ばずに帰宅。
ケーキ屋の手伝いで店頭に出ると、カフェスペースには一人の女子高生。
大量のケーキを前においしそうにほおばっていた。
ちょうど口に入れる瞬間を見られた彼女は恥ずかしそうに口を押さえ、せき込んでしまう。
凛太郎が差し出した水を勢いよく飲んで、ひと段落したところで凛太郎をじっと見る。
他の人間が避ける自分に対して誠実に接してくれる彼女は、凛太郎にとって初めての存在だった。
彼女が店を出て送り出した後も、初めての感情にドキマギする凛太郎。
その後、買ったケーキを忘れていったことに気付き追いかけると、薫子は見知らぬ男性に囲まれていた。
「なんであいつと一緒にいるの?あいつ怖いって有名だよ?」
強面の自分と一緒にいることをねたまれてのことだという男たちの言葉を漏れ聞いて、やはり一緒にいない方がいいと感じて出ていけない凛太郎。
「怖いですね」
しかし、彼女は男たちに反論する。
「どうしてただの噂だけで決めつけられるんですか?」
「知ろうともしないのに好き勝手言うのはやめていただけますか?」
「不愉快です」
怒りあがった男の一人が彼女に手をあげる――。
拳が当たるその瞬間、衝撃が薫子の近くで響く。
凛太郎が、薫子をかばって抱きかかえていた。
額から血の流れる顔ですごむ凛太郎を見て、飛んで逃げる男たち。
顔を怖がることもなく謝ってくれる薫子に対し、誠実な彼女を裏切ってしまったと思い謝り返す凛太郎。
優しい人に怖い思いをさせてしまった自分のせいだ、と。
「まだ言ってませんでしたね」
そんな彼に優しく言葉を投げかける。
「助けてくれて、ありがとう」
否定的に見られることには慣れても、評価してくれる人はいなかった。
彼女のように心から優しい言葉を向けてくれる人に何度も笑顔を向けられると、欲が出てしまいそうで、また気持ちを抑えがたく感じる。
浮き上がった気持ちのまま。
いつもよりだいぶ早くに来てしまった凛太郎。
寝ぼけ眼で何気なく外を見ると、嫌いあっているお嬢様高校の校舎が見える。
凛太郎のいる教室の反対側、カーテンが揺れて開きそうになる。
「珍しいな・・・、暇だし見てみるか・・・」
小さく、窺うように揺れるカーテン。
その先にいたのは。
昨日ケーキ屋で見た、小さな少女。
和栗薫子がそこにいた。
バカばかりが集まった底辺校。
由緒正しきお嬢様高校。
すれ違えばいがみ合いばかりの高校にそれぞれ通う凛太郎と薫子は――。
絵柄が個人的に好きですねぇ。
顔が怖いのに甘いものが好きっていうのはギャップとしては手っ取り早くていい。
今後の展開が気になる作品の一つです。
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