30日目 11月末

彼曰く、言ったそばからこれですよ!ねえ!


 ***


11月末です。

有言ときどき不実行な梅です。


そろそろ竹になった方がいいんじゃないかと思うんですよ。

いつまでたっても松に成れない私には遠い存在ですが、いつまでも梅のままでは成長の兆しが見られません。

春にしか咲けないなんてもったいないじゃないですか。

春夏秋冬通して見られる方が、人としてはずっといいかもしれない。


そんなひがみもどこか虚しく響く。

声に出しているわけではないから現実には響かない。

ずっと心の中で反響している。


ごわんごわん、ごわん。


何物も存在しない暗い空間で、鳴る鐘の中に閉じ込められたような気まずさがうごめく。

私にとっての宣言とはこの程度のものなのだろうか。

風船に針を押し当てたような、居心地の悪さを感じる。

毎月同じようなことを感じて、同じように反省して、同じように奮起する。

果たして次の月、私はどんな生活を、生き方をしているのだろうか。


自分の弱みを棚に上げて、「今日こそ克服できますように」と神様に祈っている。

信じてもいない神様の、ありもしない姿を想像して、結局同じことを心の中で繰り返す。

「明日の自分は今日とは違う私になっていますように」


神様はきっと大変だ。

変わりたい、なんて願う人は世界中にいっぱいいる。

耳に届くその願いの、いったいどれだけの数を聞き届けることができるのだろうか。

神頼み、実現する願いはきっと一握りだけ。

そのうちの一つに、私はいつか当てはまるのだろうか。

その確率は、宝くじとどちらの方が高いんだろう。

私には小賢しい生き方をする能も、敬虔な信仰心も、どちらもない。

私を援助してくれる人はいるのだろうか。


いないのであれば、私には自分で自分を何とかすることしかできない。

何とか、って抽象的なことを言うのもよくないのだろうか。

でも何かになりたい、という気持ちに嘘はつけない。

自分にだけは嘘をついてはいけない。

自分のやりたいこと、やるべきと判断したことは、その通りに実行できるように努力すべきだ。

たくさんのやりたいことを実行して、乗り越えた先に、私のなりたい自分になることができるはずだから。



こう考えている私のことも、神様は見ているかもしれない。

なら私は、私が今できることをやれるように前を向こうと思う。

誰が見ていなくても、私は私を見ているのだ。

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