29日目 知らせ
彼曰く、それはとてもうれしい知らせ。
***
いいニュースを聞いた。
私の好きなゲームの一つ『うたわれるもの 二人の白皇』アニメ放送決定の告知だ。
これはとてもいい知らせ。
シリーズ第3作であり、最終章にあたるこの物語が終わらないことには、アニメも終われないだろうということは感じていた。
2作目『偽りの仮面』が無事に終わった際には「ちゃんと最後までやるんだろうね!?」とテレビ画面に向かって叫んだ覚えがある。
ノベルゲームは当時でも流行が落ちてきたころだったけれど、私にとっては最盛期だったと思う。
発売当時の私はよくノベルゲームをプレイしていた。
好きなゲームのメディアミックスは期待と不安と半々だし、アニメ『偽りの仮面』で省略された描写は正直誤解を招きかねない端折り方だったけれど、アニメ化それ自体がうれしかったから気にならなかった。
ゲームでしか聞けなかったキャラの声をまた聞くことができたし、ノベルゲームでは定番の何種類かの止め絵のみの表情がころころと変わる画面は最高だった。
だが悲しい現実はやってくる。
主人公の声優、藤原啓治さんが亡くなった。
当時の驚きと言ったらない、TLを信じられなかった。
世間の目からは『クレヨンしんちゃん』のひろしのイメージが強いだろうけど、私にとってはハクの印象だった。
自堕落で怠け癖があって、でも頭の回転はピカイチ。
機転の利く洞察力、冷静な状況判断、酒のノリもいい話しやすいおっさんみたいな主人公。
彼は最終章で本来の自分を押し殺し、恩ある故人に成り代わって国を統率した。
そんな彼が、とてもかっこよく見えた。
きっと多くのプレイヤーの心に残るキャラクターだ。
ゲームの結末も相まって、この報を聞いたときは本当に悲しくなった。
アニメ企画がおじゃんになる可能性は十分にあったし、仮にあったとしてももうあの声を聞くことは出来ないのだ。
だがアニメ企画は消えていなかった。
きっといろいろな事情はあったと思う。
でも結果的に放送は決定した。
藤原さんの代役は、やはりというか当然というか、利根健太朗さんが務めることになった。
ハクの恩人であり、ハクにすべてを託した英雄、オシュトル。
その声を務めた利根さんしか、藤原さんの代わりは務まらない。
悲しい反面、うれしさもある。
視聴者である私たちは、ただ放送を待つしかない。
せめて物語を今一度振り返って、彼らを偲ぶことにしようと思う。
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