11日目 秋の雨

彼曰く、秋の雨はなんだかあつい。


 ***


秋は台風の季節。

日本は秋になると気圧の影響で台風がやってきやすい。

どれだけ待っても涼しくならない。


厳密には一回涼しい空気が流れるんだけど、ずっと涼しいわけじゃない。

空気がなんとなくよどんでいて、涼しい時間と暑い時間が言ったり来たり。

梅雨よりも質が悪い。

もう少し過ごしやすい国になるといいんだけど、ちっともよくならない。

むしろ気候変動で暑さは増すばかり。

もう少し地球にやさしい国が増えたらいいのに。


どの国のトップも国民に言う。

「地球のために、冷房の設定温度はほどほどに」

「余分な電気は使わないように」

「用が済んだら電源はオフにしましょう!」


それで従う国民がどれだけいるというのか。

人間、どこまでいっても自分のことが優先。

トップ層はトップ層で自分の涼しさを求めて、冷房の効いた部屋にこもって会議という名のお昼寝の時間。

これが上級国民か。

ただ待遇がいいだけで、上でふんぞり返っている人間なんじゃないのかね。


そう思いながら、冷房のガンガンに効いたワークスペースにこもる日々。

これが中流国民の対抗策。

 あー、ずっと冷房が効いているなら、ここに住みたいなぁ


結局同じ人間なんだなぁ…。

いつもと同じように席に座り、いつもと同じアイスコーヒーのショートを啜って、いつものように自分のしたいことをする。


ただその時間が続きさえすればそれでいい。

そんな風に思って社会人をしていると、意外に時間がすぐに過ぎることに気が付いた。

どう過ごしても過ぎていく時間の速度は同じはずなのに、人間によって過ぎる時間は違うらしい。


やることが多い人は時間がゆっくり流れる、意外なことに。

やることが大してない人や、ほどほどの人は早く流れる。

寝てると一日が終わっているあれ。


そんな風には過ごしてたくないわ。

やれるだけやる、そういう人生にしたい。


秋の雨は鬱陶しい、どろどろとして、まとわりつく。

これまでにやり残してきた後悔みたいに肌に張りついて離れない。


これを後悔というなら、秋のうちに今年の嫌なことはなくしておきたいです。

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