18日目 パクチー

彼曰く、今日のお昼はガパオライス。


 ***


日本の食文化はとても複雑で、いろんな文化をたくさん味わえるのが特徴です。

和食はもちろん、イタリアン、フレンチ、中華、トルコ、東南アジアやエスニック。

古今東西多くの国の味、探せばどこにでもあるんじゃないかと思えてきます。

その中から好きなものを選んで好きなだけ食べることができるのは、世界広しといえど、日本くらいのものでしょう。

多分一番食に貪欲な国だと思うんです。


大食いチャレンジでめちゃめちゃ盛り上がるのも多分日本くらい。

どれだけ食うねん、食い意地張りすぎてびっくりやで。


とはいえ生き物ですから苦手な食べ物はあるわけで、その対象も様々です。

隣の新人さんとご飯の話になりました。

「昨日は何食べたの?」

「ハンバーガー食べました!初めて食べたんですよ、すっごくおいしかったです」

「ほんと、よかったね~新しい体験ができて」

「でもピクルスはちょっと苦手でしたね…、酸味があまり得意じゃないので」

「そっか、じゃあエスニック系のご飯は苦手そうだね」

「エスニック…トムヤムクンとかですか?」

「そそ、ガパオライスとか、カオマンガイとかもそうね。ちなみにパクチー食べれる人」

「あ、パクチーもなんですね!ありますよ」

「どうだった?パクチーこそエスニックの中でも苦手かどうかがわかれやすい食材だと思うんだけど」

何気ない会話、最後の問いかけに対して、その新人さんはすんなりと答えました。


「パクチーかー、寝てる間に口と鼻の中に突っ込まれたことあって、軽くトラウマなんですよねー」


空気が固まりました。

新人さんの言葉終わりに「ひゅううぅぅ」という擬音が聞こえたのは私だけではないはず。

パクチーを鼻に詰める状況に、人生何周すれば遭遇することができるんでしょう。

もし体験できるなら体験した

いやしたくないですね(即答)。

絶対私だったら耐えられない。


「大丈夫?生きるのつらくない?」

話を聞いていた上司の言葉が心にしみて感じたのは気のせいではないでしょう。

食文化と同じように、人間の生き方もそれぞれ。

面白い話を持っている人はいるんだなぁと感じました。


その話を聞いた次の日、この話を思い出して何となくパクチーを避けたのはここだけの話。

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