27日目 深夜営業

彼曰く、深夜営業をしているお店は体制と戦っているに違いない。


 ***


仕事の影響で深夜待機が続くここ数日。

別に仕事が嫌いなわけじゃないけど、そろそろ嫌気がさしてくる。

私の人生を他人に支配されていると思うと調子狂っちゃうよ。

ほんとにやめてほし。


でもまあ自分の仕事が終わりに近づいていく実感はあるからいいかな。

あと数日我慢すればいい、終わりが見えてくるのであればそれでいい。

そんな風に考えながら今日も深夜待機に備えてコンビニでローストチキンサンドを買う。

セブンのこのサンドイッチ、たんぱく質が結構とれるからって人気らしい。

TikTokで紹介されてたのを気に入って最近よく食べてる。

深夜待機ばかりだといいご飯が食べられなくて困る。

私の健康にも少しは気遣ってほしいぞ、このスロースターター。


それもこれも今の相棒が仕事を持ちすぎだからなんだけど。

仕事をたくさん持つのがいいことじゃないけど、自分の能力の及ぶ範囲でやってほしいね。

少なくても自分のやれることで稼ぐのが一番いいと思う。


深夜、回収で向かうと夜遅くまで店先に立っている嬢たちがいる。

そのすぐそばに車を止めて待っていると、なぜだか同志に思えてくるから不思議。

彼女たちと私がやっていることは全然違うけど、何かをするために我慢をしているのは同じだしね。

我慢しているのか、我慢を強いられているのか。

どっちなのかはこの際どうでもいい。

でも自分以外の誰かがいることが心底心強い。

駅前なのに暗くて、表通りからも離れているから車もめったに通らない。

身じろぎ一つが命取りになりそうな世界に感じてしまう。

そんなことないのにね。


なんとか今日の回収を終えて会社に戻る。

つもりだったけど、このまま家に戻って朝に仕事をした方が効率いい気がしてきた。

今日はもう帰ろう、さっとシャワーを浴びて明日に備えて早く寝よう。

嬢たちの前を通り過ぎていくとき、ちらっと見ると向こうもこちらを窺っていた。


 お互い頑張りましょうね


そんな風に瞳で言い合った気がする。

深夜の友、君たちのことは忘れないよ。

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