22日目 『ライトハウス』
彼曰く、くさい!お前からはクソみたいなにおいがするんだよ!
***
『ライトハウス』ロバート・エガース
またまた会社の先輩と見に行ってきました。
唐突に始まった会社の映画部。
仕事のための部署というわけではなく、ただみんなで映画を見ようねという集まり。
大学のサークルみたいなものですね。
話題の映画や見たい映画を見に行って、時間が許せばご飯食べたり感想を言い合ったりする。
ただそれだけの時間。
ただそれだけの時間でさえ、私たち大人には貴重な時間です。
時間とお金が許す限りだいたいの場所についていく私は、やっぱりここでもついていきます。
『Arc』の時と同じように事前情報なし。
いったいどんな映画なんだと思う暇もなく、上映時間ギリギリになってようやく会場入り。
「ほら~私の方が早かったじゃ~ん」
昨日夜遅くまで残っていた先輩とどっちが早く着くかを競う必要もなく競って、今回はしっかり負け。
電車乗った時点で気づきました、もう1本早く乗っていればよかったと。
本編。
4:3の昔の映画の画角、ほとんどモノクロの映像で、最初から物々しい雰囲気に包まれました。
汽笛の音だと思いますが、とても印象的で、本編の要所で意味ありげに音を鳴らします。
あまり聞いたことがないので想像でしかないですが、とても物々しかったです。
本来の音もあんな感じなら、ずっと聞いたら絶対に気が狂いますね。
まさに映画の内容も、絶海の孤島に仕事で乗り込んだ2人の灯台守が遭遇する、ホラー・スリラーです。
お互いに秘密を抱えているのか、初日から衝突する2人。
外界との隔絶、娯楽もほかの施設もない、あるのはタバコと酒と、一緒にいたくもない男。
4週間だけだったはずが嵐によって監視船が来ず、嵐が去るまで2人と自然との暗く愉しい、そしておどろおどろしい闘いが始まります。
ベテラン灯台守トーマス・ウェイクを演じるウィレム・デフォー。
新人灯台守の若者、イーフレイム・ウィンズローを演じるロバート・パティンソン。
2人の演技が素晴らしかったです。
どっちかが狂っているんだろうな、という予測はつくものの、それがこっちだという確信は得られず、時間が過ぎる。
一方が正気に戻れば一方は狂い、一方が狂気に走ればもう一方がなだめようとする。
互いに信頼しようとしていたのに、ついにはどちらが狂っているのかわからなくなり、怒号のような叫びと狂気に満ちた笑いに包まれていく。
その様ははたから見ると笑ってしまうほど。
後半は、半ばあきらめに似た心持で呆然と画面を見ていました。
まあでも面白かったです。
2人が狂っていく様が効果的な演出だったし、最近の16:9と違う4:3の凝縮された画面が濃密な演技を引き立てていました。
昔の映画もなかなかいいなと思えたので、今度何か別の映画を見てみようかな。
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