8日目 わんこ
彼曰く、あの子たちは元気にしているかしら。
***
私は犬を飼っています。
といっても、私が飼いたいと言い出したわけではありません。
今住んでいる家に犬はいないし、たぶんペットは禁止です。
犬がいるのは私の実家。
しばらく帰省する機会が失われるであろう、かの地にいます。
犬は2匹、メスとオス。
どちらもフレンチブルドッグで、白いのと黒ぶち。
白いのは2歳くらい、黒ぶちのはまだ1歳になってないんじゃないかな。
しばらく会っていないから次に会った時に覚えてくれているか。
ちょっと心配な自分がいます。
初めて会ったのは去年のGW。
社会人1年目の洗礼を受けた私を元気いっぱいに迎えたのは白い方。
大学生活最後に実家に帰省した際にはいなかったのに、
たった2か月後のGWには家族が増えていたのですから仰天です。
言葉通り、飛びつかれた瞬間に足を滑らせてすっころんでしまいました。
頭を打たずに済んだのは幸いです。
「誰も家にいなくて寂しいから飼ったのよ」
50を超えてなお現役看護婦として働く母。
私が家を出て以来、話し相手になってくれる人がいないのが寂しかったらしく、
ずっと前から飼いたいなぁという思いがあったようです。
父に負けず劣らず、家庭のために頑張ってくれた人ですから、
少しくらいの労いがあっても罰は当たらないでしょう。
すでに飼っているのですからやめてほしいなんて言えるはずもなく、
短い休みの間にたくさん遊ぶことができました。
次に会ったのは年末年始。
会社の黒さにもいい加減慣れてきたころ、
実家で待っていたのは、いかばかりか黒さの薄れた黒ぶちでした。
まさか2匹目がいるなんて。
「2匹目欲しい」とは言っていたけど早すぎる。
突っ込む気力がわく前に、新しい家族に囲まれてわきゃわきゃしていました。
玩具を投げれば飛ぶように走って追いかけて持ってきて、
寝転がると一緒になってお昼寝タイムになり、
座ってテレビを見ていると甘えるように膝に乗ってくる。
そんな2匹がかわいくてしょうがなくて、
目と鼻から流れる水分も忘れて可愛がっていました。
かわいさの前に、アレルギー性鼻炎は関係ないんだぜ・・・。
数字だけで見ればまだ全然赤ちゃんに思えるのに、
彼女たちの体はすっかり大人のもの。
写真だけでしかわかりませんが、私の見ない間にしっかり成長している。
たった2回しか会っていませんが、だからこそ会いたくなるものです。
今年はもう会えそうもない匂いがします。
私の匂いを覚えてくれていればいいのですが、
次会った時の反応がどうなるかを思うと楽しみでもある。
”男子、三日会わざれば刮目して見よ”
写真で色んな姿を見せてくれてはいますが、
いつかちゃんと再会して成長した姿を見せてくれることに期待しながら、
私も成長しないとなと感じます。
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