24日目 鬼滅の刃

彼曰く、心を燃やせ。


 ***


『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』鑑賞。


面白かったです。

漫画を読んでいるときから面白いと思っていましたが、

正直ここまで世間に流布されるとは思っていませんでした。

これも少年ジャンプの信条たるゆえんでしょうか。


「友情・努力・勝利」


厳しくつらい世の中でこうした結果はなかなか見えてきません。

それを求める人々が多いがゆえに、こうした単純な作品が好まれるのかも。

自分の感情を、迷いを、覚悟を、すべて言葉にするその簡明さ。

どの世代にも、どの人にも通じる無数の言葉。

自分自身の代弁者として、炭次郎たちを見ているのかもしれません。


そう、単純さ、簡明さ。

『鬼滅』ブームが到来したのは、まさにその分かりやすさにあると思います。

悔しさも、諦めも、覚悟も、決意も、自分の状態さえも、

すべて言葉にして、声にして、音にして、観客の耳に訴える。

炭次郎は今どう思っているのか、どうしてつらそうな顔をしているのか、

この先どうしようと思っているのか。

何もかもをさらけ出して、涙を流すように自然に泣きごとも吐いてしまう。


他のアニメでも感情を言葉にして聞かせる部分はありますが、

『鬼滅』に関しては極端なほどに。

過剰すぎるほどに想いを言葉にしているように見えました。

少なくとも私には。

印象としては「言葉の勢いが強すぎて、絵がオマケみたいに見える」。

好みの傾向として、考えさせるような小難しい話が好きな人は、

全部吐露させてしまう演出はつまらないと感じるかも。

正直私はこの部類に近いので、拍子抜けしてしまう部分も出てきてしまい、

途中で熱量が冷めてしまいました・・・。

ちょっと残念。


でも例えば子供や、小難しい話が苦手な人、感情にストレートな人にとっては、

雨が降れば地面が固まるように、すっと染み入って理解が固まりやすいかと。

アニメとして、とてもいいと思えるのはこの部分。

誰にでも分かりやすく、感情を一つに限定して観客に伝えるので、

登場人物の感情の受け取り方が限りなく1つの形に集約されるわけです。

これは作品を観てもらう上で作者の意図を最大限伝えることにうまく作用します。

鑑賞後に同じ作品で、同じ印象を持つことができれば、

共感の度合いは高まって当然。

周囲に波及していくのもうなずけます。


公開からたった3日で40億円の興行収入になったと報じられました。

コロナ禍で映画館事業が大変な中、

『鬼滅の刃』がその悪流を断ち切る刃となるのか。

今後の伸び率に期待が高まりますね。

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