6日目 ミートソース
彼曰く、今日はカルボナーラの気分ではない。
***
お昼ご飯を食べているときのお話。
今日はコンビニご飯です。
理由は、ご飯を持ってくるのを忘れたから。
私のお弁当は炊いたご飯が基本。
他は気分で作ってきたり、会社で売られている100円おかずだったり、
近くのスーパーとかコンビニでおかずだけ買ってきたり。
さぼりと言えばさぼりかもしれないですが、
家に帰ると料理をする元気が出ません。
1日だけならまだしも、毎日は無理ですね。
ただ実家から送られてくる米は炊くだけなのでらくちん。
せっかく買うことなく届くのですから、実家のおこぼれにあずかるべきでしょう。
ふんだんに、存分に、脛を齧らせていただきます。
さて、親の生きているうちは遠慮なく頼ろうという他力本願な私ですが、
米を炊くのと、お弁当を持っていくのはさすがに誰かに頼れないです。
これでも大人ですから。
でも残念ながら今日は持っていくことができませんでした。
なので久しぶりにコンビニご飯と相成ったのです。
いわば不可抗力。
節約の神も許してくれるでしょう。
たまにはちょっとジャンキーなものも食べたくなるんです。
いつもお米ばっかりなので、今日はパスタにしようかな。
コンビニに向かう5分間であらかた方向性は決まり。
入店してすぐに棚を見ます。
ペペロンチーノ、ナポリタン、バター醤油パスタ。
大盛で誘惑してきますがやっぱり気分ではない。
今日はミートソースにしましょう。
隣にいた明太ソースパスタもそそられましたが、我慢我慢。
早くしないと昼休みが終わってしまうので、
決めたらすぐに買って帰るのが私流。
そんなこんなで買ってきて共有スペースに陣取りましたが、
対面に知らない誰かの辛々魚。
財布を席に置きに行った間に誰か来たようです。
共有スペース、こういうところが自由さで、
ちょっと不自由を感じるところ。
不機嫌ではないので許しましょう。
他部署の先輩でした。
「ああ、先輩でしたか」
「そうでーす、お邪魔するね。今日はコンビニなの?」
「です、たまにはいいかなって」
「いいんじゃないー?むしろ毎日お弁当出来てる方がすごいよー」
「炊いたご飯持ってきてるだけですけどね」
「それがすごいんだってー、お昼ちゃんと食べれてるの羨ましいもん」
「先輩も時間作らないとですよ、食べなきゃ頭も働きませんから」
「うっ、さっきおんなじこと後輩に言われたー・・・。いや分かってるのよ、分かってるんだけどね?仕事しないといけないなーって思うと、お昼にコンビニに行く時間も惜しくなるんだよね」
「会社に来る途中でよればいいじゃないですか、すぐ食べれますし。会社の近くにもあるんですから」
「私の通勤ルートにはないんだよー。スーパーもないし、持ってきたとしても自分のデスクでぱっと食べれるものばっかりなんだよねー」
「それ全然休憩になってませんよ。なんか新人みたいですね」
「ほんとそれ、私もそう思う!」
「そう思うなら先輩らしく時間の上手い使い方を見せてください、お願いしますよ」
「くぅ、可愛くない後輩だ・・・。ていうかそれのせいで、ミートソース食べたくなってきちゃったんだけど。ちょっと交換しない?」
「ダメです、先輩には辛々魚があるでしょう。買いだめしてあったものならちゃんと未来へ投資した分を回収しないと」
「ううう、ミートソースが強すぎて気分にならない~」
「残念ながら、今この場を支配しているのはミートソースなので、誰にも拒否権はありませんよ。濃厚で煮込まれた肉とトマトの匂いに屈服してください」
「くそー、ぜったい晩ご飯ミートソース食べてやる!」
昼下がり、そんなくだらない会話で盛り上がりました。
案外楽しかったです。ミートソースも美味しかった。
ついでに買ったサンドウィッチも食べました。
食べすぎたのは反省です。
次はお店のパスタを食べに行きたいです。
ちなみに明太パスタを止めた理由。
先週持ってきていた明太子を、お弁当袋ごと会社に忘れたので、
お昼にする予定だった明太子ご飯が晩ご飯にシフト替えしたから。
臨機応変に対応できる、コンビニのメニュー開発の貪欲さに感謝です。
種類豊富でいつも助かっています。
でも頼りすぎは財布と体に良くないので、
またいつかピンチの時にお願いしようと思いました。
終わり。
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