5日目 台風

彼曰く、台風の季節、そなたはいずこ。


台風の季節、日本の秋。

日本と言えば、地震大国、火山大国なんて言われますが、

それと同じくらい台風大国でもあると思います。

夏を過ぎ、まだけだるくなるような残暑の中、

重たい空気をさらに重くするような湿気多分の空気が北上してきます。

しかしそれは台風の正体ではないのです。

季節がら日本の南側にこごったようにそこに滞留する湿った空気が、

台風の風に吹き上げられ、もとい連れて行かれるようにして、

日本に上陸しようとするのだそうです。

台風でなくても、風が吹けば陸地に向かって流れ込むのですが、

このころの特徴的な気候のせいで、どうしても台風が犯人になりがち。

結果、台風と秋雨前線が一緒になって、

日本を湿気の海に再度沈没させるのです。


これが日本沈没か・・・。

湯浅監督が描きたかったのは、

台風被害に圧し負けて、途方に暮れるであろう人々、

梅雨の時期の豪雨から解放され、いざ復興となった途端に襲う、

悪夢のような濡れ地獄。

なんなら台風のせいで豪雨の時よりも悲惨な末路が待っているかもしれません。

そんな残酷な運命を背負っている日本と日本人。

それでもこの国で生きていこうとする日本人。

そんな私たちが真に国を失った時にどうなるか。

可能性の1つでしかない未来を最大限に夢想して書き上げた作品なのかもしれない。

そんなふうに思ったりする今日この頃。


ニュース曰く、台風10号とやらがこちらに向かってきているらしいですね。

先日9号が発生したばかり。

まるでピッチャーマシンのように、

投げては球をこめ、すぐに発射していくスピード感。

こちらの準備が間に合う前にやってくる感じは容赦ないですね。

もう少し人間にやさしくしてほしいです。

太古の昔であればわざわざ体面を気にすることもないでしょうから、

むしろ恵みの雨霰と喜び沸いて雨に打たれていたでしょうけれど、

今の私たちはなんだかんだ恥じらいと尊厳の塊。

濡れることは嫌なものです。

なんだか汚いですしね。

男性であれ女性であれ、濡れた人がこっちにやってくるのはホラーです。

白装束なら殊のことのほか

魂持っていかれるまで秒読みかもしれないと思うと、

濡れること自体が命のやり取りのようで外に出たくもなくなります。

科学と天候の研究が進んだ今はちょっとだけ未来のことが見えますから、

それにあやかって早いうちに買い物を済ませましょう。


そう思って昨日は帰り道にスーパーで少しだけ多めに買い物をしたのに、

今日の東京の天気と言ったら。

湿り気のある重たい空気は熱いけれど、

わずかばかり吹く風のおかげでそれほどきつくなく。

空を見上げれば青ばかり。

雨と暴風なんてどこにあるのか。

余計に心配して損をしてしまった気がします。

昨日の突然の雨に濡れた洗濯物の気持ちを考えてほしいものです。

次に台風という単語を聞いたら、

どこ吹く風と言ってやります。


被害にあっている人たちは大変でしょうから、

どうかお気をつけて。

無事であることを祈るばかり。

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