23日目 スイカ

彼曰く、果たしてこれは果物なのかどうか疑いたくなる。


最近あるゲームにはまっております。

先日も紹介いたしまして、

私の中でこの夏のホラー要素として活躍してくれた1つ。


『The Last of Us Ⅱ』

実に7年ぶりの続編と相成った作品でございます。

前作と舞台は変わらず、菌性のウイルス蔓延により、

感染者の跋扈する荒廃したアメリカ。

近代都市の構造なんて全無視、ビルと植物が同化して、

瓦礫の山が積まれた街。

ドアは板でふさがれているのに窓は割れて壁は壊れている。

前作の主人公ジョエルに助けられた少女エリーが今回は主人公。

さらに今回はもう一人の主人公アビーも操作キャラとして登場。

エリートアビーの2人の視点を行き来して、

それぞれの冒険、もとい復讐劇が幕を開けるのです。


先週に先輩からお借りしてちまちまとプレイしておりまして、

今日ようやくエピローグまで走り抜けました。

掃除はまあ、、、ほどほどにやりましたが。

私が掃除すべきはもとから汚いこの部屋ではなく、

悪魔はびこるアメリカの地だ!

そう言い聞かせてさっきの日記を書いた後に終わらせました。

正直なところ、もう終わりが見えていたので、

ここまで止まるなら最後まで、と思いやってしまいました。

また罪なことをしてしまいました。

悔いはあるけど失敗とは思っていないので良しとしてあげましょう。

優しい私がいてよかったですね。(誰目線)


ゲーム技術の進歩の影響で、

グラフィックはもちろん、操作性、作りこみ、

細かい描写やストーリーもレベルが上がっています。

キャラはより人間らしく、

感染者はより化け物らしく、

自然はより自然らしく、

そこにあるのが当然というように存在している。

廃墟に腐りかけの樹、アンバランスな建物は今にも倒れそう。

足場にしているはりが壊れれば下は動くはずもない地面。

叩きつけられる未来が怖くて前だけ見ていると、

今度はいつの間にか近づいていた感染者。

さらに奥からは初めて見るタイプの感染者に新たな敵勢力。

アクションも武器もできる幅が増えたことで、

サバイバル感が増して面白くプレイできました。


話を聞くだけではただのサバイバルアクションゲーム。

しかし私にとっては立派なホラーです。

まず感染者がエグイ気持ち悪い。

天然痘の画像をたまたま見てしまった時に感じた、

総毛立つ感覚を思い出します。

見ているだけでもおぞましい。

感覚を落ち着かせようと肌を触ると、

そこに膿疱のうほうがあってブチュッと音を立てて潰れるんじゃないか、

ただれて赤くなった肌から黄色で白い液体が、

グジュリと弾け飛んでいくんじゃないか。

そんな恐怖で包まれます。


どう考えてもスリラーとかスプラッタとかの方が、

ホラーっぽいテーマにありそうですけど、

私はそれほどそのジャンルに通暁しているわけでもない。

完全な主観ですが、私が恐ろしいと思ったものは総じてホラーと呼称します。

顔どころか全身に浮き出た菌性の膿と、

それが固まって鎧のようになった表皮。

どこから顔で、どこから腕なのか、

動き方も相まって恐怖の対象でしかありませんでした。

昔の人が夢想した宇宙人だとか、

よくあるゾンビものなら多少は人間らしさがあったでしょうけど、

2000年以降の作品って、どうしてこう人間らしさを残しつつ、

この世のものではない異形さ、歪さを兼ね備えた、

もはや凶器ともいえる存在を作れるんでしょう。

安穏とした暮らしをしたい私としては理解できません。


そうは言いつつプレイはするんですが。

よくなかったのはスイカを食べてしまったこと。

一休みと思いご飯を食べていなかったことを思い出して、

先日食べきれなかったスイカを持ち出してきたわけですが、

時間が経ちすぎてしまったのかが入っていました。

切った断面にところどころ開いた穴、

熟れた証拠に繊維が溶けて実と混ざりグジュグジュになった部分。

まるでさっきまで殺しまくっていた感染者、

あるいは敵対勢力の人間の兵士の死体のようで。

思わず「ウワァ」と口に出ていました。

滴る赤い液体、手には包丁、ちょっとしょっぱくて甘い味。

想像するだけでヤバい奴認定。

この夏初めて、自分がホラーになるというホラー体験をしました。

自業自得、もとい自損事故でしかありませんが。

それなりに美味しかったので良しとします。


荒廃した世界でスイカといえば、『新世紀エヴァンゲリヲン』。

加持リョウジが育てていたのを思い出します。

あの緑と黒のシマシマの中に赤い果肉が入っているなんて、

荒廃世界で生まれた人は知らないはず。

とすれば、もはやスイカの存在自体がホラーなのでは?

もっと言えば、スイカ割りなんていう遊びは

そのホラー展開を助長する悪魔の所業なのでは?

そんなふうに妄想が斜め下に広がっていくこの夏。

まだまだ暑い日が続くので、体調に注意して生き抜いていきたいです。

どうせなら安らかに死ねるように。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る