14日目 ランチ

彼曰く、やっと元の日常が?


日曜日。

雨。たまに曇り。

ちょうど今は少し重い雲の合間。

温かな光はないものの、過ごしやすい気温です。

久しぶりに外出でもしましょうか。

黒Tシャツ、ブラウンのワイドチノ、白スニーカー。

全体的に緩めのスタイル、いわゆる休日コーデ。

大きなトートに財布とお供のメモ帳だけ突っ込んで。

無造作で無気力な顔を冷水で一掃。

目を覚ましたところでレッツゴー。


起き抜けから湿度でじめじめを感じていた部屋から出る。

この前会社に忘れて絶望した鍵をしっかりポッケに突っ込んで、

空を見上げると少しパラパラ。

強くはないけれど細雨がしっとりとした空気を運んできます。

これは傘が必要です。

締めた鍵を再度開けて、大きめの傘を手にかける。

昼前、朝は食べていないのでお腹が空いています。

駅前の商店街に行ってみることにしましょう。

時間はたっぷりあることですし、

なにより閉まっていたお店が今は開いているはず。

ネットを見ればテイクアウトのみだったお店が、

「ランチ営業を再開してます!」

元気に復活宣言しているまとめが並ぶ。

世間が活気づいてきたのと同時に、

コロナが活気づいているように、

飲食店や百貨店なども活気を戻しつつあるみたい。

どこもかしこの元気になってきてる。

無駄なものも元気になるのは迷惑だけど。

ともあれ、

街に足が向くようになるのは快方に向かっているということでしょう。

それは私もそうなのでしょう。

空模様は灰色だけど、

私の心はライトグレー。

ちょっとの心配の押しのけられるくらいには気分も上がっているらしい。

こんな時は歩きたい。

住宅の塀から覗くアジサイを見ながら、

のんびり歩いて駅前に向かうことにする。


吉祥寺駅前。

東京住みたい街ランキング上位常連。

それに伴っているかは分からないけれど、

休日ともなれば駅前には若い人であふれかえる。

老若男女、家族カップル友達団体。

日本人も、日本人以外も。

背の高い人も、恰幅のいい人も。

実に様々な人が訪れる。

少し歩けば届く範囲のこの街は多くの人気を集めている。

どちらかと言えばかなり歩くのだけど。

まあ散歩と思えば楽なもの。

傘を片手にゆっくり歩を進め、気ままに見て回る。

人がたくさんいるということは、

行列もできるということで。

ランチを再開したと聞けば、

皆が食べに来るのも必定。

人の欲求は飲食店の危機を救うのです。

そもそもここは若者の街。

ランチをしたい人たちが来るのはもはや運命。

私も含めて当然のこと。

ただ外で傘を差したまま待つのはちょっとあれ。

オープンしたばかりのところに行きたかったけど、

次回へ取っておくことにします。


決めたお店は「ヒラタパスタ」。

今回で2度目の利用になります、ありがとうございます(?)。

前回は「スモークサーモンのクリームソース」

ねっとりクリームとサーモンの凝縮された旨味が実に合う。

プチプチとしたとびっこがアクセントになっています。

爽やかにジンジャーエールで流し込むのが最高でした。

今回は「粗挽きソーセージとモッツァレラチーズのトマトソース」

チーズとソーセージの塩気がトマトの酸味と相性ばっちり。

じめじめした気候の今日にはうってつけです。

生麺の食感も、お店の代名詞といわんばかりに素晴らしい。

温かい料理が少しばかり冷えた体を温めてくれる。

前菜として出るサラダは爽やかで健康的でした。

今回はやさしめにウーロン茶。

美味しくきれいに頂きました。

ごちそうさまでございました。


外に出ればいろんな出会いがある。

本日の出会いはトマトとソーセージのマリアージュ。

チーズが棘のある2人をまろやかにまとめてくれていました。

商店街の賑わいから少しだけ外れた地下のお店。

美味しいパスタを求めていたら是非どうぞ。


店を出たら雨は上がっていた。

それでもそのうちひと雨来そう。

濡れていた傘をひと回し。

次の目的地を何となく決める。

う~ん、そうねえ。

本屋にでも行こうかな。

この街も日常を取り戻しつつある。

お気に入りの若い街。

陰にはまだアイツがいそうだけど。

いっときでも活気にまみれたのは、気分を晴れにするにはよかったかな。

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