第178話 閑話、ハンバーグ。10
材料の下準備は整った。
ひき肉になったお肉が二種類。
各種スパイスも挽き終わり粉状になっている。
玉ねぎもみじん切りになって山盛りになっている。
「うぅ~ん、まだ目がしぱしぱするデス。」
「ニャル、一度顔洗ってきたらどうだ。」
「そうするデス。」
「それでウルトゥムは手は――――いや手?手と言っちゃ手か。疲れてないか。」
「大丈夫です。」
そういうウルトゥムは触手を使て同時に複数の石臼を使いこなしてスパイスを引いていたのだ。
「ウルトゥムの触手って器用だな。」
そう言ってるうちに、
「ハ~イ、焼き立てパンのフワフワパン粉で来たわよ。」
近藤が頼んでおいたパン粉を届けてくれた。
これで材料はそろった。
「はぁ~、さっぱりしたデスの。」
「さぁ、ニャルも戻って来たし、ハンバーグづくりの続きと行こうか。」
「「おおぉ~。」」
「さてまずはひき肉を二種類、今回は1対1になるように取り分けます。」
十全たちは一つのボウルじゃなく、各人1つずつボウルを用意してそれぞれ作っていくことにした。
「そしたら今度はスパイスと玉ねぎ、パン粉を入れていきます。量はスパイスは1摘まみから2摘まみずつで玉ねぎが肉の合計に対して2割ぐらいになるように。」
「ふむふむ。」
「玉ねぎ入れなきゃダメデスか?」
「ハンバーグには玉ねぎ入れないと美味しくないよ。大丈夫だから、目に染みるのは切る時ぐらいで火を通せば甘くなるから。」
「分かったデス。信じるデス。」
「ミツルこれで混ぜるのですか。」
「ちょっと待って。これにあと牛乳、牛乳が無ければ水でもいいけどできれば乳製品を加える。」
「ヨーグルトでも良いのですか。」
「まぁいいかもね。牛乳などは本来つなぎの為に入れるんだけど、味付けに肉とヨーグルトの相性はいいだろうしやってみてもいいよ。」
「ではこれを。」
「って!ちょぉっとまった~~~~~~!」
「はい?」
「はい?じゃないよ。ナニその黒いの。」
ウルトゥムが入れようとしていたのは黒いモヤが立つボコボコという音が聞こえてくる何か。
覗き込んでみても黒いナニかとしか形容出来ない。
あと、断じて中から何者かに見られているような気配は感じてない。目があったりなんかしてない。だからこっちを見るな。
「なにって、これはヨーグルトですよ。」
「ヨーグルトって、もしかして水木しげるの書いたダンウィッチの怪で彼が訳したヨーグルトのこと?」
「誰ですか水木しげるというのは。」
確か1922年にお生まれになっていたがこの世界ではまだデビューしてないのだろう。
もしこの世界でも生きていらっしゃるならぜひ「ゲゲゲの鬼太郎」を書いてほしい。
お金ならいくらでも出す。
「とりあえず、その黒いのは使わないで。ヨーグルトは白いのでお願い。
「分かりました。」
ちょっとシュンとするウルトゥムだが、アレは食べちゃダメだと思う。
「それじゃあ材料を入れたらこねていこう。粘りが出るようにしてコネコネしていく。べちゃぁと手にくっ付くようになったら今度は形を作っていく。」
そう言って十全は手本を見せる。
「形は小判型。こんな風にドテッとした感じに丸めるんだ。そしてこう左右の手のひらでぺっちんぺっちんと投げ合う。」
「そんな風に遊んではダメではないデスか?」
「これは遊んでるんじゃないよ。こうやってお肉の中の空気を抜くことで焼いた時に割れないようにするんだ。」
「なるほど。デス。」
「こうですか。」
「お、ウルトゥム美味いじゃないか。……でも触手を使うのはどうかな。」
そうやって、いくつかの肉玉が出来上がった。
「焼きに続く。」
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