第177話 閑話、ハンバーグ。9
「さて、手洗いうがいも含めて準備はいいかな。」
「いいですヨ。」
「それではまずは材料の確認から。」
「まずはお肉。」
「今回は俺とウルトゥムで狩ってきた豚と熊の熟成肉を使う。」
「部位は何処を使うデスカ。」
「ひき肉にしてしまうから、いろんな部位の切り落としを使う。」
「ソレは贅沢のヨウナ、混ぜてしまうのはもったいないようナ。」
「ニャルはハンバーグは初めてか?ハンバーグってのはな混ぜることで美味しくなる肉の塊だ。まあ、百聞も一見も料理ならば食うにしかず。てな。」
「それ、どういう意味デスカ。」
「食えばわかる。」
「なるほど。」
という訳で早速下ごしらえだ。
肉は豚肉も熊肉もたくさんある。
これを同じぐらいの量を用意してまずは細かく切っていく。
そしてできた肉のブロックをミンチマシーンに入れる。
こう、横にハンドルが付いていて上からお肉を入れていくやつである。
ステンレス製の石臼と言った方が伝わりやすいだろうか。
石臼知ってる?
昔からある道具で重たい石を使って木の実や茶葉をすり潰す奴である。
そのミンチマシーンからぐちゃぐちゃになった肉が、シャワ―の口みたいなところからにょろんにょろんと出てくる。
豚肉は脂身が多めだったので細かくつぶす。
そして熊肉は刃を交換して粗びきにする。
「熊肉は脂身が少なく赤身も固めだから、粗びきにして歯ごたえを残すようにした。」
そう言って十全は二種類の肉の山を作った。
どちらもすでに血抜きは終わっているので厨房が血の海になることはない。
それと並行してウルトゥム達はスパイスと玉ねぎの用意をした。
ニャルが玉ねぎをみじん切りにしていく。
「こにゃくそー。この我に涙を流させるとは、貴様ら一つ残らず八つ裂きじゃぁぁぁぁぁぁぁ。」
なかなかに楽しんでいるようである。
玉ねぎはニャルに任せて良いだろう。そう考えた十全はスパイスを用意しているウルトゥムに視線を移す。
見やればウルトゥムはなかなかの格闘をしていた。
別にスパイスに手足が生えて格ゲーみたいなバトルを展開してるわけじゃない。
映像があるならわかりやすいがコレが石臼である。
石臼を回しているのである。
大きな円形の石をブルグル回して固定された石の上で間に挟んだ穀物などをすり潰す。
軸に上の石を支えるひっかけと、石の内側に溝が彫られていて、上の石に空いた穴から穀物や木の実を入れて、回転で引きつぶす。溝や上の石の位置などで引きつぶす目の調節ができるものだがコレが意外と技術が必要で平成を過ぎても御茶葉などでは専用の職人が居たりするぐらい、この工程で香りや味が変わる職人技なのである。
「ウルトゥム大丈夫か。」
「いえ、大丈夫です。ていうか、これ楽しいですね。」
ごーり、ごーり、ごーり、と石臼を規則正しく回し続ける。
使うスパイスは
クミン。
ターメリック。
コリアンダー。
コリアンダーシード。
ナツメグ。
の、基本的なものに、今の地球環境で新たに見つかったモノを3種類石臼で挽いて粉状にした。
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