第106話 正妻×元・義妹。2

「それでミルクちゃんは何で嘘をついたのかな。」

 くずおれうずくまる暁が訪ねるとウルトゥムはニコニコと笑顔を浮かべながら答えた。

「だって知らない人に本当のこと話したら駄目だよね。」

「あぁ、そうだよね。ミルクちゃんは小さいのにリテラシーが高くて偉いなぁ。」

「――――小さいは余計よ。」

「ん?何か言った。」

「ううん、それよりあなたは何処のどなたですか。」

「そうだね自己紹介してなかったね。私は暁。ミツルパパの妹だよ。よろしくね。」

「はい。ワタシはミルクです。よろしく。」


 グッサアアアアアアアアアアアア!


 オバサンという言葉が暁の胸に突き刺さる。

 安心しろ。クリティカルだが傷は浅い。

「あのねミルクちゃん、私のことはお姉ちゃんと呼んでくれる。」

「なんで?パパの妹ならオバサンだよね。」

 グサッ。

「グフッ。」

「お姉ちゃんだとパパの子供になっちゃうけど、パパのことパパって呼ぶ?」

「うぐそれはなんだかすごくダメな気が、もし私が兄さんのこと「パパ」なんて呼んだら、絶対に頭湧いてると思われちゃう。」

 暁が頭を抱えていると笑顔でウルトゥムが迫る。

「どうする、お姉ちゃんにする、ソレともオバサンにする。」

「くっ…………、オバサンでお願いします。」

「分かったよオバサン。」

 グサッ。

「それでオバサンは何の御用ですか。」

「うぅ、ついに私もオバサンになっちゃたのか。」

「オバサーン。聞こえてますか。」

「ハイ聞こえてます。ワタシオバサンです。」

「それで何の御用ですかぁ~。」

「用?ああ、そうだった。ウルトゥムさん、ミルクちゃんのママに用があって来たんだ。」

「ママに、それはどんな御用ですか。」

「いやこれはママに話すことでミルクちゃんには――――

「ねぇねぇ、いいじゃないですか。」

「だめだよ。」

「教えてくれたらお姉ちゃんって呼んであげる。」

「よし来た任せなさい。」

 チョロいなぁ~と思うウルトゥムは暁を「お姉ちゃん。早くして。」とコビを売って話を聞き出す。

「実はミルクちゃんのママが進めているハーレム計画についてお話があって来たの。」

「はーれむ?」

「うーんなんて説明したらいいのかな。」

「はーれむって美味しいの?」

「そうだね、見方によってはとても美味しいかな。」

「ねぇねぇ、はーれむってなぁに。」

「う~ん、ハーレムってのは1人の男の人がたくさんのお嫁さんを作る事かな。」

「あっ、それ知ってる。パパとママがやってることだ。」

「そう、でもね、これはホントはいけないことなんだよ。」

「どうして。」

「本来は男のお人は1人しかお嫁さんにしたら駄目なの。」

「え、じゃあパパ悪い人なの。」

「うぐ、ホントのこととはいえ子供にこんなこと言うのはきつい。」

 笑顔が曇るのを見て罪悪感を感じる暁。

「パパ、「嫁はたくさんいる。」って言ってた。」

「兄さんそんなことを――――」

「ノゲノラのクラミーとかかぐ告の早坂とか、いっぱいいるって言ってた。」

「それは多分違う嫁だと思うな。」

「でも、ママはお嫁さんいっぱいでみんな仲良くすれば幸せになれっるって言ってた。」

「うん、そうかもね、でもダメなんだよ。パパをハーレム王にしちゃダメなんだよ。」

 そうウルトゥムに言い聞かせる暁。

 そして、ウルトゥムはウルトゥムでどう説得しようか悩んでいた。

「―――――――――っは!いけない隠れて。」

「え?どうしたのミルクちゃん。」

「パパが戻って来る。ワタシのことがお姉ちゃんにバレたって知られたら怒られちゃう。」

「そうなの。」

「とりあえずそこのクローゼットに隠れて。」

 暁はウルトゥムに押されてクローゼットの中に。

 ウルトゥムが後ろ手で扉を閉めたところで、部屋に十全が入ってきた。

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