第60話 初めての社交界。1
近藤を雇うと決めたけど、すぐには領地には連れて行けない。
てか俺達もすぐには帰れない。
まだ領地を開拓するための人手を雇っていないからだ。
それに、なんか領地貴族を集めて今後の為のパーティーを開くから出ないといけないのだ。
そのパーティーまでの間に人手の手配やなんやをやっておいた。
そのほとんどが皇帝陛下の伝手を借りることになったのだが。
まぁそれは置いといて、やってきました貴族たちのパーティー。
つまり社交界というものだ。
一応俺もパーティーは初めてではない。
叙勲式や結婚式なんかも出てるし、結婚式の後には陛下主催のパーティーにも出ている。
とはいえ、
後者のパーティーはむしろこういうパーティーに慣れる為の訓練だったと思う。
会場は皇居である内裏府にて行われているだけあって広く豪華である。
そこに数多の紳士淑女がひしめいている。
正直無理。
こんなところに参加するとか戦場で敵部隊に突撃する方がましな方だ。
俺の傍らにはウルトゥムがいる。
スカイブルーの綺麗なドレスを着ている。
正直、このウルトゥムを部屋に連れて行ってエロいことしてパーティーからはとんずらしたい。
しかしそれは許されない。
傍には朱居さんが控えていて、
目の前には紅玉帝陛下が居るからである。
このパーティーには陛下と一緒に会場入りさせられたのだ。
どんな罰ゲームだよ。
これで俺はパーティー会場でおもっきし注目を集めることになった。
その後も陛下の傍にいることを強要されていたので、陛下に挨拶に来るやつらと顔を合わせることになる。
そうなれば傍にいる俺の紹介になる訳で、――――ただでさえ英雄と言われていたところに、陛下のお気に入りの貴族として上流階級に認識される羽目になってしまった。
そうなれば俺に近づこうとするものが出てくるのは当たり前で、結果、俺は陛下の傍を離れられなくなって順調に陛下に紹介されていくことになった。
ああぁ、美味しそうな料理がいっぱいあるのに。
そう思いながらも陛下の傍に居たら。
「おやおや、これはこれは東雲卿ではないか。」
一番合いたくない奴が来ちゃった。
俺はとっさにそこから逃げ出そうとしたけど、
ガッ!
と、陛下に襟首をつかまれて逃走を阻まれてしまった。
マジで勘弁してください。
その会いたくない奴は社交界でも顔が知れている名門の当主である男だけあって、陛下の前に出る時は人混みが左右に分かれて道が出来たりする。
流石に陛下の前だけに綺麗な所作で歩いていてくるが、俺にはズカズカと威嚇的に歩いてくるように見えた。
その男は何を隠そう、俺の父親だった
雲鷹は陛下の前に出て頭をたれて挨拶をする。
「お久しぶりです。紅玉帝陛下。東雲家が頭首、雲鷹にございます。――――そしてこちらが私の後継ぎとなる。」
「お初にお目に掛かります。東雲家次期頭首である、頭首・雲鷹の娘、東雲
と、雲鷹の後ろに控えていた女が進み出て陛下の前で頭を下げて挨拶を始めた。
その二人の目には、陛下の傍にいる俺の姿など目には入ってなかった。
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