第35話 ウルトゥムとの夜。その2.
ウルトゥムの上目使いに俺は紅玉帝の勅命を意識しざる得なかった。
その内容とは、
『大和帝国の為に今日中にウルトゥムを犯して孕ませろ。』
と、いうものだ。
俺が?
この140㎝以下の女の子を押し倒して、無理やりにも俺のビッグマグナム(誇張)をねじり込んで一番深いところでブッパしなければならないのか。
「ご主人様、どうかしましたか。」
ウルトゥムが黙り込んだ俺を心配して顔を覗き込んできた。
その際、身長差があるためウルトゥムは下から見上げるように近づいてきて、結果、俺は彼女を見下ろすことになった。
なものだからウルトゥムの顏が近い。
青みがかった紫の髪は肩口で切りそろえられて、わずかに毛先がカールしている。
前髪が長めで片方に流しているため目が隠れがちなのだが、今は見上げてきているので髪が更に横に流れて、2つの瞳が俺の目を覗き込んでくる。
小ぶりでスッと引き締まった輪郭、大人びているようで幼さを見せる目元、意志の強そうな眉。
それらすべてが顔のすぐ傍にある。
だからこそ気が付いた。
てか今まで気が付かなかったのが恥ずかしいのだが、ウルトゥムの耳はエルフのように長く尖がっていた。
よく思い出してみると帝都に来る前のロリモードの時は長かった気がする。
そして帝都に来るために姿を変えた時は長くなかったから、たぶん地球人に合わせてくれたのだろう。
とか考えながらも、実際はさっきの幻術で見たネコミミウルトゥムのことを思い出してしまい、興奮してまた今度聞こうという思いも飛んで行った。
だって、さきほど内裏の防衛機構の幻術にて見せられたあられもない姿のウルトゥムなんかより、今目の前にあるウルトゥムの顏の方が何倍も艶めかしいのだから。
「大丈夫ですか。」
俺を心配する言葉が紡がれる唇はなまめかしく動く。
言葉と一緒に吐き出された吐息が俺の顏に掛かる。
甘く、生暖かい香りは鼻孔から直接脳へと流れ込み、俺の意識に幸福感をもたらす。
俺のまだ冷静な部分がヤバイと告げている。
「大丈夫だ。少し疲れただけだよ。」
「何かお飲みになりますか。」
「君の唾液が飲みたい。」――――って言ったらやっぱり嫌われるかな。
自分でもそれはないわぁ~と思うし。キモチワルイ。
だからここは無難に
「君のオッパイが飲みたい。」
って、あっぶねぇ~。
今マジで「君のオッパイが飲みたい。」とか言っちゃいそうになっちゃたよ。
うん。
さっきから俺の理性が「ヤバイ、ヤバイ。」と連呼している。
俺の意識は「ヤバイ、こいつマジキモイ。」と叫んで俺の中から、俺の意識からの離脱を図っている。
そう、理性が吹っ飛びそうだからである。
だって、ウルトゥムの顔をマジマジと見ると、陛下に言われた「お前が捕虜にしたウルトゥムと言う女を今夜中に犯して孕ませろ。」という命令が頭をよぎり、罪悪感と背徳感と、そして確かに感じてる興奮でおかしくなってしまいそうだからだ。
だから俺は目線を下にそらしてしまった。
か~ら~の~、「君のオッパイが飲みたい。」がでそうになってしまった。
つまりね、見えちゃっているわけですよ。
浴衣の合わせ目が緩いせいで、ウルトゥムの胸板が薄いせいで隙間ができちゃってるんですよ。
そして中を覗いちゃいました。
ミルク色の白い肌、桜色のポッチ、あと個人的に鎖骨フェチなもので上から見るロリ美少女の鎖骨の窪みも見えている。
なものだからさっきのセリフが口から出そうになったのだ。
頭がくらくらする。
酸素が足りないのか、ここは深呼吸だ。
ス~~~~~~~
ウルトゥムの匂い。否、香りが俺の中に入って来る。
なにこれ。
甘い香りを認識したとたん、下半身から脊椎を駆け上がるように震えが走った。
「ご主人様。」
今、ウルトゥムに話しかけられる吐息の甘さと、耳朶をくすぐる刺激に脳が溶かされる。震える~。
「…………ご主人様、お名前はいただけたのですか。」
「ハァハァ、…え?あ、あぁ、もらえたよ。」
「どのようなお名前か教えてください。」
「それは、…名字は松永、かつて歴史に名を残した武将の姓を戴いた。」
「では、お・な・ま・え・は?」
「ミチル、数字の十にすべての全で十全とかいてミチルと読む。」
「ミチル…ですか。可愛らしいお名前ですね。で、ミチル。」
「フー、フー、…なんだ?」
「もう我慢なんてしなくていいんですよ。」
「ハー、ハー。」
「ねぇ、しょうよ、ミ・チ・ル。」
そこで俺の中でナニかが爆発した。
俺は生まれて初めて性を謳歌した。
この日、
まさに爆誕である。
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