流される猿

作者 三木 満智子

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★★★ Excellent!!!

全体を通して湿った空気感が漂う人間ドラマ。
読んでいると、濁った何ものかが肌に張り付くような感覚を覚える。
これもひとえに精緻な人物描写によるものなのだろうか。
個性豊か、もしくはろくでもない人々に翻弄された主人公は、様々な思い通りにならないことを経験し、最後に一つの心情に至る。

「ほろ苦いけど春の兆し」

これほどまでに本作の締めくくりに相応しい台詞もあるまい。

★★★ Excellent!!!

ご自分で御歳62歳を公言されている作者様の書いた渾身の人間ドラマ。
序盤から「これノンフィクションでは?」と思わせるほど、リアリティのある描写が続く。

流される猿は最後まで出てこない、でも最後にもう一度このタイトルを読む。
そして「なるほど」と。

幸せとは何か、生きるとは何か。
誰しもがこのテーマから離れずにいることは出来ない。

「流されて生きるのもええと思うけど」

終盤に登場する信次のこの言葉は、私たちに大切な何かを突きつける。