約100回記念特別企画 マイナー昆虫決定戦! ④Bミョ~なヤツら

 世界一マイナーな昆虫を決めようとしている今回のシリーズ。


 まだAクラスの紹介を終えただけですが、早くも13種類のグループが姿を消してしまいました。

 作者が考えていた以上に、昆虫は身近な存在なのかも知れません。


 さて今回は、少し知名度の低いBクラスを選出します。


 正直、この辺りが一番悩むんですよね。

「この虫はAだろ!」や「Cだ!」と言う声もあるでしょうが、大目に見て下さい。


◇ルール


 ①まず各グループをABCの三つに分け、Cクラス以外をふるい落とす。

 

 ②Cクラス内で決勝を行い、最もマイナーなグループを決定する。


 ※クラス分けの基準は、以下の通りです。


 Aクラス:昆虫に興味のない方でも知っているグループ。


 Bクラス:昆虫に多少興味のある方や、特定の業界には知られているグループ。


 Cクラス:かなりの昆虫マニアしか知らないグループ。


 ※カマアシムシもく、トビムシもく、コムシもくも、広い意味では「昆虫」です。

  ただし他の昆虫とはちょっと違うため、今回は除外します


 ◇特別ルール


 グループ自体は無名でも、有名な昆虫が含まれる場合は、ワンランクアップとします。


 例:「コウチュウもく」と言うグループが無名でも、「カブトムシ」が超有名な場合。

 →本来はCクラス相当でも、Bクラスになる。


 ※最終的には作者の独断と偏見で決まります(笑)


 ※総数(種類)の多い順番に並んでいます。

 

 ※「関連シリーズ」のURLをクリックすると、該当するシリーズに飛びます。





 ☆トビケラもく毛翅目もうしもく) Trichoptera


 総数:約1万5000種


 変態:完全変態(成虫になる際、サナギになる)。


 代表的な昆虫:トビケラ。


 関連シリーズ:なし。


 ・種類は多いが、知名度はイマイチなグループ。


 ・見た目はガ(蛾)にそっくり。

  ガ(蛾)だと思われるせいで、知名度が低いのかも知れない。


 ・水辺に棲む昆虫で、池や川の近くにいることが多い。

  特に水がきれいな場所を好む。


 ・渓流けいりゅうりが趣味の方は、よく遭遇しているはず。

  釣りのエサに使われることもあるため、全く知られていないわけではない。


 ・チョウもくに近いグループだが、地味な色の虫が多い。


 ・またチョウやガ(蛾)と違い、はねがリンプンに覆われていない。


 ・その代わり、「毛翅目もうしもく」と言う名前の通り、全身に短い毛が生えている。


 ・おおむね体長は1㌢以下で、目立つ存在ではない。


 ・夜行性のしゅが大半で、日が沈むと自販機や電灯に集まって来る。


 ◇幼虫


 ・イモムシにそっくりだが、水中で暮らしている。


 ・多くの場合、淡水に棲んでいるが、汽水きすいや陸で暮らす幼虫も発見されている。


 ・雑食であり、他の昆虫や植物をエサにする。


 ・口には絹糸腺けんしせんと言う器官があり、糸を吐くことが出来る。


 ・この糸で小石や落ち葉をくっつけ、ミノムシのような巣を作る。

  ただし、巣を作らない種類も存在する。


 ・巣の形は、種類によって違う。

  そのため、巣を見るだけで、種類が特定出来る。


 ・ニンギョウトビケラの幼虫は、小石で人形のような巣を作る。


 ・またカタツムリトビケラは、砂粒でカタツムリの殻に似た巣を作る。


 ・シマトビケラの幼虫は網のように糸を張り、引っ掛かった獲物を食べている。


 ・サナギになる際には、糸で繭を作る。


 ・「ザザムシ」と呼ばれ、食用になる。





 ☆カジリムシもく咀顎目そがくもく) Psocodea


 総数:約1万1000種(チャタテムシ:約5700種、シラミ:約500種 ハジラミ:約4000種)。


 変態:不完全ふかんぜん変態へんたい(成虫になる際、サナギにならない。幼虫がそのまま大きくなる)。


 代表的な昆虫:チャタテムシ、シラミ、ハジラミ。


 関連シリーズ:なし。


 解説:おしりをかじる……わけではなく、チャタテムシとシラミで構成されるグループ。


 ・特別ルールを制定する原因になったグループその1。


 ・「カジリムシもく」と言うグループはマイナーだが、「シラミ」を知らない人はいない。


 ・相方(?)のチャタテムシも、害虫としてそこそこ有名。


 ・チャタテムシもくとシラミもくに分けられることもあるが、最近は一緒にするのが主流。


 ・個別に判断するなら、シラミもくがAクラス、チャタテムシもくがBクラスだろうか。


 ◇チャタテムシ(チャタテムシもく 噛虫目ごうちゅうもく Psocoptera)。


 ・名前は知らなくても、見たことはあるはずの昆虫。


 ・家の中に発生する害虫で、本や障子紙しょうじがみ、乾燥した食品などを食べてしまう。


 ・身体が柔らかく、頭が大きいのが特徴。


 ・複眼は大きく、触角も長い。


 ・体長は1㍉から2㍉程度と小さく、よくダニに間違えられる。


 ・はねを持つ種類が多いが、ない種類もいる。


 ・実は屋外で暮らす種類が大多数で、洞窟や森林に棲息している。


 ・「チャタテムシ」と言う名前は、障子紙しょうじがみをかじる音が「お茶をてる音に似ている」ことに由来する(諸説あり)。


 ◇シラミ(シラミもく 虱目しらみもく Anoplura)。


 ・哺乳類に寄生し、血を吸う害虫。


 ・衛生状況が悪かった頃は多かったが、日本が清潔になるにつれて姿を消していった。


 ・ただ最近また増え始めていて、社会問題になっている。


 ・チャタテムシの祖先に当たる昆虫が、寄生に適した形態に進化したもの(と考えられる)。


 ・身体は平らで、はねはない。


 ・複眼も小さく、ないものも存在する。


 ・触角も短く、針のような口を持つ。


 ・口は出し入れ自由で、使わない時は頭の中にしまっている。


 ・あしの先に爪があり、宿主の毛をしっかり掴むことが出来る。


 ・宿主の幅が広いノミとは違い、種類によって寄生する動物が決まっている。


 ・人間にもヒトジラミや、ケジラミと言ったシラミが寄生する。


 ・コウモリは哺乳類だが、シラミが寄生しない。


 ・ただコウモリにはハサミムシや、コウモリバエ、クモバエと言った昆虫が寄生する。


 ・血を吸う虫のお約束だが、発疹ほっしんチフスや塹壕熱ざんごうねつと言った病気を媒介ばいかいする。


 ・特に不衛生で兵士が密集する戦場では、人から人にシラミと病気が伝染する。


 ・ナポレオンがロシアに遠征した時も、発疹ほっしんチフスと赤痢せきりで大量の兵士が亡くなった。


 ◇ハジラミ(ハジラミもく 食毛目しょくもうもく Mallophaga)。


 ・鳥に寄生し、羽毛を食べる昆虫。


 ・哺乳類に寄生する種類も存在し、体毛を食べる。


 ・以前は独立したグループ(もく)だったが、シラミもくに統合された。


 ・やはり平らな虫だが、シラミより頭が大きい。


 ・口も針状ではなく、羽毛や体毛をかじれるようになっている。


 ・シラミは厳密に宿主が決まっているが、ハジラミは色々な鳥に寄生出来る。


 ・一つの鳥に、複数の種類のハジラミが寄生していることもある。


 ・大量のハジラミに寄生された鳥は、衰弱してしまう。

  そのため、鳥は定期的に砂の中で転げ回り、ハジラミを落としている。





 ☆アザミウマもく総翅目そうしもく) Thysanoptera


 総数: 約6000種(アザミウマ亜目あもく:約1500種、クダアザミウマ亜目あもく:約4000種)


 変態:不完全ふかんぜん変態へんたい(※ただし、サナギに似た状態になる)。


 代表的な昆虫:アザミウマ、クダアザミウマ。


 関連シリーズ:なし。


 解説:名前は知らないが、絶対に見たことがあるはずの昆虫。


 ・英名えいめいの「Thripsスリップス」で呼ばれることも多い。


 ・カメムシに近いグループで、農作物や花の害虫として知られている。

  ガーデニングをしている方は、日常的に遭遇しているかも。


 ・名前の通り、アザミの花を叩くと、よく落ちてくる。


 ・体長2㍉前後の小さな昆虫で、細長い身体を持つ。


 ・はねも細長く、毛に縁取ふちどられている。


 ・その様子が「ふさ」のように見えることが、「総翅目そうしもく」と言う名前の由来。


 ・ただし、はねのない種類も存在する。

  また同じ種類でも、はねがある場合とない場合がある。


 ・アザミウマ亜目あもくと、クダアザミウマ亜目あもくに分けられる。

  グループ名は「アザミウマもく」だが、クダアザミウマ亜目あもくのほうが多い。


 ・アザミウマ亜目あもくは産卵するためのくだを生やしているが、クダアザミウマ亜目あもくにはない。


 ・どちらも口が左右非対称で、アザミウマ亜目あもくには右の大顎がない。


 ・植物をエサにする昆虫で、花や果実、野菜の汁を吸う。


 ・アザミウマに汁を吸われると、シミや斑点が出来てしまう。

  花はもちろん、果実や野菜でも商品価値が下がるため、農家の方を悩ませている。


 ・温かい環境を好むため、最近は温室に出現することが多い。


 ・ただ肉食の種類も存在し、同じアザミウマやダニ、カイガラムシなどをエサにする。


 ・つまり、基本的には厄介者だが、害虫を駆除してくれる種類もいる。


 ・不完全ふかんぜん変態へんたいの昆虫だが、蛹期ようきと言う時期がある。


 ・蛹期ようきのアザミウマはほとんど動かず(歩くことは出来る)、エサも食べない。

  また普通のサナギのように、身体の中では大規模な変化が起こっている。


 ・この状態で何度か脱皮し、成虫になる。


 ・余談だが、世界一小さい昆虫(アザミウマタマゴバチ)は、このグループに寄生する。



 長くなったので、今回はここまで。


 この辺りになると、関連シリーズもなくなってきますね。

 結構書いてきたつもりでしたが、昆虫にはまだまだネタがあるようです。


 ◇参考資料


 徹底図解 昆虫の世界

 岡島秀治監修 (株)新星出版社刊

 

 昆虫の誕生 一千万種への進化と分化

 石川良輔著 (株)中央公論社刊


 ※その他、過去に作者自身の書いたものを参考にしています。

  当時参考にした資料は、各回をご覧下さい。

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