約100回記念特別企画 マイナー昆虫決定戦! ③害虫軍団、襲来!

 マイナーな昆虫を決めようとしている今回のシリーズ。


 Aクラス昆虫の紹介も、この第3回で終了です。


 タイトル通り、害虫しか登場しません(笑)

 お食事中の方や、苦手な方はご注意下さい。


◇ルール


 ①まず各グループをABCの三つに分け、Cクラス以外をふるい落とす。

 

 ②Cクラス内で決勝を行い、最もマイナーなグループを決定する。


 ※クラス分けの基準は、以下の通りです。


 Aクラス:昆虫に興味のない方でも知っているグループ。


 Bクラス:昆虫に多少興味のある方や、特定の業界には知られているグループ。


 Cクラス:かなりの昆虫マニアしか知らないグループ。


 ※カマアシムシもく、トビムシもく、コムシもくも、広い意味では「昆虫」です。

  ただし他の昆虫とはちょっと違うため、今回は除外します


 ◇特別ルール


 グループ自体は無名でも、有名な昆虫が含まれる場合は、ワンランクアップとします。


 例:「コウチュウもく」と言うグループが無名でも、「カブトムシ」が超有名な場合。

 →本来はCクラス相当でも、Bクラスになる。


 ※最終的には作者の独断と偏見で決まります(笑)


 ※総数(種類)の多い順番に並んでいます。

  害虫以外のグループは、第1回、第2回で紹介しています。

 

 ※「関連シリーズ」のURLをクリックすると、該当するシリーズに飛びます。





 ☆ハエもく双翅目そうしもく) Diptera


 総数:約16万種。


 変態:完全かんぜん変態へんたい(成虫になる際、サナギになる)。


 代表的な昆虫:ハエ、アブ、カ、ガガンボ、チョウバエ、ユスリカ他多数。


 関連シリーズ:『はえですよろしくおねがいします』

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054896244526/episodes/1177354054896538332

『彼等はなぜ光るのか?』

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054883436079/episodes/1177354054883451568


 解説:はえはいます。はえはどこにでもいます。


 ・害虫軍団筆頭。


 ・昆虫どころか、全動物の中で一番人間を殺しているグループ。


 ・原因は血を吸う昆虫で、命に関わる病気を媒介ばいかいする。


 ・特にマラリアを媒介ばいかいするハマダラカは、世界中で警戒されている。


 ・アフリカの一部に棲息するツェツェバエも、ねむびょうと言う危険な病気を媒介ばいかいする。


 ・反面、農業や医療に使われていることもあり、害虫と言い切れないところもある。


 ・ハチもくほどではないが、多くの花や農作物を受粉じゅふんさせている。

  人間には嫌われているが、いなくなったら大変なことになる。


 ・昆虫の中では、3番目に大きいグループ。

  まだ見付かっていないだけで、コウチュウもくより種類が多いかも知れない。


 ・普通の昆虫は、四枚のはねを持つ。


 ・しかし「双翅目そうしもく」と言われるように、ハエもくにははねが二枚しかない。


 ・正確には後ろのはねが退化し、棒状の「平均棍へいきんこん」になっている。


 ・「平均棍へいきんこん」の役目には諸説あり、はっきりしたことは分かっていない。

  ただし取ると飛べなくなるため、何かの役に立っているのは間違いない。


 ・飛行能力はトップクラスに高いが、嫌われているために撃墜されることも多い。

  恐らく、撃墜率は昆虫界ナンバーワン。


 ・はねのない種類や、自分ではねを取ってしまう種類も存在する。


 ・種類が多い分、生態は非常に多彩。


 ・ウ●コを食うイメージが強いが、花粉や果実を食べるハエもいる。

  ハチほどではないが、他の生物に寄生する種類も多い。


 ・棲息している場所も多く、地球上のほぼあらゆる場所にいる。


 ・昆虫にとって不毛の地である南極にも、「ナンキョクユスリカ」と言うカ(蚊)がいる。


 ・またセキユバエの幼虫は、アメリカにある原油の池に棲んでいる。


 ・ハエの仲間である「ハエ亜目あもく」と、カ(蚊)の仲間である「カ亜目あもく」に分けられる。

  詳細は関連シリーズで説明しているので、興味のある方はご覧下さい(またまた宣伝)。


 ・「ハエ」が「アブ」だったり、「アブ」が「ハエ」」だったり、非常にややこしい。


 ・基本的には気持ち悪いのが「ハエ」で、少しマシなのが「アブ」。


 ・実はガ(蛾)やチョウと違って、ハエとアブには厳密な定義がある。


 ・ハエやアブはサナギになる昆虫で、外に出る時には当然穴をける。


 ・この時、丸い穴をけるのがハエで、直線上の穴をけるのがアブ(本当)。


 ・――ということになっているのだが、全然守られていない。


 ・ハエとカ(蚊)も同じで、名前と実態が一致しないことが多い。


 ・ツチボタルことヒカリキノコ「バエ」は、カ(蚊)の仲間。


 ・水回りでよく見るチョウ「バエ」も、カ(蚊)の仲間だったりする。


 ・余談だが、日本語の名前(ハエもく)と学名(Diptera)が一番短い。


 ・名前は「ハエもく」だが、先に出現したのはカ(蚊)のほう。


 ・面白すぎる昆虫のため、関連シリーズが全7回にもなってしまったすごいヤツ。


 ・まだまだネタが残っているので、今後取り上げることがあるかも。





 ☆黒いヤツもく網翅目もうしもく) Blattodea


 総数:約7500種(黒いヤツ:約4400種、シロアリ:約3100種)


 変態:不完全ふかんぜん変態へんたい(成虫になる際、サナギにならない。幼虫がそのまま大きくなる)。


 代表的な昆虫:黒いヤツ(正式名称は自粛)、シロアリ。


 関連シリーズ:絶対にやりません。


 解説:間違いなく、昆虫の中で最も嫌われているグループ。


 ・正直、名前も出したくない。

  なぜ大事な三連休を、こいつらを調べるために使わなければいけないのか。


 ・以前はカマキリやナナフシと同じく、バッタもくぞくしていた。


 ・カマキリと近いグループで、同じ祖先から進化したと考えられている。


 ・シロアリもここに含まれるが、独立したグループに分類されることもある。


 ◇黒いヤツ


 ・昆虫の中では、トンボもくやカゲロウもくと並ぶ古株。


 ・3億年くらい前から姿が変わっていないため、「生きている化石」と呼ばれる。

  勇気のある方は、「プロトファスマ」で検索してみて下さい。


 ・頭は小さいが、世間的にはそう思われていない。


 ・実は一般的に「頭」と思われている部分は、「前胸背板ぜんきょうはいばん」と言う部位。

  昆虫の胸(の前のほう)を構成する板で、本当の頭はその下に隠れている。


 ・発達したあしを持ち、素早く走ることが出来る。走らないで(懇願)。


 ・雑食の昆虫で、本来は落ち葉や動物の死体を食べる。


 ・家に出るイメージが強いが、実は森に棲んでいる種類のほうが多い。


 ・さっき言ったように落ち葉や動物の死体を食べ、森を綺麗にする自然界の掃除屋。


 ・こいつらの内、木を食べる種類が、シロアリに進化したらしい。


 ・外国のヤツはカラフルで、意外ときれいだったりする(錯乱)。


 ◇シロアリ(シロアリもく 等翅目とうしもく Isoptera)。


 ・大切な家を食べる大害虫。


 ・外国のシロアリは、巨大なアリづかを作ることで有名。


 ・植物を食べる昆虫で、木を消化することも出来る。


 ・「等翅目とうしもく」と呼ばれていた通り、前と後ろのはねが同じ形をしている。


 ・ただし、はねを持つのは生殖を担当する階級だけで、一般のシロアリにはない。


 ・アリと同じで、真社会性しんしゃかいせいを持つ。


 ・「真社会性しんしゃかいせい」とは二世代以上(最低でも親子)が同居し、協力しながら暮らしていること。

  子供を産む個体が決まっていることや、子作りをしない個体がいることも条件になっている。


 ・ただメスだけのアリと違い、シロアリの巣にはオスも暮らしている。


 ・またアリには女王しかいないが、シロアリの巣には王もいる。


 ・アリの女王は、オスの精子を溜めておく器官を持つ。

  そのため、一回交尾するだけで、卵を産み続けることが出来る。


 ・一方、シロアリの女王には、オスの精子を溜めておく器官がない。

  卵を産み続けるためには、定期的に王と交尾する必要がある。


 ・更にシロアリの巣には、兵隊アリと呼ばれる集団がいる。

  兵隊は外敵と戦うことに特化していて、他の仕事はしない。見た目も結構違う。


 ・アリも巣を守るが、戦いに特化しているわけではない。他の仕事もする。


 ・何よりアリは完全かんぜん変態へんたいの昆虫だが、シロアリは不完全ふかんぜん変態へんたいの昆虫。





 ☆ノミもく隠翅目いんしもく) Siphonaptera


 総数:約2100種


 変態:完全かんぜん変態へんたい


 代表的な昆虫:ノミ。


 関連シリーズ:なし。


 解説:哺乳類や鳥類などの恒温こうおん動物どうぶつに寄生し、血を吸う害虫。


 ・人間に寄生することもあるが、清潔な日本ではめったにない。

  ただイヌやネコに寄生することは多く、ペットを飼っている方を悩ませている。


 ・ダニも人間に寄生し、血を吸うが、あちらはクモの仲間(鋏角類きょうかくるい)。


 ・元々ははねを持っていたが、退化してなくなってしまった。

  ノミのように寄生する昆虫は、邪魔なはねが退化してしまうことが多い。


 ・複眼は小さく、平らな身体には毛が生えている。

  サイズの割に身体が硬く、なかなか潰すことが出来ない。


 ・実は小さな触角があり、頭の溝に収まっている。


 ・ジャンプ力が凄まじく高く、全生物中最高とも言われる。


 ・ただし着地は非常に苦手で、ほぼほぼこける。


 ・ノミは他の生物に寄生しないと、生きていけない。

  そのため、宿主が死ぬと、すぐに移住先を探しに行く。


 ・寄生する相手が決まっているタイプと、色々な生きものに寄生出来るタイプが存在する。

  普段はネズミに寄生するノミが、人間を宿主にすることもある。


 ・この習性のため、他の動物が持つ病気を、人間に媒介ばいかいすることも多い。


 ・ネズミの病気であったペストを、人間に媒介ばいかいしたのもこいつら。


 ◇幼虫


 ・ウジそっくりで、動物のフンや皮膚の欠片かけらなどを食べる。


 ・寄生するのは成虫になってからで、幼虫は目立たない場所で暮らしている。


 ・ある程度育つと、口から糸を吐き、周囲のゴミを集めて繭を作る。





 ☆シミもく総尾目そうびもく) Zygentoma(Thysanura)


 総数:約560種。


 変態:しない。ただし脱皮を行うことで、大きくなる。


 代表的な昆虫:シミ。


 関連シリーズ:なし。


 解説:はねを持たない原始的な昆虫。


 ・ノミやシラミもそうだが、あっちははねが退化してしまった昆虫(元々ははねがあった)。


 ・一方、シミもくは始めからはねがないと考えられている。


 ・見た目は昆虫と言うより、甲殻類こうかくるいのダンゴムシやフナムシに近い。


 ・複眼は小さく、退化している場合もある。


 ・身体は白いリンプンに覆われていて、銀色に光る。


 ・触角は長く、尾(腹部の端)にはアンテナのような毛が3本生えている。


 ・あしの数は六本だが、腹に「腹肢ふくし」と言う突起が生えている。


 ・動きは素早く、魚が泳ぐように走る。


 ・漢字で書くと、「紙魚しみ」。

  英語でも「Silverfish」(銀の魚)と呼ばれる。


 ・紙やのりを食べるため、本の間に潜んでいることが多い。

  また人間の毛や皮膚の欠片かけら、服を食べることもある。


 ・そのため、室内に棲むイメージがあるが、アリやシロアリの巣に棲むシミも存在する。


 ・紙の本には付きものの昆虫であるため、知名度は高い。


 ・ただ電子書籍がもっと普及したら、Aクラスから外れるかも知れない。



 長くなったので、今回はここまで。


 次回からは、Bクラスの虫たちを紹介します。

 また10種類くらい出て来るので、何回かに分割しなきゃなあ……。


◇参考資料


 徹底図解 昆虫の世界

 岡島秀治監修 (株)新星出版社刊

 

 昆虫の誕生 一千万種への進化と分化

 石川良輔著 (株)中央公論社刊


 ※その他、過去に作者自身の書いたものを参考にしています。

  当時参考にした資料は、各回をご覧下さい。

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