約100回記念特別企画 マイナー昆虫決定戦! ②トンボの交尾は意外と特殊

 マイナーな昆虫に着目している今回のシリーズ。


 前回に引き続き、今回も知名度の高い昆虫を紹介します。


◇ルール


 ①まず各グループをABCの三つに分け、Cクラス以外をふるい落とす。

 

 ②Cクラス内で決勝を行い、最もマイナーなグループを決定する。


 ※クラス分けの基準は、以下の通りです。


 Aクラス:昆虫に興味のない方でも知っているグループ。


 Bクラス:昆虫に多少興味のある方や、特定の業界には知られているグループ。


 Cクラス:かなりの昆虫マニアしか知らないグループ。


 ※カマアシムシもく、トビムシもく、コムシもくも、広い意味では「昆虫」です。

  ただし他の昆虫とはちょっと違うため、今回は除外します


 ◇特別ルール


 グループ自体は無名でも、有名な昆虫が含まれる場合は、ワンランクアップとします。


 例:「コウチュウもく」と言うグループが無名でも、「カブトムシ」が超有名な場合。

 →本来はCクラス相当でも、Bクラスになる。


 ※最終的には作者の独断と偏見で決まります(笑)


 ※総数(種類)の多い順番に並んでいます。

  ただし害虫軍団は苦手な方が多いため、後でまとめて紹介します。


 ※「関連シリーズ」のURLをクリックすると、該当するシリーズに飛びます。




 

☆バッタ目(直翅目ちょくしもく) Orthoptera


 総数:約2万4000種。


 変態:不完全ふかんぜん変態へんたい(成虫になる際、サナギにならない。幼虫がそのまま大きくなる)。


 代表的な昆虫:バッタ、イナゴ、キリギリス、コオロギ、スズムシ他多数。


 関連シリーズ:『虫が一寸とは限らない!』

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054896244526/episodes/1177354054897443415


 解説:大正義仮面ライダーのモチーフ。


 ・不完全ふかんぜん変態へんたいの中では大きなグループで、昔はカマキリや黒いヤツ(正式名称は自粛)もぞくしていた。


 ・発達したうしあしを持ち、高いジャンプ力を誇る。

  また顎も頑丈で、噛む力も強い。


 ・前のはねは後ろのはねより短く、硬く厚くなっている。


 ・対照的に後ろのはねは膜状で、結構大きい。

  ただ「直翅目ちょくしもく」と呼ばれる通り、大きさの割にはぐ畳むことが出来る。


 ・一方、カマドウマのように、はねがないものも存在する。

  また日本に棲むクロギリスは極端にはねが短く、鱗状になっている。


 ・「バッタ亜目あもく」と「キリギリス亜目あもく」と言うグループに分けられる。


 ・バッタ亜目あもくはバッタやイナゴがぞくするグループで、主に植物を食べる。


 ・キリギリス亜目あもくはキリギリスやコオロギがぞくするグループで、雑食や肉食の昆虫が多い。


 ・秋に鳴く虫は、ほぼキリギリス亜目あもくのメンバー。


 ・バッタ亜目あもくは触角が短く、昼間活動することが多い。


 ・一方、キリギリス亜目あもくは夜行性で、触角が長い。


 ・またキリギリス亜目あもくは、左右の前脚まえあしに耳(鼓膜)がある。


 ・対してバッタ亜目あもくは、左右のうしあしの付け根に耳(鼓膜)がある。


 ・ただし、鼓膜のない昆虫も存在する。


 ・キリギリスやコオロギは、はねはねをこすり合わせて鳴く。

  そのため、キリギリス亜目あもくでも、はねのない昆虫は鳴くことが出来ない。


 ・ただし、コロギスはうしあしをものに叩き付け、音を出すことがある。

  うしあしと腹をこすり付け、音を出す昆虫も存在する。


 ・クロギリス? コロギス? と思った方は、関連シリーズをご覧下さい(宣伝)。


 ・世間的にはヒーローのイメージが強いが、実は昆虫界屈指の大害虫。

  定期的に大量発生メタルクラスタホッパーし、農作物を食い荒らす。


 ・しかも、これと言って人間の役に立つこともない(一応、イナゴは佃煮つくだにになったりする)。

  恩恵を受けているのは、東映とうえいとバンダイくらいだと思う。


 ・間接的(食糧危機で)に殺した人数は、昆虫界一かも知れない。


 ・鳴くキリギリスやコオロギは人気者だが、個人的には気持ち悪いと思う。

  黒いヤツ(正式名称は自粛)の次に、調べるのがキツかった。


 ・ジャイアントウェタ(オバケハネナシコオロギ)は、世界一重い昆虫(の候補)。


 ・とてもかわいい昆虫なので、ぜひ検索してみよう。尚、苦情は受け付けません。





 ☆トンボもく蜻蛉目せいれいもく) Odonata


 総数:約5900種。


 変態:不完全ふかんぜん変態へんたい


 代表的な昆虫:トンボ。


 関連シリーズ:『古代の虫はとっても巨大!』

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054896244526/episodes/1177354054898364772


 解説:昆虫の中でも、長い歴史を持つグループ。


 ・はねを持つ昆虫の中では、後述のあるグループと共に最も古い(絶滅したグループを除く)。


 ・その割に飛ぶために使う筋肉が大きく、飛行能力が高い。

  ホバリングも楽々こなし、素早く飛び回るハエもキャッチしてしまう。


 ・更には巨大な複眼を持ち、視界が非常に広い。


 ・個人的には、捕まえるのが難しい昆虫ナンバーワン。


 ・ただしはねを畳むことが不可能で、まる時は広げたままか、背中に立てる。


 ・肉食の昆虫で、カやハエなどを空中で捕らえる。


 ・強力な顎を持ち、獲物を噛み砕くことが可能。


 ・学名の「Odonata」も、「歯があるもの」と言う意味。


 ・あしには細かいトゲがあり、がっちりと獲物を押さえ込むことが出来る。


 ・ただあしが細いため、歩くのは苦手。


 ・害虫を食べてくれるため、益虫扱いされることが多い。


 ・おまけに見た目もかっこ良く、不快感を与えることはほぼない。

  バッタもくとは真逆で、ほぼえきしかない昆虫。


 ・あまり知られていないが、交尾の仕方が非常に独特。


 ・トンボはオスとメスも、尾(腹部の端)に生殖器を備えている。


 ・ただオスは尾でメスの頭を挟み込むため、生殖器を使うことが出来ない。


 ・そこであらかじめ生殖器を自分の腹にあてがい、「副性器ふくせいき」と言う器官に精子をたくわえておく。


 ・交尾の際は副性器ふくせいきをメスの生殖器に当て、精子を託す。


 ・つまり、交尾する時は、メスの尾とオスの腹がくっつくことになる。

  よくメスとオスがハート型に繋がっているのは、これが原因。


 ・ちなみにはねを持つ昆虫の中で、他にトンボのような交尾をするものはいない。


 ・副性器ふくせいきは結構目立つので、知っていれば簡単にオスとメスを見分けることが出来る。


 ・日本語の名前(蜻蛉目せいれいもく)に、「はね」が入らない数少ないグループ。


 ・ハエと並んで、学名(Odonata)が一番短い。


 ・「蜻蛉目せいれいもく」の「蜻蛉」とは、「トンボ」を漢字で書いたもの。


 ・大きなトンボとして有名なメガネウラは、絶滅した別のグループ(げんトンボもく)。

  ただ近いグループではあるので、「トンボの仲間」と言っても間違いではない。


 ◇幼虫(ヤゴ)


 ・成虫と同じく優秀なハンターで、小魚や昆虫、オタマジャクシなどを食べる。


 ・恐ろしい速さで下唇を伸ばし、先端にあるハサミで獲物を挟み込む。


 ・エラ呼吸を行っているため、いちいち空気を吸う必要がない。

  ちなみにタガメやタイコウチは、定期的に陸上の空気を吸わなければいけない。





 ☆カゲロウもく蜉蝣目ふゆうもく) Ephemeroptera


 総数:約3200種。


 変態:不完全変態。


 代表的な昆虫:カゲロウ。


 関連シリーズ:『古代の虫はとっても巨大!』

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054896244526/episodes/1177354054898364772


 解説:トンボもくと並ぶ昆虫界の長老。


 ・現在見ることが出来る昆虫の中で、最も早くはねを獲得したグループ。


 ・名前は有名だが、生態はあまり知られていない昆虫の一つ。


 ・完全にAクラスとは言えないが、Bクラスではない準Aクラス。


 ・細長い昆虫で、身体は非常にもろい。


 ・前のはねに比べて、後ろのはねが極端に小さい。

  後ろのはねがない種類や、全くはねがない種類も存在する。


 ・尾(腹部の端)には、アンテナのような毛が3本生えている。


 ・複眼は大きく(オスのほうが健著けんちょ)、上下に分かれていることが多い。


 ・上の目はターバンのような形(実際、『ターバン眼』と言う)で、真上に向いている。

  かなりすごいので、ぜひ検索してみて下さい。


 ・成虫は口が退化しているため、エサを食べることが出来ない。

  ほとんどの種類が短命で、交尾を終えるとすぐに死んでしまう。


 ・有名なウスバカゲロウ(アリジゴクの成虫)は、このグループではない。


・「蜉蝣目ふゆうもく」の「蜉蝣」とは、「カゲロウ」を漢字にしたもの。


 ◇幼虫


 ・水中に棲み、藻や植物を食べる。


 ・ただし、マダラカゲロウの幼虫は肉食で、他の生きものを襲う。


 ・エラ呼吸を行っているため、ずっと水に潜っていられる。


 ◇亜成虫あせいちゅう


 ・成虫になる前に、「亜成虫あせいちゅう」と言う段階を経る唯一の昆虫。


 ・亜成虫あせいちゅうは成虫に似ているが、少し太い。

  また毛が多く、はねが半透明になっている。


 ・もう一度別の場所で脱皮し、成虫になる。





 ☆ナナフシもく竹節虫たけふしむしもく) Phasmatodea


 総数:約3000種。


 変態:不完全ふかんぜん変態へんたい


 代表的な昆虫:ナナフシ、コノハムシ。


 関連シリーズ:『虫が一寸とは限らない!』

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054896244526/episodes/1177354054897443415


 解説:昆虫界最強の擬態ぎたい集団。


 ・詳しい生態は知られていないが、名前だけは有名な準Aクラス。


 ・見た目は枝にそっくりで、中型から大型の昆虫が多い。


 ・実際、世界最長の昆虫は、このグループの一員。

  また世界一重い(かも知れない)サカダチコノハナナフシも、ナナフシもくぞくしている。


 ・身体が大きい割に、頭部や複眼は小さい。

  また飛ぶのは苦手で、はねのない種類も多い。


 ・大半のしゅが夜行性で、植物の葉っぱを食べる。


 ・基本的には熱帯の昆虫だが、日本でも約19種見付かっている。


 ・単為生殖たんいせいしょくが出来る種類が多く、メスだけで増えることが可能。


 ・外敵に襲われると、自分からあしを切り落とすことがある(自切じせつと言う)。


 ◇コノハムシ


 ・葉っぱにそっくりで、よくテレビに取り上げられる。


 ・ただし葉っぱにそっくりなのはメスだけで、オスはあまり似ていない。


 ・その代わり、コノハムシのメスは飛べないが、オスは飛ぶことが出来る。


 ・東南アジアに棲む昆虫で、日本にはいない。





 ☆カマキリもく蟷螂目とうろうもく) Mantodea


 総数:約2400種。


 変態:不完全ふかんぜん変態へんたい


 代表的な昆虫:カマキリ。


 関連シリーズ:『蝶サイコー!』

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054884444188/episodes/1177354054884519150


 解説:最も有名な肉食昆虫。


 ・実は黒いヤツ(正式名称は自粛)に近いグループだが、カマキリを嫌う人はほとんどいない。


 ・昔は黒いヤツやナナフシと同じく、バッタもくに分類されていた。


 ・発達した複眼を持ち、頭部を自在に動かすことが出来る。


 ・はねは意外と大きいが、ない種類も存在する。

  また大きなはねを持つ種類でも、飛ぶのは下手。


 ・外敵に襲われると、大きくはねを広げて威嚇いかくする。


 ・前脚まえあしは鎌のような形で、獲物をがっちりと捕らえるためのトゲが生えている。


 ・知名度に反して、総数(種類)が少ない不思議なグループ。


 ・都会でも割と見る昆虫だが、国内には9種類しかいない(ナナフシより少ない)。


 ・同じく肉食の虫(昆虫ではない)として有名なクモは、約4万8000種確認されている。

  日本国内だけでも、約1700種のクモを見ることが可能。


 ・カマキリは交尾の後に、メスがオスを食べることがある。


 ・ただし、絶対に食べられるわけではない。

  また肉食の生きもの(代表例がクモ)は、メスがオスを食べることが珍しくない。


 ・昆虫界でも一、二を争う擬態ぎたいの達人で、人間でも騙されることがある。


 ・特にランの花そっくりなハナカマキリは、テレビや図鑑に登場することが多い。

  ただ花に似ているのは「若い個体」だけで、成虫はあまり似ていない。


 ・水に浸けると、ハリガネムシと言う寄生虫が出て来ることがある。


 ・「蟷螂目とうろうもく」の「蟷螂」とは、カマキリを漢字にしたもの。


 ・基本的には悪役寄りの昆虫だが、ヒーローのモチーフになることもある。


 ・さすがにクモほどではないが、仮面ライダーと1話で戦うことが多い。


 ・ただし腹筋ふっきん崩壊ほうかい太郎たろうは、「カマキリの怪人」ではない。



 長くなったので、今回はここまで。


 ようやく次回で、Aクラスの紹介が終わります。

 害虫だけの回になってしまったので、苦手な方はご注意下さい。


◇参考資料


 徹底図解 昆虫の世界

 岡島秀治監修 (株)新星出版社刊

 

 昆虫の誕生 一千万種への進化と分化

 石川良輔著 (株)中央公論社刊


 ※その他、過去に作者自身の書いたものを参考にしています。

  当時参考にした資料は、各回をご覧下さい。

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