第54話「勇者ハーレムの噂」

 いまだ、うちの城の近くをストーキングしている、ロレーン伯ブリューニュ・ブラン。

 こいつが、どのような手で来るか予想もつかず、俺たちは臨戦態勢で、オックスの城に詰めているわけだが。


 あの麻呂貴族バカは、行動力だけはあるので、先手を打たれてしまった。


「ブリューニュ、なんと卑劣な!」


 俺は、こらえ切れず、怒りにうち震える。

 なんと、密偵のネネカの報告によると、ブリューニュはよりにもよって、うちの街で俺の悪評を広めているというのだ。


 しかも、それが「勇者タケルが、王女と公女をたくさんの奴隷少女と一緒にして後宮ハーレムはべらせている」などという、事実無根の風評であった。

 酷い!


「俺の悪評はまだ良い、だがシルエット姫やカロリーン公女まで侮辱するとは、許さんぞブリューニュ!」


 怒りの拳を突き上げていると、シレッとした顔で、みんなが俺を見ているのに気がついた。


 ライル先生も、ルイーズも、リアも、シャロンも、オラクルちゃんも、カアラも、シルエット姫も、ジルさんも、護衛に立っているシュザンヌとクローディアまで、いつになく冷めた眼で俺を見ている。

 カロリーン公女だけは、当惑しているようだが、俺の怒りには同調してくれていない。


「あれ?」


 なんだよみんな、ここは怒るところだろう?


「タケル殿、ブリューニュ伯爵が、その程度のことしかできない男で助かりましたね」

「いや、これは大変なことですよ?」


「私も忙しいですし、対策は授けたので、そろそろ王都に戻ろうかと思います」

「いや、待ってください。先生、これ大問題ですよ!」


 ひとりで憤っている俺に、先生はうんざりした顔をする。

 なんでそんなに冷たいんですか、先生……。


「なにが問題なんですか?」

「いや、だからこんな根も葉もない噂を立てられて、深刻な風評被害です!」


「タケル殿、もしや……とは思いますけど、ご自分が民衆にどういう風に思われてるか、知らなかったんですか」

「えっ、ええ?」


 なにそれ怖い。

 なんだよ、どういうこと。


「いや、だって、タケル殿……、ここに集まってる面々をよく見て下さいよ」

「どういうことですか」


 わかりません。


「タケル殿の幕僚って、みんな魅力的で美しい女性ばかりでしょう」

「はい」


「あっ、私は男ですけどね。あと、タケル殿の商会の奴隷少女も、可愛らしい子が多いですよね」

「はい……」


「容姿で選んだわけではないのは、私がよく知ってますけど。そのような異常な偏りができてますよね」

「そう言われてみれば、そのような感じも若干……」


「ではそれを傍目から見ていれば、どのような評価が下されるか、聡明なタケル殿なら分かりますよね」

「でも、俺は何も……」


「でもも、カカシも、ないですよ。これはさすがに言うのはためらわれたんですが、勇者ハーレムと前から呼ばれてます」

「はぁ?」


 いくらライル先生の言葉でも、それはありえない!


「そのタケル殿のハーレムの噂に、なぜか男性の私が筆頭に入れられているのが、不可解ですが」

「いや、ライル先生が入ってるのは、わかります」


 先生と噂になるならば良いんですよ?


「いや、そこはありえないんですが」

「あれ、俺……遠まわしに振られてます?」


 そう聞くと、先生はベストの胸元を直して顔を背けた。

 コホンと、咳払せきばらいまでする、あーごまかした。


「男同士で、振られるも何もないでしょう。とにかく、勇者が美しい女性を百人や二百人侍らせるぐらいは、古今いくらでも例のあることですから、そんな噂は大したことはありません。勇者なら仕方ないで流されます」

「俺的には、大したことあるんですけど……」


 まさか童貞の身の上で、後宮ハーレム持ちにされるとは思わなかった。

 事実無根でも、身の潔白を証明する術がないのが、リアルファンタジーの悲しいところだ。


「ブリューニュ伯爵が非難したいのは、正式な婚姻関係を結ばずに、年頃の姫や公女を侍らせていて良いのかってことでしょう。これは正直、私も同意見です。いい加減、ハッキリさせて欲しいところですね」


 俺が、シルエット姫とカロリーン公女の両方と結婚して、シレジエ王国とトランシュバニア公国を継いでくれれば。

 先生の仕事が、どれほどやりやすくなるか知れないというのだ。


「先生それは……」


 俺は、その瞬間に背筋が凍るような悪寒に襲われた。

 なんだこのプレッシャー。どこかの闇から、じっと獲物を狙うような視線がこちらを見ている――


「ど、どうされましたかタケル殿」


 俺が青い顔をしているので、さすがに先生も心配する。

 ――俺の本能が危険信号を発している、そこだ!


「シュザンヌ、クローディア、いますぐリアをこの部屋から退出させろ!」


「タケル、わたくし『まだ』何も申しておりませんよぉ、是非も無い仕打ちですぅ!」

「『まだ』だろうが! シャロン、いますぐそいつの口を塞げ、塞ぐんだ!」


「タケルはデートをしなングッ、……んーんー んーんー!」

「はいはい、ステリアーナさん、お外に参りましょう」


 リアは、隣に座っていたシャロンに口を塞がれて、俺の騎士二人に囲まれて、米軍に捕まった宇宙人のような姿勢で、引きずられながら退出した。


「ふうっ……」

「タケル殿、続きよろしいですか」


「ああ……まあ、言い方は最低ですが、リアは間違ってはいません。恋愛すらしてないのに、いきなり結婚もなにもありませんから」

「そこら辺、私は男女の機微に疎いので申し上げにくいのですが、少しもどかしい感じがします」


 あら、先生がそういうことを言ってしまうわけか。

 ふーん。


「俺は、もどかしいですか?」

「こんなこと言っては逆効果なのかもしませんが、さっさと恋愛して結婚してくれないかなと思ってしまいます」


「じゃあ、ライル先生、試しに俺と付き合ってみます?」

「えっ」


 先生はビックリして目を見開く。

 まあ、ブラウンの美しい瞳ですね。まるで宝石のようだ。


「俺にも恋愛経験があれば、確かに結婚も考えやすくなるかもしれません。先生が俺とお付き合いしてくれるなら、いい経験になります」

「そっ、……いえ、男同士ですよ?」


 先生は、桜の花びらのような可愛らしい唇をわななかせた。


「いいじゃないですか、俺は正直なところ女性と付き合うのが苦手なんです。ライル先生みたいに中性的なタイプなら、俺も緊張しなくていいです」

「そんな、お試しみたいなノリで付き合うとか言っちゃいけません!」


 お試しみたいなノリで、人を結婚させようとしてるのは誰だよ。

 でもまあ、反応が可愛いから許します。


「お試しというか、本命的なアレです。俺はライル先生、大好きですし、問題ない」

「も、問題はぁ……、ああそうか。そういうことですね。すみませんでした! 相手の気持ちも考えず、むやみに結婚しろなどと煽った私が悪かったです。どうぞお許しください」


 ふうっと深呼吸した先生は、ベストの胸元を手で直してから、深々と頭を下げた。

 謝る必要はないが、ようやくそこにたどり着いたのかって感じではある。


 自分が言われたらどうだってことも、もしかしたら本当に分かってなかったのかもしれない。

 万能チートに見えて、意外に抜けたところもあるのが先生だったりする。


 もっと攻めたい気もしたが、あんまりやって先生がへそを曲げてしまうと困るのでこれぐらいにしておこう。

 でも、付き合って見ませんかってのは、わりと本気なんだけどね。


 まあ、先生に告白したところで、振られるのは目に見えてるからこそ。

 こういう冗談が言えるんだけどさ。


 俺だって人並みに女の子に興味あるし、恋愛したくないわけじゃないんだけど。

 ただ、相手は本当に好きな人じゃないと嫌だけど。


 なんて、ちょっと我ながら乙女で恥ずかしいことを考えて、会議も終わったので部屋を出たら。

 外に居たリアに、ニヤーと笑いかけられた。


「なんだリア……」

「相手は本当に好きな人じゃないと嫌だなあー」


 心臓が止まるかと思った。

 俺の心を読むなと言ってるだろ、変態シスター!


 なんなんだそれは、魔法なのか。

 神聖魔法に、読心術みたいなのがあるのか……。


「魔法なんか使わなくても、タケルの考えてることなんて、わたくしには是非もなくお見通しです。いつも見てますから」

「お前たまに怖いんだよ……」


 まあ、あんまりリアの相手にしても、煽られ損だからスルーしよう。


「恋愛問題のカウンセリングでしたら、是非ともアーサマ教会の方へどうぞ」

「謹んで遠慮しておく」


 これ以上、リアにからかわれるネタを握られるのはゴメンだ。


     ※※※


 俺は、食堂でデザートを食べているメガネっ子、もといカロリーン公女を見かけて、声をかけた。

 心配という程ではないが、いきなり異郷の地の他人の城にしばらく滞在しているわけだから、不自由があってもいけない。


 ホストとしては、気配りしなければな。


「どうですか、公女殿下、城には慣れましたか」

「はい、ハンバーグも、サラダも、クロワッサンも、すごく美味しくて。この前のクレープも素晴らしいのですが、このアイスクリームと言うお菓子は、もう舌が蕩けそうで……」


「いや、料理の感想ではなくて、ですね」

「すみません、はしたなくて……」


 頬を染めて恥ずかしがるカロリーン公女。


「いえ、女の子ならお菓子は、お好きでしょうから」


 それなりにがんばって奴隷少女たちと作ったものなので、料理を褒めてもらえるのは嬉しい。


「シルエット姫様や、他の方にも良くしていただいております」


 シルエット姫と、やけに仲良くしてるんだよな。

 この公女は、あのネガティブ姫様と、不思議と馬が合うらしい。


 地位的にも年齢的にも、同じぐらいだから当然なのかもしないが、どんな話をするんだろう。

 やはり、やんごとなき姫君だから、王政の話かな。


「それはたいへん結構です、ご不自由があれば、何なりとおっしゃってくださいね」

「いえ、これ以上のことは何も……。それより、かくまってくださった勇者様に、改めてお礼申し上げます」


「俺の方こそ、それより公女殿下も、俺の変な噂に巻き込んでしまって申し訳ない」

「ああ、勇者様のハーレムの噂ですね。そのような卑劣な噂を立てたブリューニュ伯には、私も不快なものを感じますが、ただの噂で、勇者様は真面目で誠実な方ですよね」


「そう、そうなんですよ。誰もそれを分かってくれなくて……」


 俺はたった一人の理解者を得て、涙が出る思いだった。


「人の口には戸を立てられません。致し方ないことだと思います」


 そうは言っても、嫁入り前の公女に悪いよなあ。

 みんな軽く考えすぎだよね。


「噂ぐらいは構わないのですが、大恩ある勇者様にこのようなことを申し上げるのは、心苦しいのですけれど」

「いいですよ、どうぞ」


 別に、男としては見てないとか言われても、ショックじゃないですよ。

 昔なら女の子に面と向かって、そんなこと言われたらショックだったろうけど、今は露骨な好意を向けられるより気が楽だ。


「我が父は、勇者様に私を輿入れさせて、トランシュバニア公国を禅譲ぜんじょうしようと考えているようですが、私はそこまで、まだ考えておりません」

「もちろん。結婚相手は、自分で見つけるべきですから」


「いえ、そうではなく……、公女の結婚はいわば公務ですから、相手が選べないのは構わないのです」

「そうなんですか」


 ファンタジーの王族なんて政略結婚が当たり前だから、しょうがないのかなあ。


「私個人としては、勇者様を心から尊敬しておりますし、結婚したくないわけではないんです。私が問題だと思うのは、勇者様が他国の人だからです」

「なるほど」


「私は公王の一人娘ですから、結婚相手は、そのまま公国を託す相手となります。勇者様がおっしゃってくださった『民を救うのに国は関係ない』とのお言葉、私も深い感銘を受けましたが、それでも……」

「そうですよね、やっぱり自国の人間じゃないとダメですよね。公女殿下は、気高い愛国心がおありになるのですね」


「愛国心ですか?」

「国と民を愛する心ですよ」


 この世界には、そういう概念がまだ発達していないのか。

 カロリーン公女も、ヴァルラム公王も、考え方は違えど国民の為を思って言っていることで立派なものだと思う。


「私は幼少のみぎりより、公家は民のためにあれと教育を受けてまいりました」

「ご立派なことだと思います」


 カロリーン公女の考え方は、俺から見ると不自由に思えるが。

 本人の意志が、民のために最良となる結婚相手を選ぶことならば、少なくとも他人がどうこう言うことではないだろう。


「勇者様のおっしゃるとおり、国の為を思えば、トランシュバニア公国は、トランシュバニアの人間が治めるべきなのだと考えます。戦争で騎士団の多くを失い、そう言っていられない状況であることは重々承知しておりますが、私はそれでもそう思うのです」


 なかなか好感が持てる、ハッキリとした意思表示だった。


「公女殿下のお考えはわかりました。できる限りご協力いたしましょう」

「ありがとうございます、勇者様の度重なるご厚情に対して、何も報いるものもない私をお許しください」


 分かったから、みんながいる食堂で、頭を下げないでほしいな。

 ここの父娘は、ゲザるのが癖になってるんじゃないか。


 無理な結婚を押し売りされるより、こっちとしてもよっぽどありがたい、気にしないで欲しい。

 そこに、静かに隣に座っていたシルエット姫が口を挟んだ。


「わら、ングッ」

「姫……、クロワッサンは、ちゃんと飲み込んでから話しましょうね」


 ジルさん護衛の騎士なんだから、姫を介護しごとしろよ。

 アイスクリームおかわりに行ってる場合じゃないだろう。


「お二人の込み入った話も終わったようですから、わらわたちも、湯浴みに参りましょう」


 シルエット姫、さっきの公女殿下の立派な所信表明演説を聞いて、出てくる言葉がそれなのですか。

 公女も、公女で「そうですね、姫様」と頷いて行ってしまうし。


 王族としての考え方が、ぜんぜん違うようなのだが。

 なんであの二人の仲がいいのか、いまいちよくわからない。


 あと、ジルさんはいい加減、お代わりの要求はやめて護衛の仕事しなさい。

 アイスクリームの追加は、氷を作れるヴィオラも呼ばないといけないから、すぐできないんだよ。

 それ以上、うちの料理長コレットたちをこき使うと、『甘党の騎士』の二つ名を進呈するぞ。


     ※※※


 さてと、さっきお風呂フラグが立っていたので。

 いつもなら公女様とお風呂みたいな流れになりがちだが、俺もバカではないのでさすがに避ける。


 そのかわり、ロールの風呂焚きを手伝ってやった。

 風呂の釜に、薪を割ってくべていると、なんだか火遊びみたいで楽しい。


「ごしゅじんさま、じゃま」

「おまえ、言うようになったな……」


 ロールは、自分の仕事を取られるのが嫌らしい。

 まあ、オラクル大洞穴のおかげで、すっかり硝石に困らなくなってそっちの仕事が減ったからな。


「ロールに、お土産があるんだよ」


 俺は火酒と呼ばれる上等な蒸留酒ウイスキーの瓶をちらつかせた。


「そういうことは、さきにいってよー」


 ドワーフはみんな酒好きだ、たちどころにロールの態度が軟化した。

 ちょろいなあ。


「ロール、つまみもあるんだよ」

「それあたしに、ちょうだあーーん!」


 俺が出したのはルイーズからもらったとっておきの一品、ドラゴン肉の燻製だ。

 ロールが大きく口を開けるので、放り込んでやったらもぐもぐと満足そうに食べている。


 一般的に、モンスターの肉は下等な扱いだが、ドラゴンの肉はまったく別だ。


 この世界でも一、二を争う珍味なのだ。

 一切れ、口に含むだけで、ドラゴンのジャーキーの凝縮された濃厚な旨みが、じわりと広がる最高の一品。


 ドラゴンの干し肉をツマミにキュッとやれば、他には何もいらないと、この世界の酒豪詩人が吟じているそうだ。

 もちろん酒飲みのロールも通だから、このツマミの価値はよく分かっている。


 窯焚きの灯りに赤々と照らされて、おぼろに浮かぶ満月を眺めながらの酒盛り。

 酒宴のロケーションとしては、たいへんよろしい。


 さすがに俺は度の強い蒸留酒は口にしないが、甘くて口当たりの良い蜂蜜酒なら少しやる。

 せっかくの異世界なんだから、ちょっとぐらい良いよね。


「つきがーでたでたぁ、つきがーでたぁー」


 飲んで、食べて、ごきげんのロールが、急に手を叩いて炭坑節たんこうぶしを歌い出したので、俺は吹き出しそうになった。

 あまりにもファンタジーと不釣り合いだろ。


「この世界にも、炭坑節ってあるのか?」

「ごしゅじんさま、炭鉱があるんだから、炭坑の歌もあるにきまってるよ」


 そうかロールは、鉱夫の娘さんだった。

 奴隷になる前はどんな暮らしをしていたのか、聞こうかと一瞬思ったけどやめた。


 つまらないことは、言わない方がいい。

 俺だって、異世界に来る前のことは、もうどっかの遠い他人の話ぐらいにしか思えないのだ。


 いまここに、美味い酒があって、美味しいツマミがあって、俺がいて。

 月明かりの下で踊る、陽気なドワーフの少女がいる。

 それでいいじゃないか。


 ほんとは、酒で油断させたところを捕まえて、風呂嫌いのロールをまた洗ってやるかと思ったのだが、そんな気も失せた。


 ロールと二人で歌い騒いでいると、そこにゆったりとした外衣ローブを着た、湯上りのシルエット姫とカロリーン公女が、護衛の騎士を引き連れてやってきた。


「やあ、お散歩ですか」

「ええちょっと、長湯したので夕涼みに」


 カロリーン公女は、なぜか手にリュートを持っていた。

 手慰みですがと前置いて、切り株に腰掛けた公女が、リュートのどこか物悲しい響きで爪弾いて見せたのが炭坑節なのだから愉快だ。


 調子はずれの曲に合わせて、小さいロールがくるくる回るので、俺はもう腹を抱えて笑ってしまった。

 目に涙を浮かべて笑いながら、大いに肉を喰らい、コップを傾ける。


「是非もありませんね……」


 姿も見えないリアの声がしたと思ったら、風呂の窓から蒼い瞳がジッとこっちを見ていた。

 なんか恨めしそうな顔で、不気味で酔いも覚める。その、視線でこっちにプレッシャーを送るのいい加減、止めて欲しい。


「リア、なんだそんなとこで」

「なんでタケルはお風呂に来ないんですか、わたくしずっと中でスタンバイしてましたのに、すっかりゆでダコです。シナリオ通りに行動してくれないと困ります」


「なんのシナリオだよ……」


 風呂場に行ってたら、もしかするとリアルートとかに入ってたのか。

 じゃあ、風呂に行かなくて正解だったんだな。


 俺の危機回避スキルも、経験値を積んで、レベルアップしてきたわけだ。

 そう思えば、いろんな意味で愉快、心地の良い夜だった。


「あと、タケルは少し薪をくべ過ぎです、是非もなく茹だってしまいます」

「おっと、それは、本当にすまん」


 危機回避スキルは上がったが、風呂焚きスキルは、ロールに到底叶わない俺であった。

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