第16話「君を為についた嘘」
朝日が目に当たりその眩しさで目を覚ます。「ん~ここは……」部屋中を見渡して自分の部屋に居るのだと確信する。「あっ翼君の朝食作らないと」私は体を起こす薬のせいか頭がフラフラする「あの薬か、黒岩めなんか頭がフラフラする」「まだ頭が痛むのか?」
「痛くないけど、えっ翼君?まさかずっとここに居たの?」「いや深夜だな一樹が居なくなった後、何か分かんないけどあいつ光の側から離れなくて八時過ぎから十二時までずっといたんだよな」「えっ七海さんが?どうして?」「さあなけどかなりの思い詰めた様子だった」
「けど何で?」「知らない気になるなら本人に聞け」「それより何でここで寝てるの?」「そうゆう気分だったから?」「気分って……」〈ただの幼馴染みが一緒に寝るってどうゆうこと?〉「さあ俺は風呂にでも入ろうかな」
「えっその手でどうやって頭洗うの?」「片手で洗えるでしょ?それとも光が俺の頭洗うか?」「えっ怪我したのは私のせいだし頭だけなら良いよ」「よし行くぞ」私は翼君とお風呂場に向かう私はシャワーで髪の毛を流しシャンプーを手の平に出し泡を立てたら髪に付けて洗う。
「なかなか上手いじゃないか」「それはどうも」「誰かにやったことあるのか?」「あるよ周に、周が怪我に小さい頃は一緒にお風呂てたからさその時に」黙り混む翼君「翼君?もしかして怒ってる?」「……別に」「やっぱり怒ってるじゃんいつもより声をのトーン低いし」
全ての泡を洗い流した後「これでよし後は自分でやって」私は風呂場から出ようとしてドアに手を当てようとすると後ろから湯から上がる音が聞こえてきて振り返ると同時に私は翼君にお姫様抱っこされて翼君が私を抱えた状態で湯に浸かる「えっ翼君?」
「ここに居ろ」「えっそしたら翼君体洗えないじゃん」「それは俺の問題だ、お前が気にすることじゃない」「問題あると思うけど?」〈いや問題だから付き合ってもない男女が一緒に風呂は入るって問題しかないから〉「問題あるよ、付き合ってない訳だし」
「なら付き合うか?」「えっなに言ってるの?冗談やめてよ」すると翼君は私の首筋にキスをする「!?ちょっとえっ翼君、やめて」翼君は離してくれなくて力が強くなった三分後翼君は私の首筋から唇を離すと「これでよし」「全然良くないよ、今度は何の嫌がらせ?」
「決まってるだろ?お前の首筋に俺の物だとゆう印、だから忘れるな」「忘れるなって元々私は翼君の物じゃない」「うるさい口だな首筋じゃなくて今度はそのうるさい口を塞いでやろうか?」「えっ」〈まただまた私をからかってる、ドS翼君だ〉
「やめてよ、そうやってまた私をからかって私みたいなどこにでも居る普通の女子からかっても得なことないよ」私は離れようとすると翼君が私を抱き締める腕がさっきより強くなった「翼君離してまだからかい足りないの?」私の顎を片手でクイと持ち上げて
「翼君?」「その言葉言ったこと後悔させてやる」「えっ何を言って……」翼君の顔がゆっくりと私の顔に近づいて来る。「!?」〈えっえっ本気でするつもり?どうしよう〉私が困惑していると風呂場のドアが開いて
唇が重なる前に七海さんが現れた「光様ここにいらっしゃたのですね、お姿が見えなかったので心配しました、ところで何故お二人が一緒にお湯に入ってらしゃるのです?」「違うんです」「俺が無理やり入れた」「なら光様をお離しください、今から女医に診察していただかないと」
翼君は私を離して「行け」そう言った。お湯から出て七海さんにバスタオルを肩に掛けてもらって「申し訳ございませんがそのままの状態で移動するとなるとかなり床が濡れてしまいますので私が運ばせて頂きます」「えっ運ぶって?」「失礼します」
私はよく分からないまま七海さんにお姫様抱っこされて寝室まで運ばれた。床下に下ろされると「では女医を呼んで来ますのでお着替えください」「あの一つ聞いても良いですか?」「はい何でしょう?」
「橋部さんににいたんですがあの翼君夜から朝までずっと私から離れなかったと聞きました、どうしてですか?」
「それはただ光様が心配で光様を診察した女医に聞いたの話ですがかなり強い薬を打たれていたみたいなので体に負担がかかって何かしらの異変がお体に表れるかもしれないそうおしゃっていました」「それで私から離れなかったんですか?」
「はい何か起きてからでは遅いのでしばらくの間様子を拝見させて頂いていたんです、女医が昨日おしゃっていたんですが一週間ほどは安静にするようにとおしゃっていました」「分かりました、気をつけます」「失礼します」七海さんが出ていった後私は着替えた
そして女医さんが寝室に来て私の今の状況を教えてくれた「えっ今なんて私が余命十年それはどうゆう意味ですか?」「今の言った通り光さんの体は蝕まれてるんです、打たれた薬によって」「えっこれはただの麻酔ですよかなり強力ですけど」「いいえこの薬は麻酔薬なんかじゃありません」
「だったら何ですか?」「これは今はあまり知られていませんが何人か光さんと同じ症状の方を見たことあります、そしてこの薬を知ってるのは限られた一部の医者です、この薬を知ってる医者はこう呼びましたクロノドクシ51と」「最初の患者さんはいつ頃に出たんですか?」
「私はこの仕事をして十五年になりますが最初に診察した患者は十年前ですそして立て続けに同じ症状の人が現れて全員十年後に命を落としました」「それじゃつまり治療法は見つかってないってことですか?」「はい今だに見つからないんです」「そんなじゃあ私は本当に死ぬですね」
「はい治療が見つからない限りそうゆう事になりますどんな成分が入ってるかさえ今だに分からないのです」「そうですか、ちなみにどんな症状が出るんですか?」
「最初は発作が起きて次に吐き気を感じて更に症状が進むと手足の痺れ、吐血をして体の自由が少しずつ奪われていき最後には体が動かなくなりそのまま命を落とします」
「分かりました、最後一つお願いがあるんですがこの事は他言無用でお願いします」「つまり翼様にもですか?」「はい貴女は何も知らないそうゆう事にしてください」
「分かりましたですが症状が進むと翼様は光さんの異変に気づくはずですその時はどうなさるおつもりですか?」「これは私と先生だけの秘密てことでお願いします、なので決して言わないでください誰にもです」「分かりました誰にも言いません」「ありがとうございます」
女医が出ていった後「私が十年後に死ぬ、別に死ぬ事は恐れていないけど安藤を捕まえられずに死ぬのは嫌だなあのくだらないゲームもあるしあのゲームを終わらせるまでは死ぬ訳にはいかない」ノックが聞こえてきて「光様少しよろしいですか?」「はいどうぞ」
ドアが開き七海さんが現れた「どうでしたか?診察の結果は」「問題ありませんでした、安静にしていれば良くなります」「そうですか朝食をご用いたしました」「ありがとうございます」私が立ち上がろうとするとめまいが起きて私はそのまま床に座り込む
「光様!どうされました?大丈夫でごさいますか?」「はい平気です」私は何事もなかったように立ち上がり部屋を出る〈どうやら女医さんの話は本当のようだ症状が出てきてる一年後には吐き気を感じるのか?私の死は少しずつ近づいて来るその前に早く終わらせないと〉
朝食を食べてしばらくしてスマホがなる「誰からだろう」画面を見ると「佐藤さん?もしもしどうしました?」
≪光ちゃん大変なの周君がこのままじゃ死んじゃう、≫「えっどうしてです?」≪周君光ちゃんが出ていった後全然ご飯食べてくれなくて食べて言っても「光連れてこい」言う一方でこのまま餓死しちゃう≫「分かりましたすぐに向かいます」
私は翼君と車に向かう佐藤さんの家に着くと「光ちゃん早く入って周君にご飯作ってあげて光ちゃんのご飯なら周君食べると思うから」「はい」私は台所に行って料理を作ったあと周の部屋に行く。「周私、ご飯作ってきたから開けて」ドアが開き「入って」周は私を部屋に招く
入ると「周の好きなハンバーグ作ったから食べて」私は机の上にお盆の上に乗せた作った料理を置く「周やつれた?ちゃんとご飯食べなきゃダメだよ」「何それ誰のせいでこうなってると思ってるの!」周は両手で両頬を掴みキスをする。「!?」私は振りほどく
「周一体何を考えてるの?何でこんなこと……」「好きだから」「えっ」「俺が光のことが好きだから一人の異性として」「何言ってるの?そんなのダメに決まってるじゃんだって私たちは姉弟なんだよ」「それが何だと言うの?姉弟だから好きになっちゃいけないわけ?」
「周……」「分かってるよ常識外れだって世間はきっと認めてくれないけど光に恋してるって確信してからずっと押さえてきたこのまま姉弟のままでいた方が光の為だって好きになっちゃいけないって分かってるけど止められなかった押さえれば押さえるほど溢れでる」
〈周ごめんねそんなに悩ませて私のせいで辛い思いさせてごめんね、私も周が好き、好きだと言ってくれて嬉しいよ、けど私には未来がないのだ、いつ死ぬか分からない私の為にこれ以上苦しんでほしくないその為に私はこの選択しかない〉
「周私は周の事は好きじゃない私達は姉弟なんだよそんな感情持たない」「光それは本心なの?」周の問に私は「当たり前じゃない、私達は姉弟それ以上でもそれ以下でもない」周は切なそうに私を見る
〈やめてそんな目で見ないでそんな目で見られたら言ってしまう私も好きだってごめんねこんな守り方しか出来なくて〉
泣きそうになりながら涙を必死に押さえて「帰るねご飯ちゃんと食べてね」私はドアに向かう「駄目行かないで!」私の腕を掴みベットに押し倒す。「ちょっと周何をするの?」「どうして駄目なの?俺はこんなにも光が好きなのにどうして光は俺の気持ちを否定するの?」
「好きじゃないから私にとっては周はただの弟でしかないから」〈周好きだよでも私は余命宣告された先の短い私と一緒に居たって苦しいだけだよ私が居なくても必ず幸せになって〉
「ここに居て」「周にはもう会わない今のままもう一緒に暮らさない」「光……」〈ごめんね私は本当に最低な人間だ、だけどこれが私なりの精一杯の守り方〉周は起き上がって私から離れる私も起き上がりドアの前に立ち
「周大丈夫だよ何度も何度も私が必ず守ってあげる」私はその言葉を残し部屋を出た。私は部屋を出た瞬間声を殺しながら泣いた。走り出して玄関に向かった。その途中「光、おい待て!」「光様!お待ちください」それでも私は走り続ける玄関を出て外に出ると二人が私を追いかけてきて
「光待て!」翼君に腕を捕まれる立ち止まると「光走るな一緒に帰るぞ、!?」
「そうです病み上がりなのですからそんなに走っては、!?」二人は私が泣いている事に気づいた「どうした?、何かあったか?」「……何にもない」「何でもないわけないだろう周と何かあったか?」「だから何でもないって腕が痛い離して」「断る、離したらまた走っては行くだろう?」
「私の事はほっといてよ」「そんなに泣いてるのにほっとける訳ないだろう?それに俺との約束破る気か?だったらまた寝室に閉じ込める」「分かったら逃げないから離して」「断る」「何でよ」「一樹早く車をこっちに回せ」「かしこまりました」七海さんが車を取りに行く。
戻ってきて私は翼君に無理やり乗せられてマンションに戻った。
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