『国家』が無双する異世界ファンタジー。

本作品は、ざっくりまとめれば「前世の知識を元に主人公が異世界を開拓する話」です。

しかし、よくある主人公が無双する作品とは明らかに一線を画しています。まず、主人公には前世の知識を除き、何もありません。魔法のある世界なのにチートがないどころか魔法すら使えません。
しかも開幕早々に主人公は襲撃を受け、全てを失います。

物語が進んでいき、主人公とその周りは徐々に変化し成長していきますが、異世界ファンタジーでありがちな主人公自身が無双するシーンはありません。
魅力的なキャラクターも多く登場し、それぞれ活躍しますが、それも一個人で実現可能な範囲を超えることはありません。
難しい言い方をすれば、国家戦略に影響を与えかねないキャラクターが登場しません。チート能力を持っているキャラクターもいることにはいますが、敵です。

この作品で無双するのは一個人ではなく、近代国家という「怪物」です。

本作品は、その近代国家を細部まで丁寧に書き込んであります。

作中には警察機構やダム、純粋な法治国家、軍事組織、NBC兵器などなど、通常の異世界ファンタジーではまず登場しないものが山ほど登場し、しかも描写が細かくリアリティがあります。

作品を読んで、私は近代国家の持つ凄まじい力と、その恐ろしさを感じました。

また、作者の知識量と熱量も感じることができました。

とても面白い作品なので、ぜひ読んでみてください。