【次世代小説投稿サイト】「たいあっぷ」で活動する上で求められそうな2つのスキル

 二〇二一年二月新たな小説投稿サイト「たいあっぷ」がオープンしました。

 

 たいあっぷ

 https://tieupnovels.com/creator


 SEOかじっていらっしゃる方の中には「いや、名前よ」と引っ掛かった方もいるやもしれませんが、ググるとちゃんとトップに出てきますのでご安心を。

 あとポジショントークっぽいですが、改めて「カクヨム」というサイト名秀逸だなぁと。「小説」とか「ノベル」とか直球の文言がついていないにもかかわらず、何かしら執筆に関するサイトなんやろうなぁ──と伝わりますものね。

 脱線失礼。


 たいあっぷが既存の小説投稿サイトと異なる点──それは作品を一人で創らないことです。


 たいあっぷでは「イラスト×小説コラボ型投稿サイト」とあるように、小説とイラストの両方を投稿することができます。作家側は「この人の描くイラスト素敵だなぁ。自分の書く作品の世界観にピッタリだなぁ」と思ったら、絵師さんに声をかけてみる。もちろん、絵師側が「この人の書く物語を絵に起こしてみたいなぁ」と思って作家に声をかけるパターンも然り。


 作家とイラストレーターが互いにマッチするパートナーを見つけ、ああでもないこうでもないと試行錯誤しながら、一つの作品を創っていく。


 云うなれば、クリエイターマッチングアプリです。うーん、今っぽい。

 現在は、賞金総額三百万円のオープニングコンテストを開催中。一方で、今のところリリースされているのはクリエイター向けページのみ。閲覧者向けのページは、四月下旬に公開されるとのことです。その後、閲覧者向けページが公開され次第、読者さんの投票等によって受賞作が決まる──という流れのようです。


 と考えると、クリエイター側の目線に立ったとき、これまでとはまた違った"駆け引き"が求められそうですね(笑)


 後進の小説投稿サイトは既存のそれと異なる"ウリ"を有するものですが、マッチングに主体を置いたサイトは初めてなので。なろうが幅を利かせている現在、人気が出るかどうかはさておき、テーマの独自性から今後の動向を見守っていきたいサイトではあります。

 一人では創作のモチベを維持しづらいという方は、登録してみるのもアリかもしれません。


 たいあっぷ【公式】

 https://twitter.com/tieupnovel/status/1365627350784745475


 公式Twitterによると予想以上にマッチングが成功しているとのこと。

 公式サイトを見ると「最近たいあっぷした作品」という一覧がありますが、こちらはあくまでサンプル。なので、今後本サイトで活動するクリエイターはこれらを参考に創ってくださいね~ということらしいです。

 ビュワーは縦読み。横書きに変更できるかどうかは現状わかりませんが、「(たいあっぷは)既存のweb小説と異なり行間を空けると非常に見にくくなります。小説を登録する際、たいあっぷノベルを制作する際は行間を詰め、見やすい形に修正することをおすすめします」といった内容を公式がツイートしているので。変更できない可能性が高そうです。


 個人的に面白いなぁと思ったのが、「小説を探す」限定の「キャラクターで検索」機能。


 役割・性別・年齢・身長・髪の色──そういった情報を入力して検索すれば、その特徴を持ったキャラが活躍する作品に出会えるという仕様です。

 あと驚いたのは、既に多くのイラストが投稿されている点。作家側はイラスト検索で好みのイラストを探して、この絵いいな~と思ったらイラストレーターさんに連絡をとって、巧く行けばたいあっぷスタート──といった流れでしょうか。チャット欄、共有メモ、キャラリストなど共同制作向けの機能も多数あり。

 より詳細を知りたいという方は、公式サイトまでどうぞ。

 さて、個人的にはこの「たいあっぷ」──二つのスキルがものを云うサイトだと思っております。一つは真のコミュ力。もう一つは新たな"矢"を受け切るメンタルの強さ。

 真のコミュ力というのは、初対面の相手に臆さず声を掛けるとか、お笑い芸人顔負けのすべらないトークスキル──ではなく。


 相手の気持ちを汲み取る能力のことです。


 たとえば、あなたが作家側でパートナーであるイラストレーターに「こことそこ私のイメージと違うので修正お願いできますか」と依頼をするとき、角が立たないようそれを伝えられるか──というお話。

 従来は小説投稿サイトにおけるクリエイター同士のいざこざなんて、片方がスルーすれば何てことはなかったわけですが。共同制作が大前提であるこのサイトにおいて、それは通じません。現に、パートナーが失踪したらたいあっぷ解消の前にまずは運営にご相談を──的なツイートを公式がしているくらいです。


 魅力的な作品が書けることは勿論として、真のコミュ力が高い──良好なパートナーと良好な関係を維持する能力に長けた人が真価を発揮できるサイトと云えるのではないでしょうか。


 次に新たな"矢"を受け切るメンタルの強さですが──従来の小説投稿サイトにおいて、作家目がけて飛んでくるのは、せいぜい「自作が読まれなくてつらい」だとか、捉えようによってはどうとでもなる"矢"でした。

 しかし、このサイトでは「タイアップできなくてつらい」という新たな"矢"がクリエイター側に襲いかかります(あまり大きな声では云えませんが擬似NTR展開が発生しそう)。

 イラストレーター側にしろ作家側にしろ、誰にも選ばれない層というのが必ず出てくるよなぁ──と。実際、私がイラストレーターで商業デビューを真面目に考えているなら、倍率の高い小説にのみ声をかけるでしょうし。

 

 そんなわけで商業デビューを成功とした場合、お互いに良識あるペアしか成功はしなさそう。


 云うて、まともな人だけがスポットライトの下に立てるという意味では、正しいあり方なのかもしれませんが(笑)

 クリエイター同士のトラブルを懸念する意見がちらほらありますが、共同制作過程において多少の軋轢は避けられませんし、そもそも出版を決意した時点で共同制作から逃れることって不可能なので。


 これまでのサイトでは軽視されてきたスキルが求められると同時に、物を読み書きする以外の総合的な人間力を鍛える場として図らずも機能するのではないかなぁ──と思うております。


 ただ、あくまで私の肌感覚なのですが、小説を書いている人間って私も含めてそのまともな人が少なそうなんですがそれは。げふんげふん。

 今回はそんな感じ! ではまた~。

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