眩暈(くるめき) 『眩暈』
【作品情報】
『眩暈』 作者 辰井圭斗
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922767033
【紹介文】
偽教授眼鏡杯参加作品
レギュレーション
テーマ:眼鏡
字数:一〇〇一字ジャスト
とはいえ、語るなとも云われていないので。「かたくななる人」というレッテルを貼られぬ程度に、巡らせた想像を言葉にするのは有りかなぁなどと思った次第。
──この人を模倣し、この人を私の中に取り込めば、これから先もこの人といることが一種可能になるのではないかと……まあ、そういう大それたことを密かに考えていました。
私、初めてこの作品を読んだとき「恋は盲目」とかけたのかなぁって。「そういう大それたこと」と自らの思惑を客観視できる程度には冷静さを保っているから──だから『眩暈』なのかなぁと。それくらいに解釈して、置いておいたのだけれど。
今日改めて目を通してみると、どうにも違う気が致しまして。
ああ、これ"咀嚼"の話なのかなと。
「そういう大それたこと」と胸のうちで評してはいても、私の中に取り込むこと自体はまあできなくはないかなと。そう、踏んでいるわけじゃないですか。
でも、渡された眼鏡のつるに居ついた熱を感じた折、到底"咀嚼"し切れるものではないと。ただ、眼鏡を掛けて夜空を仰ぐ。たったそれだけで心乱されているのに、この人を私の中に取り込めば、これから先もこの人と──などと。
途方もないと痛感した。
だから、「私の試みと望みの限界を悟った」に繋がるのかなぁと。
余談。私たちは好意を寄せる相手のうちにやたら自分との共通点──中でも好きなものが一緒かどうかを探すきらいがあるように思うのだけれど。科学的には、友人関係にせよ恋愛関係にせよ、嫌いなものが一致している方が長続きするそうで。嫌いなものって好きなものと違ってコロコロ変わらないじゃないですか。
そう、好きなものはちょっとしたきっかけで変わる。きっかけがなくとも、変わってしまう。
とはいえ、私たちは「この人好きだなぁ」と思うから関係を長続きさせたいのであって、長期的な関係を維持するべくその人を好きになるわけではないので。なんとなく「もう長くはない関係なのだろうなぁ」と察しても、そう易々とは断ち切れないじゃないですか。離れ難いには離れ難いじゃないですか。
夜空の下、帰路を自転車で走る中、そんなことを思っていました。もはやレビューではなく日記ですねこれは。
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