「一年あっという間だったなぁ」と感じているあなたへ①

 先日Twitterで斯様なリプライを頂戴しまして。


 ──あと一ヵ月半で初めてコメントを頂いてから1年になりますね。


 私、これを目にしたとき、ぎょっとしまして。というのも、最初に浮かんだのは「えっ、もう一年?」ではなかったのですよ。「えっ、一年?」だった。

 年を取れば取るほど色濃くなる、今年もあっという間だったなぁ──というあの感覚、一説によると"感動不足"から来ているそうで。


 年を重ねると、人ってなまじ物知りになるから一つひとつの出来事に注意を向けなくなるのですよ。


 たとえば──唐突にRPGライクな例えで恐縮なのだけれど、経験の浅い冒険者にとってダンジョンって見たことないモンスターだらけじゃないですか。「えっ、何コイツ? 強そうっ。とりあえす、火属性の魔法だ! ああっ、あんまり効いてない! なら、物理で殴るッ! ええっ、全く通らない⁈」みたいな。そういうの日常茶飯事じゃないですか。

 対してこなれた冒険者になると、見たことないモンスターなんてまずいないのですよ。「あーはいはい、知ってるよー。キミ、アレでしょ? 氷属性に弱くて、翼広げてるとき攻撃したら全体魔法でカウンターしてくるヤツでしょ?」みたいな。ここまで知り尽くしていたら、もう倒すの作業じゃないですか。

 確かに時間は経過している。けれども、これといって何かを成し遂げている感覚がない。


 つまり、日々見慣れたものに囲まれていると、時間が経過しているという感覚ばかりが先走ってしまって、「これといって何もしていないけれど、一年あっという間だったなぁ」という虚しい帰結に陥るのですよ。


 そう、私たちって「えっ、もう一年?」と思うとき、言外にコレが潜んでません? 

「えっ、もう一年? 

 ここから脱却する方法は、もう至ってシンプルで。新しいダンジョンに飛び込みましょう。ポケモン風に云うなら、さっさとその町を出て未知の草むらに飛び込みましょう。


 マサラタウンにさよならバイバイ。


 ──ここで、これをお読みになっている方の八割の胸中を云い当てたい。

 しんどい。姫乃よ、そのノリはしんどい。まるで、ジェットカット多めの自己啓発系動画を見せられている気分だ。見ただけで「あっ、昨日よりちょっとは賢くなれたかも」と錯覚できちゃうアレだ。行動に移せ。あと、モントリオール大学の研究によれば、自己啓発書を愛読している人ほどストレスに弱くうつ傾向が高かったそうだ。まあ──わかる気はする。

 なので、これとは異なるアプローチから「えっ、もう一年?」を「えっ、まだ一年?」に変える方法について迫りたいのだけれど、続きはまた次回。あなたが一年を振り返ったとき、今年も大したことしなかったなぁ~と落ち込まないために。


 とはいえ、状況を一変させるシンプルイズベストって、どうあがいても新天地に飛び込むことではあるのですよ。


 私、今年に入ってブログを始めて、プログラミング独学でかじって、拙いながら身内の会社のHPを作成したりして、先月末から──これは今のところ真面目に宣伝する気はないのだけれど、旅先の観光地とか近所で見かけた猫とか、そういう何でもない光景を某動画配信サイト(YouTubeではない)に投稿し始めたりして。


 兎角、探りさぐり色々やっておるわけです。


 まあ、これらの積み上げがなくたってカクヨムでの一年振り返っただけでも「えっ、まだ一年?」って云う自信あるっちゃあるけどね。よう一年でこのつながり形成したなぁみたいな。

 それくらい──確かな密度ではあるよ。

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