The What-The-Hell Effect 『捨て鉢くじら』

【作品情報】

『捨て鉢くじら』 作者 濱口 佳和

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054918752439


【紹介文】

「鯨の大八」こと内藤大八は、旗本次男坊の放蕩者だ。

 ある晩、内藤新宿で酔って用を足していると、おもんという名の飯盛女(遊女)に声を掛けられた。

 大八はおもんに入れあげ通うようになったのだが──。

 ⌘『町を道連れに滅んだ男』を改題、加筆したものです


 最初に断りを入れておくと、私は時代小説に明るくない。

 読んだことがあるそれを思い出せと云われたら、せいぜい頭に浮かぶのは鳥羽亮先生の剣客同心鬼隼人シリーズくらいのものである。それゆえ、件の作品を時代小説として掘り下げられないことが、まっこと心苦しくもあり──。

 当初主人公・内藤大八だいはちは「第3話 嘘かまことか」のある出来事をきっかけに"捨て鉢"となったのだなぁ──くらいに思っていたのだが、改めて読み直してみれば自身の置かれていた立場もあり、冒頭から中々の"捨て鉢"っぷりである。


 このように件の作品、ことばの掛け具合(とでも云えば良いので?)がやたらと巧い。


「嘘か、まことか」というキャッチコピー。字面は違えど第3話のエピソードタイトルにもなっているのだが。

 一見、おもんの定かではない胸中(大八からすれば"そこ"はまさしく始まりの場所だが、彼女は単に「神様と仏様がいなさる」という理由からそこを選んだのやもしれない)を指す一方、内藤新宿廃宿の影に鯨の大八事件があったこと自体──すなわち「嘘か、まことか」という所謂ダブルミーニングになっているのではないかと。

 

 少なくとも、私にはそう思えてならないのだが──いかがか。


 と、さんざ技巧面にフォーカスして作品を語ってみたわけだが、時代小説に疎い私から見ても良き物語なのである。

 ただでさえ破れかぶれだった男がさらに破れかぶれとなる引き金は非常に人間臭く魅力的で、時代を超えて甚だ共感し得る。

                ※

 余談。私は、感想やレビューを書くに当たって当該作品を何度も読み返すことがある。

 そのため──過去に一度「姫乃さんが宣伝してくれたあとはPVがすごい伸びます (^_^)」みたいなリプライを頂戴したことがあるのだけれど、残念かなそれは読者が増えたのではない。


 PVのである。

 

 繰り返す。私が、一人で、PVをメッチャ回しているのである。ではまた~。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る