その世界では、長らくダークエルフが他種族たちを支配し続けていました。
強力な縦社会を作り上げたダークエルフ。その治世は安寧そのもの。自分たちを脅かす存在なんて、いるわけがない。彼らはそう思っていました。
そんな世界にひょっこり現れたのが、白狐にして祟り神の楽市——
彼女は、愛らしくも恐ろしい妖しの幼女たちを引き連れ、ダークエルフの世界を侵略し始めます。
彼女の仲間を守るため、虐げられてきた者たちを救うため。
ダークエルフたちは、楽市たちの快進撃にやがて脅威を感じ始め——?
一見、異世界を侵略している楽市たちが悪く見えてしまうこの物語は、そんな彼女たちの視点で話が進んでいきます。
先程『一見』と書きましたが、私はぜひ皆さんに「どちらが悪か?」を問うてみたいです。
楽市は祟り神。侵略の方法は瘴気をまき散らしたり、アンデッドたちを跋扈させたりと、実に祟り神らしいやり方ですが、それによって救われる人たちも確かに存在します。
対するダークエルフたちにもまた、守りたいものがあるでしょう。ですがそのために、禁忌とも呼べそうな手段を用いていたりするのです。
どちらが悪か。どちらが正義か。この作品が最終的にどんな答えを出すのか、私はとても楽しみにしています。
と、堅苦しいことをたくさん書きましたが、この物語の最大の推しポイントはほのぼのとシリアスの共存!
シリアス全開の展開か!? と思いきや、ふっと和める一文やシーンがやってきて、そのたびほっと息がつけるし微笑ましいです。
楽市と彼女の周りにいる妖しの子供たちや、どんどん増えていく様々な仲間たちも、掛け合いの中で本当に良い味を出すんです。
私は仕事で疲れた一日の癒しにしておりました。息抜きにもおすすめです!
皆さんもぜひ楽市たちと一杯考えて、一杯和んで、作品の世界にどっぷりはまり込んでください!
和風×洋風を掛け合わせた、異世界ファンタジーの新境地を開く物語。
人に取り憑き、酒と食事を味わうのを楽しみに日々を過ごしていた白狐の楽市は、理不尽な暴力によって独りきりになってしまいます。しかも、目覚めた場所はどこともわからぬ新生した世界。
戸惑いながらも眠りこけていた彼女に、突然なにかの影が襲いかかるのですが――。
ハードモードな始まりながら、どこかふわふわした楽市の性格のお陰で物語全体の雰囲気は柔らかめです。とはいえ、新生した世界の中で楽市の持つ闇っぽい力は最強であり、異質。彼女とともに暮らしはじめ、成長していく妖の子供たちもまた同じく。
敵勢力はなかなか残酷ですし容赦ないので、生き延び、あるいは何か(誰か)を守る戦いも、自然と苦戦や覚悟を求められます。そんな中で成長する妖の娘たちは、暴力的で過激ながらも陽気で前向きで、友情を大切にする可愛い子たちでした。
ほのぼのしたりハラハラしたりと物語も起伏に富んでいるので、結構長い連載作品ですが、気づくと100話くらい読み終えておりました。
各話がそれほど長くないので、サクサク読めるかと思います。ぜひご一読ください。
四百年もお酒とつまみを堪能しまったり過ごしてきた妖しの狐の獣娘「楽市」は意味も分からず仲間と別れ異世界で一人ぼっち。
そこで生まれたてのあやかしの子供を拾うことから始まる物語。
この見惚れる程の美人さんの楽市のちょっぴり残念な性格が愛らしく「わたしTueee」なのに今一強くない!?
そして拾った子供達が無邪気で物凄く強い! 強いんだけど子供特有の集中力の無さ。ワチャワチャ言いながら戦う様は読んでて本当に楽しい。
かつてここまで楽しい戦闘があったでしょうか!?
子供達もだんだん増えていきますが皆個性豊かで振り回されつつも優しく接する楽市と子供の信頼関係も人と似てるようでまた違うけどほっこりします。
物語の拠点が山が中心になるのですが、その山の情景や匂いまで伝わってくるような描写には感動します。
そんな中に然り気無くいる違和感というか現実離れした生き物達がしっかりと息づいているのがまた素敵です。
知っていますか? 「カニポイ」のハサミはチョキではなくグーなんですよ。
獣娘の定義を私は今まで間違っていました。この狐の娘「楽市」に獣と人間のバランスの絶妙さを感じました。本当に獣娘がいたらこうに違いない! って思わされました。
最後に個人的におすすめなのが楽市の使う式(術や魔法みたいなもの)に是非とも触れてほしいです。読んでいて背筋がゾワッとするぐらい感動しました。
私が自信を持っておすすめします! 是非とも読んで頂きたいです!!