第116話 有能な人と縁を結ぶ(とても大事)
- 安芸(広島) 広島城 畝方屋敷 -
1529年(享禄2年)1月
「明けましておめでとう」
「「「おめでとうございます」」」
俺の挨拶に家族が挨拶を返す。今更だが、去年の5月に久との間に娘が生まれた。名前は珠姫。生まれたときは阿輸迦(アソカ)作戦で忙しかったからなぁ・・・また、九州平定を機に三入高松神楽団に所属し、俺の養女でもある霞が服部半蔵さんと、杏が今川貫蔵さんの嫡男近時くんと、桜が世鬼煙蔵さんの嫡男近矩くんと、鈴蘭が旗指足軽小頭である周藤九太と祝言を挙げた。
信頼する部下と血縁 (養女養子でも問題なしという世の中です)を結んだというのは畝方氏にとっても素晴らしいことである。
そして、服部半蔵さんが実は服部半蔵くんだったことが判明。もともと年齢不詳だったけど、同い年に見えたのは世に出るための変装だったそうだ。変装を解いた服部半蔵くんは普通に好青年だったよ。
というか、普通に服部半蔵さんとの連絡役の下忍として会ったことあった。仕官してくれたとき16歳だったのか・・・ビックリだよ。
で、現在の俺の家族構成を表記すると以下の通り。
畝方石見介元近 (30歳)
正室 松 (元就さまの養女23歳)
側室 久 (尼子国久さんの娘18歳)
嫡男 三四郎 (2歳)(婚約者は元就さま次女しん姫)
長女 珠姫 (1歳)
養女 ひなげし (18歳)、朝顔 (17歳)、桔梗 (17歳)、菊 (17歳)、花梨 (16歳)、スミレ (16歳)
義息 甘草定純 (27歳) 妻 梅 (20歳)
服部半蔵 (23歳) 妻 霞 (18歳)
今川近時 (18歳) 妻 杏 (19歳)
世鬼近矩 (17歳) 妻 桜 (18歳)
周藤九太 (16歳) 妻 鈴蘭 (18歳)
あと6人の年頃の娘がいるんだなぁ・・・
ちなみに元就さまの家族構成は以下の通り。
毛利元就 (32歳)
正室 妙 (26歳)
長女 たま姫 (10歳)(婚約者は宍戸弥三郎)
嫡男 少輔太郎 (9歳)
次女 しん姫 (6歳)(婚約者は俺の嫡男三四郎)
次男 少靖次郎 (3歳)
三男 徳寿丸 (2歳)
「石見介さま。
新年の挨拶として広島城にやってきた尼子詮久くんが、ジャンピング土下座で一番末の養女であるスミレとの結婚を願い出た。そういえば矢滝城にいたときも畝方村に来たときも結構仲が良かったよね、君たち・・・
「俺が認めることには問題ないが、出雲守(経久)さまはご存知なのか?」
「説得します」
尼子詮久くんの目がかなり真剣だ。武士的には望む縁だが。そうか、ガンバレ少年・・・ということで義息に尼子詮久 (15歳)スミレ(16歳)(予定)が追加された。
それと慶事があれば弔事もあった。大きなところでは沼田小早川氏の頭領だった小早川興平さんが亡くなり嫡子の小早川詮平くん(6歳)が跡を継いだ。既に毛利氏では家を継ぐというのは名前を継ぐ以外の意味は無いけどね。
あ、でもそうなると元就さまの次男で少靖次郎くん(後の吉川元春)と三男徳寿丸くん(後の小早川隆景)の苗字はどうなるんだろう?
・・・まあ気にしても仕方ないか。志道広門さんが、元就さまに対して謀反を起こして断絶した毛利氏分家の坂氏を復興させるために、養子の形で名前を変えて坂元貞さんになった例もある。分家を興すかもしれないしね。
1529年(享禄2年)2月
「欧仙よ。堺公方が大和(奈良)に攻め込んで薬師寺を焼いたらしいぞ」
司箭院興仙さんが情報を上げてきた。詳しく聞くと、堺公方の配下で、丹波で反細川高国として挙兵した柳本賢治と三好元長さんとの仲が急速に悪化してきているらしい。
あくまでも細川高国を排除したい新参者と細川高国との関係修復を図る古参の間に起こる方向性の不一致というやつだ。
なるほど。宴席でも頑なに喋らなかった、三好元長さんの眼下のクマの原因はこれか・・・で、柳本軍が三好元長さん派の大和の国人である赤沢幸純の城に攻め込んで、その際に赤沢軍の後詰めに出た筒井順興の兵が薬師寺に火を付けたということらしい。
「攻めた理由は、赤沢幸純が細川高国に寝返ったことらしいが、まあ、濡れ衣じゃろう」
「なんか露骨過ぎですね・・・」
司箭院興仙さんの言葉に相槌を打つ。
「しかしなぜ興仙さん経由で?」
「薬師寺復興の支援要請じゃな」
世知辛い・・・ただこの時代、戦火で寺院が焼かれると復興し辛いのもまた事実。今回焼かれた薬師寺だって、創建当時から残るのは東塔のみ。復興事業が最終段階を迎えるのは490年後の2017年だ。
「で、発起人は誰です?」
「山科 権大納言(言綱)殿じゃ。ほれ、四国の公卿に所縁のある人物を探しとっただろ」
司箭院興仙さんはニヤリと笑う。どうやら薬師寺復興を餌に西園寺氏や土佐(高知)一条氏に所縁のある人物を釣りあげてきたらしい。
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