僕とばーちゃんと、時々彼女の島 ~僕の穏やかな島暮らしが終末を迎えるまで~

作者 武石雄由

情景も匂いも感情も全てを感じる

  • ★★★ Excellent!!!

こう、本当にすごい所はなかなか言葉にしづらいなと思います。まず最初の島が遠ざかっていくところで心を奪われました。「ああ、これは最後まで読むしかない物語だ」と。海と風の匂いがするんです。僕、上手い作家って文章から匂いがすると思っていて、武石さんは本当に上手いなあと思いました。それ以降もそう。情景と匂いと感情の全てを感じます。ありきたりな言い方ですが、それって「そこにいる」ということですよね。

もちろん言葉にしやすい所もあります。とてもよくできたSFですから。途中から書き方に違和感を感じるんですが、それがどういうことか第8話で分かる、その時のゾクゾク感は忘れられません。この話、ちょっとした設定・描写にも理由があります。

そしてアカリのあれのまさしく「あっ」という感じ。その後ああなりますけど、でも一面としてはあれきりなんですよね。それで済ませてしまうのかと思いました。でもそれが……ということですから(ネタバレを恐れて何も言えん)。僕はあれで素晴らしいと思います。

あとは、毎回引きがすごいんですよね。引きを作るのに必ずしも事件やアクションを起こす必要は無いんだなということを改めて勉強できました。

……いいところとか、面白さとか伝わった? 読んでね。

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コロナ禍の最中にある世界で生きる現在の我々にとって、この作品が示す未来は「あるかもしれない可能性」の一つです。

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