第一話【新しい幕開け】

SCP-1968の変形が収まった時にバルドの周囲には見知った顔が並んでいた。

ゴハン・ソロ、 ハウ、 ウェッジ、 シャル、 ケイ、 マドカ、 グレン

ナル、 エミリー、 グリード、 ゾーバ、 そしてラルフ。


「こ、 これは・・・一体」

「バルド、 我々が分かるか?」


ゴハンが尋ねる。


「え、 えぇ・・・存じ上げて居ますよ」

「何だその喋り方・・・一体如何言う状況だか分かるか?」

「え、 えぇと・・・分かりません」


世界が改変されているのだから状況が分かる筈も無いので正直に答えた。


「お前はこの記憶を書き換える円環に触って魔王に侵略されかかっている

この世界を打開する術を模索している最中だ」

「魔王・・・異世界から闇は来ていない?」

「闇が来ていない? という意味が分からんが異世界からは誰も来ていないぞ?」


話が微妙に食い違っているゴハンとバルド。

如何やら魔王を討伐すれば異世界から闇を召喚する事もない。


「つまり魔王を討伐すれば何も問題は無い?」

「軽く言ってくれるな・・・如何やらその様子だと魔王を倒せる記憶が手に入ったようだな」

「まぁ・・・はい」

「歯切れが悪いな」

「この円環って頻繁に使われる物ですか?」


何とか二度と円環が使われない様にするバルド。


「いや? お前の得た記憶が戦いに役立つ物ならば二度と使う事は無いだろう

上も極力使いたくないみたいだったからな」

「そうですか・・・」

「喋り方すらも変えるのか」

「え?」


バルドは困惑する。


「まぁ良いさ、 とりあえず色々知識を我々に教えてくれ」

「分かりました」


バルドはスシブレードの事をゴハン達に伝え、 この事実は改変前の世界と同様

新しい世界の武術基盤となるのだった。


「なるほど、 スシブレードか・・・陛下にも伝えて新しく部隊編成をしよう

バルド、 お前も忙しくなるぞ」

「そうでしょうね・・・」


バルドは闇との戦いを想起しながらそう答えた。

これからも戦いが始まると思うと憂鬱だが今度こそ世界を救おうと心に決めたのだった。


「所でバルド、 後で牢屋に向かって親父さんとレーアに顔を出しておけよ」

「親父さん? レーア・・・って呼び捨て?」

「・・・まさか二人の事を忘れたのか?」


ゴハンが不安そうにバルドを見る。


「いえ、 親父さんって・・・もしかしてハルト様じゃなかったお父さん?」

「そうだが」

「後なんでレーア様を呼び捨てに?」

「何で様付けしているのか分からんが、 レーアはお前の幼馴染だろう?

今回、 お前が円環に触るって記憶が改変されるから

二人とも大騒ぎして捕まっているんだ、 会いに行って来てやれ」

「・・・・・はい!!」


バルドは泣いた、 そして走り出したのだ。


新しい世界は今までの世界とは似ているが違っていた。

だがその世界にも希望は有ったのだ。


「あ、 場所は何処ですか!?」

「ここを出て外のテントに居る」


バルドは外に出た、 外では明けの明星が輝いていた。

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