ヴォルフガング、悩みを打ち明ける
闇が一人で教会に向かい知らない街並みを進んでいると
一人の男がとぼとぼと歩いているのを見かけた。
身形の良い服装だが妙に肉付きが悪い、 そしてまるで世界の終わりの様な顔をしている。
闇は声をかけた。
「よぉ」
「・・・・・? 誰ですか?」
「通りすがりの者だ、 見た所、 アンタ相当ヤバいな」
「・・・・・ほっといて下さい」
「いやいや、 アンタみたいな奴をほっとける程、 俺はお人好しじゃない」
「・・・むしろ構う方がお人好しじゃあ・・・?」
闇のスシブレーダーになるかもしれない相手を捨て置く方がお人好しだ。
と闇は心の中で呟いた。
「まぁまぁ奢るから、 どっかで吐き出そうぜ?」
「・・・・・金なら有りますよ、 僕が持ちます」
「あらそう? じゃあ奢られよう」
二人は酒場に向かった。
酒場の者達は二人を見たが直ぐにそそくさと立ち去った。
「アンタ有名人なのか? アンタを見るなり皆どっか行ったが・・・」
「・・・僕はアナキン・ヴォルフガングと言います」
「ふぅん、 有名な人?」
「ヴォルフガング家、 知りませんか? 貴族の家なんですが・・・」
「そうか、 糞みてぇな家だな」
「・・・何故?」
「いやぁこんな顔して歩かせる様な目に遭わせる家なんて禄でも無いだろ」
「いや・・・家は関係無いんですよ・・・」
「どういう事だ?」
「実は・・・僕には恋人、 が居たんですよ」
「過去形?」
「実は・・・何時の間にか居なくなっていたんですよ」
「ふむ、 中々深そうな話だ続けてくれ」
「はい・・・僕はつい最近まで平民をしていました
ですがヴォルフガング家の隠し子だったんです
それでヴォルフガング家に見つかり連れていかれたんです
その際に恋人と離れ離れになってしまった・・・」
「何という外道だ、 ウォルフガング家」
「彼は直ぐに戻るつもりだったんですが・・・引き留められてしまって・・・
やっとの事、 今日戻って来たんですが・・・彼女は既に何処かに行ってしまって・・・」
「うん? 何処かに行ってしまった? 何処に行ったんだ?」
「それが・・・分からないんです・・・彼女の近所の人達は遠くに行ったとした・・・
必ず戻ると彼女に言ったのに・・・彼女は・・・」
涙を流すウォルフガング。
「それならばいい方法が有るぜ」
「良い方法? 何ですか? 良い方法って・・・」
「彼女の居場所、 知りたいんだろ? 知る方法は有るぞ」
「・・・・・でも・・・知った所で・・・」
「知った所で行くか如何かはまた後で考えれば良いだろう?
知って、 その女が幸せに暮らしているか確認して
会うか如何か決めれば良い」
「・・・・・その方法を教えて下さい」
「良いぜぇ・・・」
闇はにやりと笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます