夜明け前が一番暗い

ヴォルフガングがバルドを飲み込んだ後

動かなくなったヴォルフガングに攻撃を加えるゾーバだったが効果が無かった。


「やめてぇ!! なかにばるどがいるんだよ!!」

「効いてないみたいですね・・・」

「ちぃ!! ・・・うん?」


聖霊の体に露出していたヴォルフガングの体が体内に吸い込まれる。

そして球形になり震え始める。


「な、 何だ?」

「こ、 これは・・・」


頭頂部から罅が割れて光り輝き

エッグヴィーナスの聖霊とバルドが飛び出した。

そしてヴォルフガングとその聖霊は爆発四散した。


「はぁ・・・はぁ・・・」

「ば、 バルド・・・これは・・・」

「倒せた、 と言う事か」

「ばるど!!」


トゥーンウィがバルドを抱きしめる。


「ははは・・・」


バルドはがくりと倒れている。


「お、 おい大丈夫か!?」

「かなりの疲労だな・・・大丈夫か?」

「それならば問題は有りません!!」


伝令がやって来る。


「敵軍は司令塔を失い既に敗走の態勢に入っています」

「そうか・・・何とか勝てたって所だな・・・」

「今回も首の皮一枚繋がった、 って所か

凄いラッキーボーイだよ、 バルドは、 裏社会でも一旗上げられるだろう」

「ほめてるの?」

「最大級の賛辞だよ」


画して絶望的だったこの状況を何とか打開する事に成功したのだった。

被害も大きかった、 街が破壊されたのだ

ファウンデーション教国は港も破壊し、 魚の供給を断つ事にした。

完全に放棄する形になった訳だ。

街が残っていれば良かったのだが破壊されてしまったのでこうするしかない。


こうしてダークネスシ帝国は供給が絶たれてしまった。

だがしかしそれでスシの暗黒卿が諦める事は無い。

希望が見えた来た、 しかし夜明け前が一番暗いと言う言葉が有る。

この闇を乗り越えなければファウンデーション教国を始めとした

反ダークネスシ帝国に未来は無いのだ。


一番キツイ状況に追い込まれたのは敵も味方も同じ事。

考え無しになった場合、 ダークネスシ帝国は一体どんな行動に出るのか?

想像だに出来ない・・・






そしてこの状況を心待ちにしていたのは人間では無くこの男である。


「アーマゲドン様、 人間共は如何やら疲弊している様子

ダークネスシ帝国はスシブレードに必要な魚の調達も出来なくなっている模様です」


世界の何処かで真っ赤な悪魔に報告する魔物の伝令。


「うむ・・・ならばもっと争い合わせ疲弊した所を我等が討ち魔王様の仇を討つ!!」


彼は四天王最後の一人、 アーマゲドンである。

現状の魔物達の最高指導者である。

果たして魔王は一体何処に行ったのか!?

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