悪魔になろう

「はぁ!!」


トゥーンウィがアイスクリームで地面を凍り付かせる。

こうする事で摩擦が少なくなり素早く動く事が出来る。


「ちぃ!!」


ヴォルフガングは戦慄した。

4対1、 更にスピードも増してしまっては対応が難しい

地面が凍り付いた為に超スピードで動くと滑って通り過ぎてしまう恐れがある。


「いや、 落ち着け・・・」


パワーもスピードも圧倒的に自分が上なのだ。

ヴォルフガングは冷静に考えて行動を始めた。

ヴォルフガングは凍り付いた地面を溶かす為にトゥーンウィに向かった。


「こっちを無視とは良い気な物だな!!」


口笛を吹きながらマヨコーンを射出する三崎。

コーンが飛び散りながらダメージを与える。

通常ならば大した事無いが凍った地面では滑り

あらぬ方向に飛ばされるヴォルフガング。


「うおおおおおおおおお!!!」

「こっちに来たか!! 行くぞ!! 3, 2, 1、 へいらっしゃい!!」


バルドの元に向かったヴォルフガング。

バルドはエッグヴィーナスを射出しヴォルフガングに命中させる。


「ぬわ!!」


ヴォルフガングは体勢を崩しながらヴォルフガングにぶつかる。

破壊力は無い、 意志を持った攻撃で無ければ聖霊がダメージを与える事は無いのだ。

しかし聖霊の体はバルドを包み込んだ。


「ぐわ!!」


バルドは短い叫びをあげた。








聖霊に飲み込まれたバルドはヴォルフガングの心の内を知った。

彼の心に有ったのは後悔、 慙愧、 渇望。


彼の心の内に有ったのは一人の女性である。


情景がありありと見える暖かな日差しの中に草原でランチバスケットを拡げて

ヴォルフガングと笑い合う小柄な女性。


雪が降る街並みで馬車に乗るヴォルフガングを心配そうに見つめる女性。


そして墓から掘り起こされ痩せ細り棺桶の中の中で横たわる女性。


「これは・・・」

『僕の恋人だよ』


ヴォルフガングの心が語り掛けているのだろうか?


『僕は彼女を殺された復讐としてスシの暗黒卿となった

だがしかし彼女を取り戻す手段が有ると言うのならば

僕は全てを捨て去って良い』

「・・・・・」

『君には無いのか? 全てを犠牲にしてでも守りたい人が』

「ヴォルフガング、 僕には大切な人が居るよ

でも今の君を見て君の恋人が君を如何思う?」

『・・・・・』


ヴォルフガングが黙る。


『僕は恨まれても良いし殺されても良い

彼女にしてしまった事は故意では無いにしろ僕が全面的に悪いと言える

だから彼女が僕を捨てても僕は恨まない

僕は彼女に幸せになって欲しいだけなんだ、 その為ならば僕は悪魔になろう』

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