願いの障害

ゴハンに駆け寄ろうとするバルド。


「待て小僧!!」


ざっ、 と現れるゾーバとグリード。


「敵から目を離すな!!」

「・・・・・はい」


ヴォルフガングの周囲を取り囲むスシブレーダーの面々。


「皆さん!! もう大丈夫なんですか!?」

「休めたとはいえ七割程度だ、 しかしここでやらなきゃ何時やるんだ!!」


グレンが叫んだ。


「ゴハンは心配するな、 鍛えているし気絶しているが命に別状は無い」


ラルフが答える。


「ちぃ!!」

「させない!!」


ウェッジのイクラリオンの狙撃によりバラムツがバランスを崩し聖霊があやふやになる。


「っ!!」


バラムツを手元に戻したヴォルフガング、 そして包囲される。


「今度はこっちが包囲したぞ!! さぁ如何する!!」

「それが如何した」


ヴォルフガングが感情のこもらない様な奈落の様な眼でバルドを見た。


「僕の願いは本来ならば絶対に叶わない願いだ

僕も諦めていた、 しかし願いが叶うチャンスが来たんだ!!

この程度の障害なんて・・・取るに足らない!!」

「取るに足らねぇか試してみろ」


ゾーバがファットプラネッツを射出した。

ヴォルフガングもバラムツを射出して聖霊で防御する。

次々と飛んで来るスシブレードも聖霊でガードしようとするが

幾つかガードし損ねて体に激突してダメージを受ける。


「ぐはっ・・・・・」


血を吐くヴォルフガング。


「やむを得ない・・・・・暗黒の中に向かおう・・・」


ヴォルフガングが聖霊にダイブした。

腐敗しドロドロに崩れた聖霊の体の中に飛び込んだ。


「な、 何をする気だ!!」


聖霊の中に飛び込んで上半身が聖霊の中に入った時。

ヴォルフガングの体が回転を始めた、 血も飛び散っている

明らかに致命的な状態である。

腐った聖霊に鮮血の色味と匂いが混ざり合った。


「ゴミ溜めに死体を打ち込んだみたいだな・・・」


余りに凄惨な光景にゾーバも顔を顰める。

聖霊も形を崩し始めてぐじゅぐじゅと音を鳴らす。

球形の腐った卵の様だった。


「・・・攻撃してみるか?」

「・・・・・あれにか?」


汚物さながらの様相の相手に対して無暗に攻撃したくない面々。

やがて聖霊の動きが止まり、 うぞうぞと手足が生えた。


「なんだ・・・?」

「何が起こると言うんだ?」

「・・・死の川を越えて」


聖霊から声が響く、 ぞっとする声だった。

その声を形容するとしたら死者の声だろうか。


「願いを叶えるために僕は立つ」


聖霊からヴォルフガングが顔を出した。

その顔はさかさまで顎が有らぬ方向に曲がっていた。


「聖霊と・・・融合したのか!?」

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