件の品

一方、 ファウンデーション教国では議会が招集された。

レーア伯爵令嬢の証人喚問である。


「件の品と言うのは恐らくあらゆる願いが叶うとされている宝だと思われます」


レーアの言葉に騒めく一同。


「願望を叶える魔法の品、 と言う事か」

「ちょっと待ってくれ、 何でそんな便利な物があるのならば使わないんだ?」


議員達が次々と騒ぎ出す、 O5-1が諫め沈める。


「推測するにただ願いを叶えてくれるだけの代物ではない・・・と言う事か?」

「御明察です、 願いを叶える代わりに代償を要求する悪魔を呼び出す

マホガニー製の家具一式です」

「代償・・・? 代償とは一体・・・?」

「えぇ、 何でも他者の命や記憶等を奪い取って

願いを叶えると記録にはあります

余りにも恐ろしいので使おうとも思いませんでした」

「この状況を打開出来る可能性はあるのか?」

「尋常じゃない代償を要求される気がします」

「その通り、 超常的な物品で事態を打開するのは

悪手の場合もある、 危険だ」

「ですがこの状況を何とかするのに手段は選んでいる場合では無いのでは?」

「いや、 しかし倫理観を置き去りにしては意味はない」

「倫理よりも命だろう」


如何するべきか混迷する会議。


「今現在、 スシブレーダー部隊への救援を送っている最中です

その救援を援護するのに使える物品は教国は所有していません」

「・・・O5-1、 御言葉ですが我々でもリスクが有るとはいえ

願いを叶える事が出来る物が有ります、 この教国にはそういう物品は無いのですか?」

「教国にも不思議な宝物は幾つも有る、 だがしかし手に余る物ばかりだ

能動的に使う事は難しい」

「それではバルド達が危険では無いか!!」

「そう言う事になる・・・」


バンッ、 と会議場のドアが開かれた。

当然議員達は注目する。


「はぁ・・・はぁ・・・伝令です!!」

「如何した?」

「サンダリ牢獄に囚われていた三国軍が囚われていた

闇のスシブレーダー達と蜂起し合同でバルド達の元に救援に向かっています!!」

「なんと!?」

「それでは援軍が間に合うと言う事か!?」

「時間的にはかなり切羽詰まっています!! 半月以上はかかりそうですが

我々が部隊編成を行い軍を送るよりも早く辿り着けるかと!!」

「希望が見えて来たな・・・」

「こちらも部隊編成を急ぎましょう!!」


議会が再度過熱し始めた。


「しかしSCP-738がサンシャイン王国に有ったとは・・・予想外だな・・・」


O5-1がぽつりと零したがその言葉を誰も聞いてはいなかった。




言及されたSCP

SCP-738 - 悪魔の取引

http://scp-jp.wikidot.com/scp-738

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