ケーキを作ろう

厨房にやって来た闇とブタ面の男。


「・・・・・中世だからと予想はしていたが・・・これは酷いな」

「えぇ・・・」


闇は絶望した、 自分達が如何に文明の利器に頼って料理をしていたのかを。


「簡単な調理器具一式は持って来ているからヴィネガーの飯は出来るだろう

だがしかし・・・ケーキだと? 調理用レンジも無しに作れと?」

「厳しいですか」

「厳しいな、 そもそもケーキってアイツは言ったが何ケーキだ?

ショートケーキ? チーズケーキ? チョコレートケーキ? モンブラン?

ロールケーキ? ミルフィーユ? ケーキなんて色々有るぞ」

「・・・いや、 親方ここは中世っぽい世界

そんなに料理の種類が多いとは思えません」

「そうなのか? てっきり貴族共がケーキを喰ってあははうふふしているかと・・・」

「それは無いんじゃないですか? 色々見ていますが輪型も無いですよ?」

「はぁ!? どうやってケーキ作るんだよ!! くっそぉ・・・

何と言う文明が遅れているんだ異世界は!!」

「如何しますか? 白旗でも上げます?」

「馬鹿を言うな、 ここで暫く暮らさなければならないのならば

ここでの料理の仕方を工夫してやらねばならないだろう」

「そうなると如何しようと?」

「科学が駄目ならば魔法だ、 さっきの魔法使いを呼んで来い」

「分かりました」


サーストンを連れて来たブタ面の男。


「と言う事だ、 我々の文明レベルと比べてこの世界の文明レベルを低過ぎて

我々が使っている料理器具が殆ど無い、 故にお前が代わりを果たせ」

「料理の為に魔法を使うんですか? そこまでやる必要有ります?」

「ケーキをリクエストされてほいほい受け入れた俺のミスだ

素直に受け入れてケーキを作ろうじゃ無いか」

「はぁ・・・」

「あ、 師匠、 この人に一般的なケーキってどんな物か聞いて見たら如何ですか?」

「何で?」

「ケーキが食べたいといってカステラが出て来たら嫌でしょ?」

「カステラ美味しいだろうが」

「あー・・・自分の想定していたケーキ以外が出て来たら嫌じゃないですか」

「確かに嫌だな・・・いや、 待て、 俺は思い違いをしていた様だ」


はっ、 とする闇。


「何がですか?」

「確かに自分の好みのケーキが一番だ

だがそれすらも上回るケーキを俺が作れば良いじゃ無いか」

「何だかカッコいいですが・・・この文明レベルじゃねぇ・・・」

「無理か」

「無理です」

「仕方が無い、 おい魔法使い、 この世界の一般的なケーキを教えろ」

「あ、 はい・・・そうですね・・・フルーツケーキが一般的ですね」

「今、 食糧貯蔵庫見ましたがフルーツ無いです」

「糞がッ!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る