罵詈雑言

サンテンリーダはリザードマンである。

トカゲ男と言い換えられるリザードマンは剣や武術等に卓越しており

四天王の一人たるサンテンリーダがリザードマンの中でも最強。

鋼鉄の爪からの攻撃は天下一品である。


その天下一品の爪が闇の攻撃で圧し折られた。


「ぐわあああああああああああああああああああああ!!」


サンテンリーダは叫んだ。

意識を手放すまいと叫んだ。

自分が死んだら魔王が逃げる時間を稼げない。

時間を稼がなければ。


「お前魔王じゃねぇな?」


気が付かれた!! 何故!?


「何を根拠に・・・」

「てめぇの爪とさっき折った剣、 剣の方が明らかに良い物だ」

「分かるのか!?」

「こう見えても料理人だ、 刃物の良し悪しは見ただけで分かる」

「・・・・・料理人・・・料理人に俺は負けるのか!?」

「トカゲ、 丸焼きが旨いとかって聞いた事あるな

鱗を落してあらびき胡椒で喰うのが良いらしい」

「・・・・・」


自分を食材として見ている事に戦慄するサンテンリーダ。


「・・・・・俺を喰う気か?」

「いやぁ、 さっさと殺して魔王を殺さなきゃ」

「させん!!」


サンテンリーダが闇を見据える。


「魔王様は魔物の希望!! 殺させる訳には行かん!!」

「なるほどな、 異世界だとか色々分からんが

要は人間とそれ以外の戦争って事か」


闇は興味を無くし、 後ろに振りかえる。


「ま、 待て、 何処に行く!?」

「興味が失せた」

「なっ!?」


闇はスタスタと去って行った。


「・・・・・何だって言うんだ・・・」

「サンテンリーダ様!!」


四天王の一人のバリゾーゴンがやってくる。

サンテンリーダよりも格下なので彼に様付けをしている。


「バリゾーゴン・・・? 何故お前が・・・」

「連中強過ぎでしょ!! バケモンか!!」

「あ、 あぁ・・・それは俺も実感した・・・」

「・・・・・嘘だろ、 アンタの爪が砕けてるじゃねぇか!!」

「あぁ・・・両腕も・・・」


サンテンリーダはふらふらと意識を失いかけている。


「おいおい、 大丈夫ですか?」

「あぁ、 暫く休む」

「ずっと休んでて下さい」

「?」


バリゾーゴンはサンテンリーダの首を刎ねた。


「・・・なんの・・・まねだ・・・」

「魔王より強い奴なんて相手に出来ない

俺は、 いや俺達はこの国に寝返る

アンタの首を手土産にな」

「ばかな・・・れんちゅうは・・・」


サンテンリーダはそこまで言って意識を手放した。


「ふふふ・・・四天王最弱だったが

これで魔族と人間の架け橋とか呼ばれる様になるのかな・・・

いずれにせよ次の魔物のトップは俺だ・・・」

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